古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第五十九章 漂流外国物語 其の七十五

2016年05月31日 04時55分35秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「漂流外国物語」第二十二ページ、上の三~四行目

解読 取懸り我々茂最早此度ハ所詮不相叶と存諸神

    佛江心願を籠居候処、三四日目ニ風波和らぎ段(々)

読み 取り懸かり我々も最早此の度は所詮相叶わずと存じ、諸神

   仏へ心願を籠め居り候処、三四日目に風波和らぎ、段(々)

 

説明 「取懸り」・・・「取り懸かり」。水主達は梶一本に取りかかり。「取」の崩し形に注意。 「我々茂最早」・・・「茂」は変体仮名の「も」。「最早」・・・これも形で覚える。 「所詮」・・・つまる処。結局。この字も教えて貰わないと読めません。  「不相叶と存」・・・相叶わずと存じ。叶わないと覚悟し。 「諸神仏」・・・「仏」の字がニンベンに見えないのですが、文意からすると「神仏」以外は考えられませんので、「神仏」と読んで置きます。 「心願を籠居候処」・・・助けて下さいと心からの御願いを籠めて祈って居った処。 「風波和らぎ」・・・この辺は読みやすい。 最後は「段」で、「段々」と続きます。


第五十九章 漂流外国物語 其の七十四

2016年05月30日 07時55分44秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「漂流外国物語」第二十二頁、上の一~二行目

 

解読 (志)ばり置、帆柱ハ上より段々下へ颪し此帆柱三本ニ

    切組有之、船ハ惣櫓ニ而板張詰水主共ハ梶一色耳

読み (し)ばり置き、帆柱は上より段々下へ降ろし此の帆柱三本に

    切り組みこれ有り、船は惣櫓にて板張り詰め、水主共は梶一色に

 

説明 「志者り置」・・・しばり置き。帆を下げて縛って置き。「志者り」の「志者」は変体仮名の「しは」です。「は」に濁点有り。 「帆柱は上より段々下へ颪し」・・・ここは比較的やさしい。「颪」は前に出ました。 「此帆柱三本ニ」・・・三本の「本」が難しい。 「切組有之」・・・組み立てる為の木作りをしている。 「船ハ惣櫓ニ而」・・・四方を展望する為の高楼、船楼、ブリッジが有って。 「板張詰」・・・甲板に板を張り詰め。(日本の和船と違うところです。) 「水主共ハ梶一色耳」・・・「耳」は変体仮名の「に」。水主どもは、全ての準備を終えて、あとは梶一本に。(力を集中すること。)


第五十九章 漂流外国物語 其の七十三

2016年05月29日 05時09分43秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「漂流外国物語」第二十一ページ、上の七~八行目

解読 一、此船江乗移候而より五六日程相立候所、大風高浪ニ

    相成異国水主共大ニ驚き、色々相働き帆を下ケ志

読み 一つ、此の船へ乗り移り候てより五六日程相立ち候所、大風高浪に

    相成り、異国水主ども大いに驚き、色々相働き、帆を下げし(ばり)

 

説明 「此船江」・・・「此」はよく出る字です。形で覚える。「江」・・・助詞の「へ」。 「候而より」・・・これも慣れないと分かりにくい。 「五六日程」・・・「五」の書き方に注意。「程」も難しい。 「高浪ニ」・・・「高」は切れています。「浪」の次に小さく「ニ」が見えます。 「相成」・・・小さくて分かりにくい。 「異国水主共」・・・「異国」も読むのは困難。 「色々」・・・これも初めてでは読むのは難しい。 最後の「志」は次行に続く言葉です。


第五十九章 漂流外国物語 其の七十二

2016年05月28日 08時13分06秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「漂流外国物語」第二十一ページ、上の五~六行目

 

解読 位ニして壱人ニ三ツゝ給申候。此團子名ハガエタ申候。

    野菜越焚候節ハ何ニ而茂豕之油越入申候。

読み 位にして、一人に三つづつ給べ申し候。此の団子、名はガエタ申し候。

    野菜を焚き候節は、何にても豚の油を入れ申し候。

 

説明 「位ニして」・・・五文取りの餅くらいの大きさにして。 「壱人ニ三ツゝ」・・・一人に三つづつ。 「給申候」・・・食べ申し候。「給」は「食べる」と同じ使い方の字です。 「此團子」・・・此の団子『だんご』。「團」の崩しは難しい。「圓」と同じ様な崩しになります。 「野菜越」・・・野菜を。「野菜」は二行目に出ました。 「焚候節ハ」・・・焚く時は。 「何ニ而茂」・・・何の野菜でも。 「豕之油越入申候」・・・「豕」は「豚」の別字体。野菜を焚く時はいつも豚の油を入れて焚いたと言うこと。


第五十九章 漂流外国物語 其の七十一

2016年05月27日 07時20分23秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「漂流外国物語」第二十一ページ、上の三~四行目

 

解読 (塩)魚、鶏之玉子鰯尓志んの塩から等毎朝上茶へ

    砂糖少々入呑之候。其節小麦之粉を五文取之餅

読み (塩)魚、鶏の卵、鰯、にしんの塩辛等、毎朝上茶へ

    砂糖少々入れ、之を呑み候。其の節小麦の粉を五文取の餅

 

 

説明 「塩魚、鶏之卵、鰯、尓しんの塩から等」・・・いずれも副食、おかず。「等」が難しい。 「上茶へ」・・・上等のお茶へ。「上茶」は読むのは無理が有る様な気もします。特に「茶」は欠けているので苦しいです。 「入呑之候」・・・砂糖を少し入れてこれを(お茶を)呑む。 「其節」・・・その際。 「小麦之粉を」・・・「粉」が難解。 「五文取」・・・『ごもんどり』、江戸時代、街道筋などで売った一個五文の餅の名前。(広辞苑)。「取」が難解。