古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十二章 乍恐奉願口上・その七十二干鰯

2012年10月31日 07時09分40秒 | 古文書の初歩

 

 

乍恐奉願口上第十六ページ、上の画像の七行目八行目

 

解読 干鰯残銀勘定致呉候様度々及才足ニ候由ニ候得共

    私共留主中故同人帰宅後引合勘定可致候由申断

読み 干し鰯残銀勘定致し呉れ候様度々催促に及び候由に候得ども

    私ども留守中故同人帰宅後引き合い勘定致すべき由申し断り

 

解説 「残銀」・・・難しい文字ですが、三行目に出たのと同じ。支払い未済の残金。 「勘定」・・・この場合は、「精算」。 「致呉」・・・『してくれ』。 「呉」の次の点が「候」。 「度々」・・・これも教えて貰わなければ読めない字です。 「及才足」・・・下から返って「才足に及び」。「才足」は当て字で、「催促」と同じ。江戸時代の古文書では、この様な当て字がよく使われています。 「足」の次ぎに「候」。続いて「由」・・・「仕」とよく似ています。 「由」の次ぎに「ニ」。続いて「候得共」。 「留主中故」・・・「留主」は「留守」と同じ。「故」も変わった崩し字です。 「同人帰宅」・・・「帰」が難しい。 「引合勘定」・・・商取引の精算。 「可致」・・・致すべく。「致」の下に「候」が有る様に見えます。 「由」は「仕」に似ていますが、ここは「候由」。 最後は消えていますが、「申断」・・・申し断り。理由を説明して了解を求めること。


第十二章 乍恐奉願口上・その七十一同所

2012年10月30日 06時55分59秒 | 古文書の初歩

 

 

乍恐奉願口上第十六ページ、上の画像の五行目六行目

 

解読 同所出帆、同五月十日帰宅仕候義ニ御座候。

     其前私共留主中尾崎屋幸吉より富田屋廣七方へ

読み 同所出帆、同五月十日帰宅仕り候義に御座候。

     其の前、私共留守中尾崎屋幸吉より富田屋廣七方へ

 

解説 「帰宅」の「帰」が難解文字です。 「仕」の右下に「候」、続いて「義」。 最後は「御座」の次の点が「候」です。 次行は一段下がって、最初は「其の前」、これも難しい。 「私共」の次は難しいですが、「留主中」。「留主」は、現在は「留守」と書くのが主流です。 「尾崎屋」・・・「崎」が読みにくいですが、何回も出ている字です。 「より」・・・合成字。 「廣七」の次は消えていますが、「方へ」と続きます。 

 


第十二章 乍恐奉願口上・その七十橋杭

2012年10月29日 06時54分34秒 | 古文書の初歩

 

 

乍恐奉願口上第十六ページ、上の画像の三行目四行目

 

解読 橋杭表干鰯残銀之儀者最早相片付申候由

    承知仕候付、私共も安心仕橋杭湊へ者立寄不申

読み 橋杭表干し鰯残銀の儀は、最早相片付き申し候由

 承知仕り候に付き、私共も安心仕り橋杭湊へは立ち寄り申さず

 

解説 「橋杭表」・・・大げさに「表」と書いていますが、この場合の意味は「橋杭に於ける」という様な意味です。 「干鰯」の次が難しい。「残銀」・・・支払い未済の残金。 続いて読みにくい「之儀者」・・・の儀は。・・・の件は。 「最早」も難解。「最」は「ウ冠に取」と書いています。「早」は「子」のように崩しています。 「相片付」・・・「相」は接頭語。 「申候由」・・・ここは比較的やさしい。 「承知」・・・「知」は読めません。 「安心」・・・「心」が難解。 「橋杭湊」・・・「湊」も教えて貰わなければ読めない字です。右下に小さく「へ」が有ります。「者」は何度も出ますが、変体仮名の「は」。 「立寄」・・・「立」は判りますが、「寄」が難しい。 「不申」・・・申さず。


第十二章 乍恐奉願口上・その六十九買入

2012年10月28日 08時12分14秒 | 古文書の初歩

 

乍恐奉願口上第十六ページ、上の画像の一行目二行目

 

解読 買入之代呂物積入同所出帆、大嶋迄罷越滞舟

    仕候処尾崎屋幸吉方之若き者参り合せ被申候者

読み 買い入れの代物摘み入れ同所出帆、大嶋迄罷り越し滞舟

    仕候処、尾崎屋幸吉方の若き者参り合わせ申され候は

 

解説 「代呂物」・・・『しろもの』。「代物」だけでも『しろもの』と読みます。商品の事。 「同所」=新宮。 「滞舟」・・・滞舟と書いていますが、『たいせん』と読んでもよい。滞船。船が滞在する。 次行最初は「仕候処」・・・「仕」の右下のハネが「候」 「尾崎屋」・・・「崎」が難解で読み取る事はなかなか出来ません。 「若き者」・・・若い衆。 「被申」・・・申され。 「申」の次の点は「ニ」とも読めますが、文の流れから、「申され候は」と読んでおきます。 「ニ」だったら、「申されるには」となり、「される」と読むのは無理が有ると思います。


第十二章 乍恐奉願口上・その六十八相雇

2012年10月27日 06時43分35秒 | 古文書の初歩

 

乍恐奉願口上第十五ページ、上の写真の九行目十行目

 

解読 相雇候付大ニ入用相掛り乍難渋も次第ニ快相成候付

    漸杖ニスカリ歩行仕候儀ニ御ざ候。右ニ付、新宮表にて

読み 相雇い候に付き大いに入用相掛り難渋乍らも次第に快相成り候に付き

  漸く杖にすがり歩行仕り候儀に御座候。右に付き新宮表にて

 

解説 「相雇い」の次の点は「候」。続いて「付き」。「付」と「而」の書き方がよく似ていますが、ひしゃげた形が「而」で縦長の方が「付」です。 「入用」・・・入り用。費用。出費。「用」の崩し方に注意。  「乍難渋」・・・下から返って「難渋乍ら」。難儀しながら。 「次第」『しだい』の「次」と言う字の形も覚えましょう。 「快」・・・この場合は『よく』と読みます。  「相成」の下に小さく「候」続いて「付き」。 最終行最初は「漸く」。 「杖ニスカリ」・・・杖にすがり。 「歩行」・・・「行」の字も覚えましょう。 「右」も何度も出ました。 最後の字は「にて」。合成字です。