古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第三十一章 儀定一札之事 其の十七

2014年10月31日 07時23分20秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「儀定一札之事」第五頁、上の全頁。前頁に引き続き、第一行目が半分隠れています。御免なさい。串本町史の解読に依らせて戴きます。

 

解読 右之通り、儀定書如此ニ御座候。以上。

     林右衛門 印  定次郎 印  文助 印  嘉蔵 印   勘兵衛 印  六兵衛 印  平蔵 印  吉次 印  惣兵衛 印  榮作 印

     天保十四歳

読み 右の通り、儀定書此の如くに御座候。以上。 以下読みは省略。

解説 一行目の解説は差し控えます。 人名は、古文書に頻繁に出て来ますので、面白くはありませんが、非常に大事な分野ですから、慣れて下さい。ここでは特に、「右衛門」、「次郎」、「嘉蔵」、「兵衛」、「蔵」等々が難しく、崩した形で覚える字です。「林右衛門」は『りんうえもん』ではなく、『りんえもん』と読みます。 「天保十四歳」・・・天保十四年の事。「歳」は歳月の「歳」の外に年齢の「とし」という意味も有りますが、ここでは「歳月の「年」の事です。   


第三十一章 儀定一札之事 其の十六

2014年10月30日 04時54分36秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「儀定一札之事」第四頁、上の八~九行目

 

解読 一、水引者、元田ヲ引候水曳ニ任せ可申筈

    水曳賃之儀者、心付可致筈。

読み 一つ、水引きは、元田を引き候水曳きに任せ申すべき筈。

    水曳き賃の儀は、心付け致すべき筈。

解説 一つ書きの第五項目です。 「水引者」・・・堰から田の水を引く仕事は。 「元田ヲ引候」・・・恥ずかしながら、この言葉の意味は判りませんので、推定での解説は止めにします。 「水曳ニ任せ」・・・この言葉の意味も判りません。「引」と「曳」を使い別けているので、「水引」は、用水を田に引き入れる作業の事。「水曳」は水を引き入れる作業をする人の意味かも知れません。水引きの人夫に任せること。「任」という字も難しい。 「任せ可申筈」・・・任せる約束である。 「水曳賃」・・・水を引く人夫の賃金。 「心付」・・・礼金。 「可致筈」・・・致すべき筈。礼金を払う約束である。


第三十一章 儀定一札之事 其の十五

2014年10月29日 07時08分14秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「儀定一札之事」第四頁、上の五~七行目

 

解読 一、溝路御普請ニ付而者、田地茂少々荒レ

    候得共、是者其田人田人ニ而田人凌之筈、

    村方江引高等願申間敷事。

読み 一つ、溝路御普請に付いては、田地も少々荒れ

    候えども、是は其の田人田人にて田人凌ぎの筈、

    村方へ引き高等願い申す間じき事。

解説 一つ書きの第四項目です。最初は「溝路」・・・溝の道。水路。 次ぎも難解、「御普請」・・・工事。 「ニ付而者」・・・続けて小さく書いているので分かりにくいですが、よく見て下さい。見えて来ます。「に付いては」。 「田地茂少々荒レ候得共」・・・田んぼも少し荒れたけれども。 「是者」・・・これは。 「其田人々々ニ而」・・・其の田人独自で。農家ごと別々に。 「田人凌之筈」・・・難儀を凌いで行く筈。 「村方江」・・・村の役人へ。 「引高等」・・・水を引く量を増やす事など。 「願申間敷事」・・・御願いしてはならない。


第三十一章 儀定一札之事 其の十四

2014年10月28日 05時25分14秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「儀定一札之事」第四頁、上の三~四行目

 

解読 一、夜分抔盗水等嘗以致間敷、若

    如何之品有之候へ者、余り水ニ而も呉不申筈。

読み 一つ、夜分など、盗み水等嘗て以て致す間じく、もし

    いかがの品これ有り候えば、余り水にても呉れ申さざる筈。

解説 一つ書きの第三項目。 はじめの二文字も読みにくいですが、「夜分抔」・・・『やぶんなど』、夜中など。 次ぎも難解、「盗水等」・・・水を盗む事など。 「嘗以」・・・前頁にも出ました、『嘗て以て』。『かつてもって』。決して。 「致間敷」・・・『いたすまじく』。してはならない。 「若」・・・『もし』。 次ぎも難解でとても読めませんが、「如何之品」・・・『いかがのしな』、どの様な事情。 「有之候へ者」・・・これ有り候えば。「有れば」。を丁寧に言った言葉。文章の流れからすれば、「これ有り候えども」の方が意味は通りますが、「共」には見えません。 「余り水にても」・・・余った水で有っても。 「呉不申筈」・・・呉れ申さざる筈。呉れない約束である。


第三十一章 儀定一札之事 其の十三

2014年10月27日 06時54分34秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「儀定一札之事」第四頁、上の画像のはじめの欠けた一行と二行目

 

前頁に続き、第一行は半分欠けた状態で出ています。御免下さい。串本町史の解読文に依らせて戴きます。

解読 一、照模様ニ寄、何時ニ而茂水切方之儀元掛り

    田人勝手次第、其節彼是水論等致間敷事。

読み 一つ、照り模様に依り、何時にても水切り方の儀、元掛かり

    田人勝手次第、其の節彼是水論など致す間じき事。

解説 「一」・・・一つ書きの第二項目です。 「照模様ニ寄」・・・日照りの具合に依り。 「何時ニ而茂」・・・何時でも。 「水切方之儀」・・・用水を出す事を止める事については。 「元掛り田人」・・・水源を管理している百姓。 「勝手次第」・・・勝手気ままに出来る。「次」と言う字は難しい。人名でもよく出る字です。 「其節」・・・これも難解です。その際。 「彼是」・・・『かれこれ』、あれやこれやと。この字も難しい。 「水論等」・・・水について論議する事など。 「致間敷事」・・・してはならない。 この第二項目も禁止事項を書いています。