古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第四章 極月改書・その二十一

2011年06月30日 15時04分35秒 | 古文書の初歩

 

第十一ページ一行目から

解読

 一 地震ニ当所者潰家壱軒茂なく候へ共

    土蔵者少々痛ミ当山金堂石段者大痛ミ

    池之口山王社石の鳥居折レ同所橋抔ハ地震ニ

    川中へ潰込候

読み方

 一つ 地震に当所は、潰れ家一軒もなく候らえども

     土蔵は少々痛み、当山金堂石段は大痛み

     池之口、山王社石の鳥居折れ、同所橋などは地震に

     川中へ潰れ込み候

解説

 古座川付近の損害状況を書いています。地震により潰れた家は一軒も無かったが、土蔵は少し損壊、当山の金堂の石段は大きく壊れ、池之口の山王社の石の鳥居が折れた。そこの橋は川の中へ壊れて落ち込んだ。 「当山、金堂」と書いていますので、寺院の事を○○山と言う事から、この文章は、寺の住職が書いたものと思われます。 ここでの文字は、「者」・・・「は」の変体仮名で、続けて三箇所出ています。 「土蔵者」の「者」は少し読みにくいですが、者しか考えられません。 「鳥居」・・・「鳥」もこんな崩しです。


第四章 極月改書・その二十

2011年06月29日 11時46分33秒 | 古文書の初歩

 

 

第十ページの四行目から

解読

 一 津浪川長へ打込候處ハ川口村迄池之口

 小川筋ハ池之山迄参ル尤汐嵩池之口村ニ而

 中之段壱者以池之口村宇津木月之瀬邊ニ而

 海魚沢山拾ひ候者多く有之候

読み方

 一つ 津浪川たけへ打ち込み候処は、川口村迄、池の口

 小川筋は池の山迄参る。尤も汐嵩池の口村にて

 中の段いっぱい、池の口村宇津木、月之瀬辺にて

 海魚沢山拾い候者多くこれ有り候。

解説

 「川長」と書いて、川丈(かわたけ)と読みました。川丈とは川丈筋という様に、川の本流沿い地域と言う意味だと解釈します。本件の川は「古座川」(和歌山県東牟婁郡)の事で、この津浪は、本流では、川口村まで到達した。また支流の池の口・小川では池野山まで来た。尤も(但し)汐の高さは中の段いっぱいとは、この「段」もどこの階段か石段かよく判りません。 「壱者以」・・・「者」は「は」、「以」は「い」のそれぞれ変体仮名。「者」に半濁点が有ります。 河口からから宇津木まで約三キロ、月の瀬まで約五キロほど、この辺で海の魚を沢山拾ったとの事です。魚と言う字は下が「大」になっています。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

第四章 極月改書・その十九

2011年06月27日 15時06分21秒 | 古文書の初歩

 

 

第十ページ

解読

 (下地)川口山足迄打揚ケ夫故人家壱度ニ流失ニ

 相成乍併川口悪敷事故浪打込方優敷

 候ニ付上之町中之丁ハ壱軒茂流失無之候

読み方

 (下地)川口山足まで打ち揚げ、それ故人家一度に流失に

 相成り、併しながら川口悪しき事故、浪打ち込み方、優しく

 候に付き、上の町、中の丁(ちょう)は一軒も流失これ無く候

解説

 「山足」・・・山の裾、麓。 津浪が山の裾まで打ち上げたのので、人家は一度に流失。 「乍併」・・・返って「併しながら」と読む。 川口の状況が悪かったので、浪の打ち込み方が優しく、上の町、中の丁は一軒も流失しなかった。 意味がよく判りません。


第四章 極月改書・その十八

2011年06月26日 11時52分17秒 | 古文書の初歩


 

 

 

第九ページの七行目から

解読

 一此度ハ川口悪敷候而洲鼻堤の如く相成汐干

 に者舟偏に帶(ひらた)壱艘茂通イ兼候様相成夫故川外ニ而

 津浪山の如く打合イ其汐嵩四丈計りニて下地

読み方

 一つ この度は、川口悪しく候て、洲鼻堤の如く相成り、汐干

 には、舟偏に帶(ひらた)壱艘も通い兼ね候様相成り、それ故川外にて

 津浪山の如く打ち合い、其の汐嵩四丈計り(ばかり)にて、下地

解説 「川口悪しく候て」・・・川口の状況が悪くて。 「洲鼻」・・・洲とは中洲の事と思われます。鼻は先端の事。中洲の先が、堤の様になって。 「汐干」・・・干潮。引き潮。 「に者」・・・「に」は左に点が有るので少し疑問ですが、この点はキズかも解りません。「者」は「は」  「舟」扁に「帯」で「ひらた(舟)」底の浅い川舟のこと。この状況は、ちょうど大潮の時期で、川口の状況が悪く、中洲の先が堤の様になり、干潮時には川舟一艘も通る事が出来ず、その為(?)川の外で(沖合で)津波は山の様に打ち合い、汐の高さは約十二㍍程で。 次ページへ続く。舟偏に帶は苦しいですが、この漢字を出す事が出来ません。お許し下さい。


第四章 極月改書・その十七

2011年06月25日 20時07分22秒 | 古文書の初歩

 

 

第九ページの四行目から

解読

 大舩弐艘破舩ニ相成此舩日置舩水主ハ無

 別条皆々無事尤右弐艘之破舩ハ川口悪

 敷候ニ付川外ニ而荷積致居候舩也

読み方

 大船二艘破船に相成り、此の船日置船、水主は(無)

 別条無く、皆々無事。尤も右二艘の破船は、川口悪しく

 (敷)候に付き、川外にて荷積み致し居り候船なり。

解説

 「日置舩」・・・「置」はこのような崩し字です。初心者が読むのは無理な字です。  「水主」・・・「かこ」と読みます。普通は水夫・水手などと書き「かこ」と読みますが、古文書ではよく「水主」と書き「かこ」と読むようです。 「無別条」・・・下から返って「別条無く」と読む。 「皆」の下は「之」のように見えますが、この場合は繰り返しの「々」です。 この二艘は、川口の状況が悪かったので、(水深が浅かったのか?)川の外、つまり少し沖寄りの海で荷積みしていた船である。