ペンタ朗の漫漕ブログ-Life is but a dream!

ボートを漕ぐ税理士の日日是好日

「泥棒税制」

2015年06月17日 | 税理士

「最近ボートの事ばかり」…という声も聞きますので、たまには税のほうも。
といっても、関根稔先生のエッセイから引用です。「映画館税制」「コカ・コーラ税制」「泥棒税制」という「命名」がおもしろかったので、ご紹介します。

以下抄録(一部要約)
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「税法は公平でなければならない。公平には3つの概念がある。第1の公平は人頭税で、「映画館税制」。資産家でも、そうでなくても、映画館の入館料は同額である。これを不公平という者はいない。

第2の公平は消費税で、「コカ・コーラ税制」。誰が飲もうと、100円のコーラに課税されるのは5円(当時:抄録者注)の消費税で、これも1つの公平である。

そして、第3の公平が超過累進税率で、「泥棒税制」。年収300万円の者が、仮に泥棒に金銭を盗まれたとしたら、一体いくらまでなら耐えられるだろうか。せいぜい30万円だろう。しかし、年収が3000万円の者なら1500万円が盗まれても生活に困窮を来すことはない。これが超過累進税率であり、収入の限界効用に応じた平等の税負担を想定している。

そして、この泥棒はネズミ小僧でもある。高額所得者から小判を奪い、貧困者にばらまく。税法が育ててきた超過累進税率という公平概念は、公平な税負担というだけではなく、それ以外の意味でも優れた思想だと思う。

超過累進税率を利用して高額所得者の資産を所得の低い人たちの社会福祉に用いる。この所得再分配機能が一億総中流社会をつくり出し、有効需要をつくり出すことによって高度経済成長の基礎になっていた。いま問題になっている格差社会は、経済に原因があると同時に、超過累進税率の税額を引き下げてきた減税政策も原因になっているのだろう。」
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出典:『税理士のための百箇条』関根稔、財経詳報社

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