古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十七章 潮岬会合 その七十九

2013年05月31日 07時28分22秒 | 古文書の初歩

 

 

 

潮岬会合「乍恐口上書」第六ページ、上の画像の七~八行目

 

解読 十八ヶ浦難渋ニ者奉存候得共、五月節句迄者瀬

    之上共差留メ申義者不仕候。先年より差留メ申者

読み 十八ヶ浦難渋には存じ奉り候えども、五月節句迄は瀬

 の上共差し留め申す義は仕らず候。先年より差し留め申すは

 

解説 「十八ヶ浦」・・・周参見から下田原までの組合の浦々。 「難渋には存じ奉り候えども」・・・難儀しているとは思いますが。 「瀬の上は」・・・鰹が集まる瀬の上は。 「差し留め申す義は」・・・漁を禁止にする事は。 「不仕候」・・・仕らず候。禁止には致しません。 「先年より差し留め申すは」・・・前々から禁止にしているのは。


第十七章 潮岬会合 その七十八

2013年05月30日 07時27分52秒 | 古文書の初歩

 

 

潮岬会合「乍恐口上書」第六ページ、上の画像の五~六行目

 

解読 相廻り申義ニ御座候得者、数艘之漁舩寄合稼候

    而者先年之通魚数も取揚申義相成不申内ニ

読み 相廻り申す義に御座候得ば、数艘の漁船寄り合い稼ぎ候

 ては、先年の通り魚数も取り揚げ申す義相成り申さざる内に

 

解説 「御座」の次に小さい点で「候」が有ります。「御座そうらえば」。 「数艘之漁船寄合稼候ては」・・・数艘の漁船が寄り集まって漁をすれば。 「魚数も取り揚げ申す義」・・・漁獲数の実績を揚げる事は。 「相成り申さざる内に」・・・出来ないうちに。


第十七章 潮岬会合 その七十七

2013年05月29日 07時31分09秒 | 古文書の初歩

 

 

 

潮岬会合「乍恐口上書」第六ページ、上の画像の三~四行目

解読 大嶋浦、古座浦ニま可せ網志者り網出来候而より

    年々増々漁舩相廻り、去年より格別多ク漁舩

読み 大嶋浦、古座浦にまかせ網、しばり網出来候てより

    年々益々漁船相廻り、去年より格別多く漁船

 

解説 「大嶋浦」も「古座浦」も現在は「串本町」に属しています。 「ま可せ網」・・・「可」は変体仮名の「か」、「まかせ網」は不明です。 「志者り網」・・・しばり網とは、広辞苑によりますと、巻き網の一種で、魚を取り巻いて網で捕る漁法。「志」は「し」・「者」は「は」。 「出来」・・・『しゅったい』と読みます。「出来上がって以来」「出現して以来」と言う様な意味です。 「増々」・・・当て字で、『ますます』「益々」。 「多ク」・・・「多」は形で覚える字。


第十七章 潮岬会合 その七十六

2013年05月28日 07時33分15秒 | 古文書の初歩

 

 

潮岬会合「乍恐口上書」第六ページ、上の画像の一~二行目

解読 一先年者阿曽より廻り舩御崎表下り潮之節者

    春稼五月節句切ニ五艘三艘相廻り候処、近頃

読み 一つ、先年は阿曽より廻り船御崎表下り潮の節は

    春稼ぎ五月切りに、五艘三艘相廻り候処、近頃

 

解説 「先年」の次は「者」で「は」。「昔は」「今までは」。 「阿曽より廻り船」・・・三重県の阿曽から稼ぎに来た漁船。 「御崎表」・・・『みさきおもて』。潮岬の前面。正面。 「下り潮」・・・上方(京都・大阪方面)へ向かう反対方向へ流れる潮流。東へ流れる潮。魚の群れが乗ってくる潮。 続いて「之節者」と書いています。・・・の節は。・・・の時は。 二行目最初は難しい字ですが、既に出ました「春」という字です。「春稼」・・・春の季節に漁をする事。 「節句切りに」・・・五月端午の節句を最後に。 「五艘・三艘相廻り候処」・・・五隻とか三隻とか、(数艘)廻って来たところ。 最後は「近頃」と書いています。ちかごろ。


第十七章 潮岬会合 その七十五

2013年05月27日 07時47分28秒 | 古文書の初歩

 

 

潮岬会合「乍恐口上書」第五ページ、上の画像の七~八行目

 

解読 も出来候而者、気の毒ニ奉存候。此段も得与御

    申付被下候様奉願上候。

読み も出来『しゅったい』候ては気の毒に存じ奉り候。此段も得と御

  申し付け下され候様、お申し付け下され候様願い上げ奉り候。

 

解説 最初の難しいヒラカナは「も」です。「怪我等も」。 「出来」・・・この場合は『しゅったい』と読みます。 「候而者」・・・候ては。怪我等も出来ては。 次の縦長の字は「気」で、「気の毒ニ」。 次は「奉」です。ひどい崩し方。「存じ奉り候」。 「得与」・・・『とくと』。当て字で、「念を入れて」。「与」は「と」。 以下はもう分かりますね。