「三乗次第演金言(さんじょうしだいに きんごんをのぶ)」というお言葉があります。
「三乗」とは声聞乗(しょうもんじょう)、縁覚乗、菩薩乗という階級です。
仏教を学びながらだんだんと「三乗」という物が「一つの物」であると知(識)らなければならないという事です。
おシャカ様が目醒められて最初にお説きになったお示しが華厳経(けごんきょう)という非常に難しい教えでした。
ご自分の深い境涯を高い処からお説きになったものですから、誰もそのことが分かりませんでした。
そこでおシャカ様も気が付かれて、七仏の先生という文殊菩薩に「一向にみんなが分かってくれないけれども、如何したらいいだろうか」と相談なさりました。
すると、文殊菩薩が仰るのに、「それは世尊(おシャカ様)だけではありません、過去の諸仏方もみんなそういう様子でしたから、二段三段と少し程度を下げてお説きになったらどうでしょうか」と進言をしました。
それからは、おシャカ様は声聞乗、縁覚乗、菩薩乗という次第を説いてだんだんと人を導くようになさったと聞いたことがあります。
それが「三乗次第演金言(さんじょうしだいに きんごんをのぶ)」です。