勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

江戸しぐさ

2005-12-20 23:36:48 | Weblog
 最近知った言葉の一つに「江戸しぐさ」というのがある。
江戸の町を支えた町衆たちが、生活の中で起きる摩擦を防ぐために考えた「江戸考」というネットワークを通して伝えた生活の知恵だそうだ。
それらを「江戸の繁盛しぐさ」といって、江戸っ子の粋な立ち居振る舞いは、現代社会でも学ぶべき事が多いといわれる。

 我が身を振り返り、あまりにも身に付いていない事を恥、新聞に紹介された越川禮子氏の本を読んでみた。そのいくつかを紹介します。

       

☆往来しぐさ

【韋駄天しぐさ】
 韋駄天とは、仏舎利を奪って逃げた鬼を追いかけて捕らえ、また、僧の急難を走って行って救ったといわれる神。
江戸の町では非常に早く走る事は禁じられていた。人にぶつかったりして事故のもとになるからである。

【うかつあやまり】
 人込みの中で足を踏まれたとき、踏んだほうは言うまでもないが、踏まれたほうも「こちらこそうっかりしていまして」とあやまる。こうすればトゲトゲしさなくなる。
欧米では「わたしの足が大きいから踏まれたのだ」というユーモラスな表現がある。
  
【会釈のまなざし】
 すれ違いのしぐさ。お互いにさりげなく目であいさつし合うことで和やかになる。目は口ほどにものを言い、である。

【傘かしげ】
 雨や雪の日、相手も自分も傘を外側に傾けてすっとすれ違う。
お互いの身体に雨や雪のしずくがかからないようにするとともに、ぶつかって傘を破らないようにする意味も含んでいた。

【肩ひき】
 心は肩かしげと同じである。狭い裏通りや路地を歩いていて、向こうから人が来た場合、お互いに右肩を少し後ろにひいて身体全体を少し斜めにし、胸と胸を合わせる格好ですれ違う。腕もおのずからひく格好になる。

【片目だし】
 屋内から道路に出る時、まず右、そして左と顔を実際に動かし、様子をうかがってからにする。
信号がなくても江戸の町では十字路では広いほうが狭いほうより優先、どちらとも言えぬ場合は先に来たほうが優先というルールがあった。

【こぶし腰浮かせ】
 川の渡し場で、乗合舟の客たちが舟が出るのを待っているとき、あとから乗ってきた客のために、先客の二、三人は腰の両側にこぶしをついて腰を浮かせ、こぶし一つ分の幅をつめながら、一人分の空間を作る。
譲り合う気持ちや気配がちょっとした中腰の姿勢でお互い察し合えた。
電車やバスでも新客が乗ってきたらこうしたいしぐさである。一人ふんぞりかえっているのはマナー違反。

【七三歩きのしぐさ】
 道路の七分目は公道とし、自分の道は三分と考えて歩く。こうして道を空けておくことで、けが人を運ぶ人も、急ぎの人も気がねしないで往来できる。

【横切りしぐさ】
 人の前を横切る事は無礼とされた。
現代では時間に追われて、つい人の前を横切ったり、半ば突き飛ばすように追い抜く事をしがちだが心すべきだろう。

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 乗り物でサッと座席を詰める「こぶし腰浮かせ」、人ごみですれ違うときにスッと肩を引く「肩ひき」など、さりげない気遣いを表わすしぐさの数々。
できそうでなかなかできないこれ等のしぐさ、はたして僕にはどれだけのことが出来るだろうか・・・?

 江戸しぐさを粋にこなすコツは「思った瞬間にサッと動くこと」だという。

 著者の越川さんは言う、「多くの人に広まれば、過ごしやすい世の中になりそうですね」と。
2005.12.20