活かして生きる ~放禅寺の寺便り~

娑婆世界を生きる智慧/おシャカ様・禅・坐禅・法理・道のこと

此の物

2016年07月26日 | 経典

有名なお経の中に、こういうお言葉があります。

「此の物無くんば 彼の物無し

此の物有るが故に彼の物有り」

と。

 

私たち衆生は、いつの間にか不知不識に

「此の物を自分だと認識」 してきました。

 

しかし、「此の物」 は自分ではありません。

「衆生(しゅじょう)」 なのです。

 

「衆生」 とは、「六道(りくどう)」 を輪廻する存在なのです。

 

「此の物」 は 「象徴」 にすぎません。

そこで、「此の物という象徴」 と 「本来の自己」との

隔たりを失くさなければなりません。

 

問題は 「すでに一体であり、一つのものであった」 という事を

「自覚」 することです。

 

私が 「目醒める」 ということではありません。

「此の物」 が 「縁其の物になる」 ということです。

 

おシャカ様の最後の説法に次のような一説があります。

 

「我れ今滅を得(う)ること 悪病を除くが如し

此れは是応(まさ)に捨つべき罪悪の物なり

仮に名付けて身と為す」 

と。

 

この中で一番大切なことは、「仮に名付けて身と為す」 という御言葉です。

ですから 「此の物」 を名付けて 「この身」 と称するのです。


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