知り合いの獣医さん(太白区のY動物病院)に胃捻転のことを教えてもらいました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この病気は大型犬種、とくにグレート・デーン、シェパード、ドーベルマン、アイリッシュ・セッター、スタンダード・プードル、レトリーバー、土佐犬、ボクサー等で発生することが多いと言われていますが、 時々中型犬(シェルティなど)、小型犬でもたまにみられます。
痩せている個体、老齢犬の場合、特に注意が必要です。
この病気になったワンコは、突然胸が悪くなったような動作をして吐き始めます(しかしほとんど何も出ない)。
倒れるような事はないので、歩き回る事が出来るし、どうかすると初めのうちは食餌を摂ろうとする事さえあるようです。
このため、飼い主さんはつい様子を見てしまう事が多いようです。
しかし、外観を観察していると、腹部が次第に膨れてくるのが分かります。
この状態を半日程度でも放っておくと・・・ワンコは死んでしまう、非常に危険な病気です。
大型犬は1回の食事量が多く、場合によっては水を飲んだだけでも胃が非常に大きく膨らみます。
このとき大きく胃が揺すられると食べ物を詰め込んだ胃袋が時計回りに回転する場合があり、胃捻転となります。
特に危険なのは食後に運動をさせた場合です。
痩せている個体では、消化管を正しい位置に固定しておく筋力がない場合が多いので、ただ起きあがっただけ、通常量の食事を摂ったり、水を飲んだだけでも発症することがあります。
よって、以下の点に注意して下さい。
食餌は運動後に与える(食べさせたら動かしちゃダメ)
痩せている個体の食餌は、少量を1日5回以上に分けて与える(1日1~2食ではダメ、飲水にも注意)
治療 手術しても低い治癒率
この病気は、発見次第緊急で開腹し、胃内のガスを抜く事と周辺諸臓器の生存性を確認します。
この病気の治癒率は低く、内臓組織の損傷が起こったケースでは助かりません。
教科書的には、15~68%の死亡率との記載もあります。
助かるのは、飼い主が胃捻転を念頭に置き、すぐ病院に連れて行き、迅速な治療を行なう事が出来た場合に限られます。
胃が捻転すると、胃の内容物がどこにも流れなくなります(吐き出す事も小腸側へ流す事もできない)。
胃内に住む細菌は次第に胃の内容物を分解して大量のガスを発生させます。
胃は大きく膨らみ、周辺の臓器を巻き込みながら後大静脈などの太い血管の血流を止めてしまいます。
最後はいわゆるショック状態となります。
手術で胃を整復しても、時間が経過したケースでは血行不良により脾臓、胃、小腸、腎臓、心臓などの組織が壊死してしまい、予後不良となります。血流が改善すると、体内各所の臓器に蓄えられたエンドトキシンや乳酸などの毒が体内を駆けめぐり、心臓が止まってしまう事もあります(再還流障害)。
助かるのは、緊急で開腹し、胃内のガスを抜いたあと、脾臓や腸の血行が良くなった場合です。