勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

思い出はセピア色

2007-04-09 23:00:10 | Weblog
 「まァ、きれい !!」
その朝、狭い庭に咲いていた一輪の小さな茄子の花を見て、母は両手をひろげて大きな歓声を上げました。母の袂にぶらさがっていた幼いわたしは、母の感動をその袂を通して全身に浴びました。

 それ以来わたしは、茄子の花の美しさにひかれ、自然の美しさに感動するようになりました。そして、そのことがわたしから子供へ伝わり、子供から孫へ伝わってゆきました。

 今では初夏の茄子の花を見ると、幼い孫までが「わァ、茄子の花 !!」と、歓声をあげるようになりました。
美しいものを見たら、素直に感動するにんげんに育てることが大切だと思います。

(人間教育家・和田重正さんの言葉だそうです)


 その昔、僕にも子供のころがあったような気がする。埼玉の農村で育った僕は、近所の悪ガキと共に、野山の自然が遊び相手であった。

 春の野に咲くれんげやタンポポ。道端に咲くオオバコの白い花。空にさえずるヒバリの声。風になびく青い麦の穂や、唇を真っ赤にして食べた畑の桑の実。

 夏の夜、蚊帳の中に放った蛍の光。夏休みが終わりに近づく頃の夕暮れ時、悲ししげに鳴くひぐらしの声。

 秋の夕暮れ時、山並みに沈む夕陽に染まった真っ赤な空。夕焼け空に群れ飛ぶ赤とんぼ。

 親父に叱られ、裸足で飛び出した雪の降る日、泣きながら、足の感覚が無くなるまで外を歩き続けた冬の朝。

 セピア色の思い出は、時として鮮やかな色付きで蘇ることもある。

白いチューリップの花言葉は「思い出」

 美しいものを見たら、美しいと感動するのが子供本来の心。子供の心を育てるのに、むずかしい理屈や学問はいりません。美しいものを見たら、お母さんが「まァ、きれい!!」と、感動することです。美しいものに感動する心は、醜悪なもの、不正なものを拒絶する心ともなります。

-相田みつをさん-

2007.04.09