古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第六章 鯨方一条・その三十五

2011年09月20日 11時49分01秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

鯨方一条第十五ページ(上の写真の三行目から)

解読 名前の右側に村名が小さく附されていますが、ここでは、縦に一列に記述します。

高川原 太平、 池ノ口 一 佐藤次、 池ノ山 一 清助、             古田 一 嘉右衛門、 宇津木 一 傳兵衛、 月ノ瀬 一 久四郎、

高セ 儀助、 川口 一 義平次、 中村 一 善太郎、                 閏野 一 安兵衛、 大柳 一 儀平、 一雨 一 榮蔵、

読み方は省略します。 注意すべき崩し字は、「佐藤次」の「次」。 「嘉右衛門」の「嘉」と「右」及び「衛」。「衛」は普通このようにほとんど点か、省略かになります。 「傳兵衛」の「兵」はひらかなの「そ」に似ています。「衛」も下に付く場合はこの様な形になります。 「久四郎」の「郎」はひらかなの「ら」のような形になります。 「義平次」の「義」は読みにくいです。「次」は前述。 「閏野」となっていますが、実際は「潤野」(うるの)と書きます。「一雨」は地名で「いちぶり」と読みます。全国的にも難読地名となっています。 「榮蔵」も難しいです。この地域は、現古座川町の大字名で、今回の台風十二号による大雨で洪水の被害が有った所が多いです。古座川町では、全世帯の三割が床上浸水したそうです。(読売新聞)「潤野」地区では、全二六世帯の内二五世帯が水に浸かったとの事。然し、古座川町では、死者行方不明者は勿論、怪我人も出なかったのは、近所同士の付き合いが良くて、お互い連絡取り合ったからだと言われています。被害に遭われた方、お見舞い申し上げます。 


第六章 鯨方一条・その三十四

2011年09月19日 09時58分07秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

鯨方一条第十五ページ(上の写真の始めから)

最終ページは古座組の全村名とそこの庄屋の記名欄です。ほとんど読めませんが、右側小さい文字が村名です。この解読では続けて記載します。

解読

大しま 銀右衛門   かしの 一 半右衛門  須江 一 吉右衛門 姫川  一 権助 姫 一 又兵衛 いくし 一 八右衛門 

神ノ川 常右衛門 西向 一 平兵衛 古座 一 市右衛門 つが   一 彦左衛門 下田原 一 長三郎 中湊 一 市右衛門

解説 写真では大変読みにくく、教材としては適格性に欠けますが、古文書の名前の読み方として参考になればと思い取り上げました。 「大しま」・・・「ま」は「満」の変体仮名。 名前の最初は「銀」で「右衛門」と続きます。「衛」はほとんど字になっていません。「うえもん」と読みます。 古座組の村名は、現在では串本町と古座川町に別れていますが、ほとんど大字名として残っています。 「右」という文字は、中の口の字が横棒で、右下下がり気味。 「左」という文字は、中のエが極端に右上へ跳ね上がっています。これが見分け方になります。 一行目最後は、読めませんが、「いくし」(伊串)。 二行目 西向は「平兵衛」。読むのは困難です。 「つが」は「彦」「左」「衛」「門」で「左」の右上がりを確認。「衛」は斜めの線の中に含まれると考えます。

 


第六章 鯨方一条・その三十三

2011年09月18日 08時15分34秒 | 古文書の初歩

 

第十四ページ(上の写真の三行目から)

解読

仕合ニ奉存候不奉顧恐も此段幾重ニも

奉願上候乍恐連印内存書付奉差上候

以上

読み方

仕合わせに存じ奉り候。恐れをも顧(かえり)み奉らず、この段幾重にも

願い上げ奉り候。恐れながら連印内存書き付け差し上げ奉り候。

以上

解説 「仕合ニ」・・・幸せに。 「不奉顧恐」・・・下から返って「恐れをも顧み奉らず」。 「顧」・・・かえりみる。 「恐も」・・・おそれをも。 「此段」・・・この段。 「幾重ニも」・・・いくえにも。 四行目一番上の字は読めませんが、「奉」で願い上げ奉り候。 「乍恐」・・・恐れながら。 「連印」・・・印章を並べて捺印する。 「内存」・・・私どもの考え。思っている事。 「書付」・・・「存」の下の「之」のような「土」のような崩し字は、「書」です。ここに出ている「書」は極端なくずし方と言えます。 「書付」の右下に、「奉」が有り、次は「差し上げ」で、最後に付け足したような「候」が有ります。

文意 大変恐れ多い事もかえりみず、庄屋についての陳情の件、幾重にもお願い申し上げます。恐れながら、村々役員署名捺印の上、一同の考えている事を文書にして、差し上げ奉ります。


第六章 鯨方一条・その三十二

2011年09月17日 09時56分43秒 | 古文書の初歩

 

 

 

鯨方一条第十四ページ(上の写真の始めから)

解読

至極実体慥成仁ニ御座候間倅江被

仰付可被為下候得者冥加至極難有

仕合奉存候

読み方

至極(しごく)実体(じってい)慥(たし)かなる仁(じん)に御座候間(あいだ)、倅へ

仰せ付けられ下せらるべく候えば、冥加(みょうが)至極、有り難き

仕合わせに存じ奉り候

解説 「至極」・・・この上無く。非常に。 「実体」・・・「じってい」と読む。まじめで正直。 「慥成」・・・確かなる。 「仁」・・・人物。「じん」と読む。 「御座候間」・・・「御」は解りにくいですが、慣用句ですから、御と推定出来ます。「座」の下の点のようなものは、「候」です。その次は「間」。 「可被為下」・・・為が入っているので、「下せらるべく」と読む。 「下」の右下の点は「候」で、「候得者」で「そうらえば」と読みます。 「冥加至極」・・・有り難いことこの上無し。 「難有」・・・有り難き。 「仕合」・・・幸せ。 「奉存候」・・・存じ奉り候。


第六章 鯨方一条・その三十一

2011年09月16日 12時23分41秒 | 古文書の初歩

 

 

 

鯨方一条第十三ページ(上の写真の四行目から)

解読

(再)勤被為仰付被下候ハゝ尚又精可仕奉存

右再勤被為仰付被下候儀難相叶御儀ニも

御座候ハゝ同人倅周助当戌廿歳ニ相成

読み方

再勤仰せ付けさせられ下され候わば、尚又精仕るべく存じ奉り、

右再勤仰せ付けさせられ下され候儀、相叶い難き御(おん)儀にも

御座候わば、同人倅・周助、当戌二十才に相成り、

解説 再勤・・・再任用。再度その職に任ずる事。 「被為仰付」・・・仰せ付けさせられ。「為」は「させる」。 「被下候ハゝ」・・・「被下」は読むのは苦しいですが、次の行にも同じ用法が出ますので、「くだされ」と読みました。 「候ハゝ」そうらわば。 「精」・・・この一字のみでは意味が不明なので、「精勤」の書き間違いと判断します。尚又精勤仕るべく。 「奉存」・・・存じ奉り。 「右再勤」・・・「再」は先に出ましたが難解です。 「難相叶」・・・相叶い難き。 「御座候ハゝ」・・・候という字はよく分かりませんが、慣用句としてこうなります。 「周」・・・難解字。 「歳」・・・難解字。「文意」再任用命じられましたら、尚一層精勤致すと思います。再任用が難しかったら、同人(大庄屋)の息子周助当年二十才になる、・・・