古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第九章 将軍家茂公の串本上陸・その三十八

2012年01月21日 10時46分20秒 | 古文書の初歩

 

 

 

家茂公第十四ページ(上の写真の一行目~三行目)

解読              浦 義太郎殿

       なおなお囲魚之儀も宜取計置可被申候。以上。

        公方様 還御之御節、

読み方            浦 義太郎 殿

       尚々、囲い魚の儀も、宜しく取り計らい置き申さるべく候。以上

       公方様、還御の御節

解説  「浦義太郎」は江田組大庄屋。 二行目最初の細長い文字は、なおなおの崩し書きです。こういうスタイルですので覚えておきましょう。 「囲魚」・・・捕った魚を、網の中へ囲っておくこと。 「宜取計置」・・・送り仮名が全くないので困りますが、「宜しく取り計らい置き」と読みます。 「可被申候」・・・薄くて分かりにくいですが、「申」の上に「可被」が有ります。「申さるべく候」。其の下に小さく「以上」。 三行目は比較的読みやすいと思います。最後は「御節」。


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その三十七

2012年01月20日 09時16分09秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

家茂公第十三ページ(上の写真の五行目六行目)

解読    御出張被成候との儀ニ付、小生共も今日七ツ比

      当方江出張い堂し、右ニ付、

読み方  御出張成され候との儀に付き、小生共も今日七つ頃

     当方へ出張いたし、右に付き

解説  「御出張」・・・「御出」は何とか分かる様な気がしますが、「張」は解読不可能な字です。 「被成」・・・成され。 次の「候」は斜めの点です。 「との儀ニ付」は何とか読めそうです。 「小生共も」「今日七ツ比」ここも難しいですが、画数の少ないだけ読みやすいと言えます。 「比」・・・「頃」の崩しです。 「當方」・・・四行目にも出ました。上の離れた文字が「當」の一部なのかよく分かりません。 「出張」は前行に出ました。 「い堂し」・・・「堂」は変体仮名で「た」です。「いたし」と読みます。 次の大きい文字は「右」です。


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その三十六

2012年01月19日 09時11分53秒 | 古文書の初歩

 

 

 

家茂公第十三ページ(上の写真の三行目四行目)

解読    為御承知得御意申候。御組江御通詞出候歟と

      奉存候得共、御代官衆ニも昨十六日当方江

読み方  御承知の為、御意をえ申し候。御組へ御通詞出候かと

     存じ奉りそうらえども、御代官衆にも昨十六日当方へ

解説  「為御承知」・・・難解過ぎて読み取るのは困難です。下から返って「ご承知の為」。 次ぎも難解です。「得御意」・・・下から返って「御意をえ」。 「申候」・・・は何とか読めます。「申」はPの字に似ています。 「御通詞出」・・・これも難しい。 「出」の次の点は「候」の省略形。 次の字は「輿」扁に「欠」と書いて「歟」、「か」と読みます。相手に問いかける、疑問を表す、不確実な意を表すなどの「か」です。この写真では薄くてとても読める状況ではありません。あなたの組へもご通知が出ておりますか。 四行目、「奉存候得共」・・・ここも難解です。存じ奉りそうらえども。 「御代官衆」・・・「衆」が難しい。御代官の方々。 「昨」も読みにくい。続いて「十六日」も読み取り困難。 次の「当方江」も難解です。


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その三十五

2012年01月18日 09時57分21秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

家茂公第十三ページ(上の写真の一行目~二行目)

このページから、難しい癖のある書体に戻りました。

解読    一筆致啓達候

      公方様 還御之御品ニ付、別紙之通仰来候付

読み方   一筆啓達致し候

      公方様 還御のお品に付き、別紙の通り仰せ来たり候に付き

解説  「一筆」・・・「筆」は読みにくいですが、縦に長く書いています。 「致啓達」・・・下から返って「啓達致し」と読みます。 二行目「公方様」の下は、欠字。敬意を示す為空けています。 「還御」・・・かんぎょ。お帰り。帰還。 「御品」・・・事情・状態。ご帰還の事情について。 「別紙之通」・・・別紙に書いている様に。 「仰来候付」・・・仰せ来たり候に付き・おっしゃって来られたので。


第九章 将軍家茂公の串本上陸・その三十四

2012年01月17日 16時26分20秒 | 古文書の初歩

 

 

今日は投稿がたいへん遅くなりました。 

家茂公第十二ページ『上の写真の九行目~最終行』

解読    弐拾九〆三百八拾弐匁七分四厘

      四拾壱石四斗一升弐合

      是者去亥年中右同断

読み方   二十九貫三百八十二匁七分四厘

      四十壱石四斗一升二合

      是は、去る亥年中『いどしじゅう』右同断『みぎどうだん』

解説   「八拾弐匁」・・・「匁」は読めません。次の「分」も「厘」も難しいですが、銀貨の重さの単位ですから、流れで読みます。 「四斗一升」・・・「一」は上が「壱」で下が「一」でちょっとおかしいですが、「二」でも「三」でもないし、矢張り「一」でしょう。 「斗」と「升」がよく似ています。お米の量ですから、上から読んでいけば問題ありませんが、単独で出てくると苦しみます。 最後の「右同断」は、「右に同じ」と言う意味です。「同断」の意味は、元もと「同じ理『ことわり』」だったのですが、「理『ことわり』」に「断『断る』」という字を当てて、これを音読みして「同断」『どうだん』と書くようになったものです。