古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第四十三章 苫草紛争の二 其の五

2015年06月30日 07時53分15秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「苫草紛争の二」第二頁、上の三~四行目

 

解読 罷こし申候ニ付、不残差留申候

    所ニ下村中より達者成毛の大(勢)

 

読み 罷り越し申し候に付き、残らず差し留め申し候

    所に、下村中より達者なる者大(勢)

 

解説 「罷こし申候ニ付」・・・罷り越し申し候に付き。大勢が入り込み、引きに来たので。「罷り越し」は丁寧な言い方です。 「不残」・・・残らず。 「差留申候」・・・入ってくる者を一人残らず止めました。 「所ニ」・・・差し止めた所に。「所」の崩しは形で覚える。 「下村中より」・・・下村の全体の中から。「より」は合成文字。 「達者成毛の」・・・元気な者。「毛」はヒラカナの「も」の元の漢字です。


第四十三章 苫草紛争の二 其の四

2015年06月29日 04時51分42秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「苫草紛争の二」第二頁、上の一~二行目

 

解読 右之趣、御断御願申上候處ニ

    明ル三日又々下村より大勢入込、引ニ

 

読み 右の趣、お断り御願い申し上げ候処に

    明くる三日またまた下村より大勢入り込み、引きに

解説 「右之趣」・・・右に述べた事情。なりゆき。 「御断御願」・・・お断りお願い。わけを話して止めてくれと断り頼むこと。 「申上」の次の縦棒が「候」です。 最後は、「處ニ」・・・申し上げている処に、ちょうど其処へ。 「明ル」・・・『あくる』。明けて。翌日。 「三日」・・・「日」の崩し方に注意する。 「下村より」・・・下村は、田並浦の事。下村の次の字は「より」で、合成文字です。 「引ニ」・・・苫草を引きに。実際に引き抜いたのか、鎌で刈ったのか解りませんが、苫草を収穫する事を「引く」と言ったものと思います。引いて収穫出来る様な草ではありません。


第四十三章 苫草紛争の二 其の三

2015年06月28日 07時25分25秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「苫草紛争の二」第一頁、上の五~六行目

 

解読 いケ様之怪我も可有御座やと

    無心元奉存候ニ附、二日夜通し

 

読み 如何様の怪我も御座有るべきやと

    心許無く存じ奉り候に附き、二日夜通し

解説 「いケ様之」・・・『いかようの』。「如何様の」、どの様な。「様」が読めません。 「怪我」は何となく解ります。 次は虫食い箇所で読みにくいですが、「可有御座」・・・御座有るべき。 「無心元」・・・心許なく。『こころもとなく』。心配に。 「奉存候」・・・存じ奉り候。「存」の次の「し」の様な字が「候」です。


第四十三章 苫草紛争の二 其の二

2015年06月27日 05時51分58秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「苫草紛争の第二」第一頁、上の三~四行目

 

解読 可仕躰ニ相見へ申候ニ付、無御座是非指

    留申苫も無對ニ取参申候。此上

 

読み 仕るべき躰に相見え申し候に付き、是非無く指し

    留め申す苫も、無体に取り参り申し候。この上

解説 「可仕躰に」・・・(手込めに)仕るべき躰『てい』に。暴力で取り押さえる様子に。 「相見へ申候ニ付」・・・見えたので。「申」の下部の右へ曲げた所が「候」です。 「無是非」・・・是非無く。「非」が判りにくい。 「指留」・・・差し止め。禁止にする。 「申苫も」・・・申す苫も。刈り取り禁止にする苫草も。「P」に見える字は「申」です。 「無對ニ」・・・「對」の右に「躰」と添え書きしていますが、当時の人が書いたものか、現代の人が書いたものか不明です。「對」は「躰」の書き間違いではないかと言う意味で書いているものと推定されます。その通りだと思います。古文書では、宛て字が多いので、「無對」は宛て字で書いているのかも知れません。「無体に」・・・無法に。無理に。 「取参申候」・・・取り参り申し候。「参り」は丁寧語です。 最後は、「此上」・・・「此」も形で覚える字。    


第四十三章 苫草紛争の二 其の一 

2015年06月26日 06時08分03秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「苫草場紛争の二」

解読 入も無御座其上近所より可け

    付候もの共も大勢ヲ以手込ニ

読み (聞き)入も御座無く、その上近所よりかけ

    つけ候者共も大勢を以て手込めに

解説 本文書は、本ブログ第二十一章で読みました文書と内容は同じものですが、別の人が書いたのか、書体が異なりますので、勉強しましょう。両文書とも何故か最初の部分が欠落しています。

「入も無御座」・・・聞き入れもござ無く。 「近所」・・・「近」の崩しが難しい。 「より」・・・一文字になっています。合成文字。 「可け付」・・・「ク」の様な字は、変体仮名の「か」で、「可」の崩しです。駆け付け。 「候毛の共」・・・「付」の次の点が「候」で、「候者ども」。上から三字目は「毛」で、変体仮名の「も」です。 「ヲ以」・・・「表」という、一字に見えます。 「手込」・・・暴力で身体を押さえつける事。「手」の崩し方を覚える。