勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

見てしまった!

2010-11-12 00:35:39 | Weblog
 仕事帰りの午後10時前、我が家からは数十メートルの目と鼻の先の通りに面した神社の前で、数人の若い男女がうろたえている。仕事の行き帰りに毎日通る道である。そこに、来たばかりのひとりの警官が境内に入って行った。道路から数メートルの薄暗い境内の片隅の大きな木の下に若い警官が立った。通りからは死角になっている場所である。喧嘩でも起きたのかと思ったが、静まり返っている。何が起きているのかわからずに、怖いもの見たさで恐る恐る近づいた。そして見てしまった。( ̄□ ̄;)


 明かりの届かない暗がりの中、胸の高さほどの場所に真っ直ぐに伸びた2本の足。目を上に遣ると、茂った葉影に両手をだらりと下げた下向きの顔。頭から足まで一直線に伸びて静止している。生まれて初めて見る光景に一瞬背筋を寒いものが走った。この高さに自分自身の身を置く術に疑問を感じたが、その場を離れ若者に聞いた。「誰が見つけたの?」。そばに茫然と立つひとりの外国人を指差した。カナダから来たという彼は、毎日仕事帰りにこの神社でお参りをするという。ここは浅草七福神のひとつ弁財天。今夜も手を合わせようと境内に入りそこで目にしたものに己の目を疑い、現実であることが信じられなかったと言った。通りがかった若者たちにわけを話し、警察に連絡して貰ったらしい。


 かなりの時間が過ぎてパトカーのサイレンと共に、救急車と消防車が到着。人工呼吸を施されながら、ストレッチャーに乗せられた男性が目の前を通り過ぎた。眠っているような顔だった。警察官に帰ることを許された第一発見者の外国人と共に帰途に就いたが、明日から夜ここを通ることができるだろうか。真っ暗な自分の部屋に入るのが怖かった。