【出艇準備。コクピットは深さが適度で動きやすい。この日は裸足で乗ったが、強風のジャイブ時に安定したステップを踏むには、グリップの良い履物を履くほうが無難。
ブームバングは、通常のものと違ってブームを『引き下げる』のではなく、ブームを上から下に『押し下げる』もの。バングを逆さにしたようなので、VANGを逆さ読みしてGNAV(グナブ)、と呼ぶらしい。
この装備によって、メインセールの形が片舷だけ少し変になるが、その減点よりも、ピットクルーが素早く左右に動きやすく、ピット作業もしやすくなるプラス効果のほうが大きい。
写真撮影・矢部洋一 写真提供・舵社 copyright: Yo Yabe/KAZI】
レーザーSB3のSB3とは、『3人乗りスポーツボート(Sports Boat 3 person)』の頭文字。
そのレーザーSB3のセーリングの最大の魅力とは何か?
やはりそれは、大きなジェネカーを使った、滑るような(微・軽風)、あるいはカッ飛びの(中風以上)、ダウンウインド・セーリングだろう。
スピードがあるから舵効きがいいのは当然として、リグバランスがすごく研究されていて、
大きなジェネカーに舵を持っていかれそうな不安をほとんど感じない。
まるで従順な駿馬のように(乗ったことありませんが)、
主人がコントロールする通りに、聡明に走ってくれる。
【写真撮影・矢部洋一 写真提供・舵社 copyright: Yo Yabe/KAZI】
一方、風に向かって上っていくクローズホールドはどうか?
これまで、この手のスポーツタイプの小型艇は、クローズホールドは辛いだけの乗り物だと諦めていた。
かつてプラトー25に長く乗っていた頃、15ノット以上のクローズホールドは、
その後にダウンウインドでのカッ飛びを楽しむために乗り越えなければならない、避けて通ることができない苦しみなのだ、と我慢していた。
しかし、このSB3は、クローズホールドでも、プラトーのように凶暴にヒールしようとする挙動を見せない。
この艇を適正に走らせているときのヒールアングルは、
とてもマイルドで、カラダに苦しくない。
【写真撮影・矢部洋一 写真提供・舵社 copyright: Yo Yabe/KAZI】
また、もしハイクアウトしたくなったとしても、この艇はクラスルールでハイクアウトを禁止していて、ハイキングアウトするのを阻止するレールがデッキの縁に付いている。

【写真撮影・矢部洋一 写真提供・舵社 copyright: Yo Yabe/KAZI】
だから、お尻をデッキから外に出せない。
なので、ちっともお尻が痛くならない。
ちょっと背中を反らせるくらいならできるが、できるのはせいぜいそこまでだ。
それ以上のハイクアウトは、クラスルールで禁止してくれている、という優しさなのだ。
お腹周りと太腿部がどうしても緩んでしまう熟年セーラーの肉体事情を、
よく考えて開発された艇、クラスであるな、と感心する。

【この写真では、風が11、12ノットと弱いので、3人で少し前寄りに乗っている。
ヘルムスマン用のフットストラップはこの位置よりもかなり後ろのデッキにビス止めされている。
強風時には、ヘルムスマンはトランサムとデッキ後端のコーナーに座ることになる。
写真撮影・矢部洋一 写真提供・舵社 copyright: Yo Yabe/KAZI】
そういう、中年に優しい、全長わずか21フィートの小型ヨットなのに、
平均風速11ノットくらいの、波のない陸風のコンディションで、
10ノットのスピードでダウンウインドを走ることができる。
価格が数千万円もする40フィートクラスのレース艇であっても、
この風速では、10ノットのスピードを出すのは難しい。
この高性能に加わる魅力が、『手軽さ』、だと思う。
メンバー2人か3人が、その日のスケジュールが3時間だけでも都合が付けば、
午後の風のコンディションをチェックしてからでも気軽に乗りに行ける。

【写真撮影・矢部洋一 写真提供・舵社 copyright: Yo Yabe/KAZI】
そして、艇の艤装がディンギー並みかそれ以上にシンプルで、
ハーバーに着いてから出艇するまでの時間が短い。

【写真撮影・矢部洋一 写真提供・舵社 copyright: Yo Yabe/KAZI】
だから、タイムラグなく海に出られて、ついさっきまでのややこしい陸の世界とは別世界の、
ストレスのない爽快なセーリングの世界にいきなり飛び込める。
【写真撮影・矢部洋一 写真提供・舵社 copyright: Yo Yabe/KAZI】
(続く)
ブームバングは、通常のものと違ってブームを『引き下げる』のではなく、ブームを上から下に『押し下げる』もの。バングを逆さにしたようなので、VANGを逆さ読みしてGNAV(グナブ)、と呼ぶらしい。
この装備によって、メインセールの形が片舷だけ少し変になるが、その減点よりも、ピットクルーが素早く左右に動きやすく、ピット作業もしやすくなるプラス効果のほうが大きい。
写真撮影・矢部洋一 写真提供・舵社 copyright: Yo Yabe/KAZI】
レーザーSB3のSB3とは、『3人乗りスポーツボート(Sports Boat 3 person)』の頭文字。
そのレーザーSB3のセーリングの最大の魅力とは何か?
やはりそれは、大きなジェネカーを使った、滑るような(微・軽風)、あるいはカッ飛びの(中風以上)、ダウンウインド・セーリングだろう。
スピードがあるから舵効きがいいのは当然として、リグバランスがすごく研究されていて、
大きなジェネカーに舵を持っていかれそうな不安をほとんど感じない。
まるで従順な駿馬のように(乗ったことありませんが)、
主人がコントロールする通りに、聡明に走ってくれる。

一方、風に向かって上っていくクローズホールドはどうか?
これまで、この手のスポーツタイプの小型艇は、クローズホールドは辛いだけの乗り物だと諦めていた。
かつてプラトー25に長く乗っていた頃、15ノット以上のクローズホールドは、
その後にダウンウインドでのカッ飛びを楽しむために乗り越えなければならない、避けて通ることができない苦しみなのだ、と我慢していた。
しかし、このSB3は、クローズホールドでも、プラトーのように凶暴にヒールしようとする挙動を見せない。
この艇を適正に走らせているときのヒールアングルは、
とてもマイルドで、カラダに苦しくない。

また、もしハイクアウトしたくなったとしても、この艇はクラスルールでハイクアウトを禁止していて、ハイキングアウトするのを阻止するレールがデッキの縁に付いている。

【写真撮影・矢部洋一 写真提供・舵社 copyright: Yo Yabe/KAZI】
だから、お尻をデッキから外に出せない。
なので、ちっともお尻が痛くならない。
ちょっと背中を反らせるくらいならできるが、できるのはせいぜいそこまでだ。
それ以上のハイクアウトは、クラスルールで禁止してくれている、という優しさなのだ。
お腹周りと太腿部がどうしても緩んでしまう熟年セーラーの肉体事情を、
よく考えて開発された艇、クラスであるな、と感心する。

【この写真では、風が11、12ノットと弱いので、3人で少し前寄りに乗っている。
ヘルムスマン用のフットストラップはこの位置よりもかなり後ろのデッキにビス止めされている。
強風時には、ヘルムスマンはトランサムとデッキ後端のコーナーに座ることになる。
写真撮影・矢部洋一 写真提供・舵社 copyright: Yo Yabe/KAZI】
そういう、中年に優しい、全長わずか21フィートの小型ヨットなのに、
平均風速11ノットくらいの、波のない陸風のコンディションで、
10ノットのスピードでダウンウインドを走ることができる。
価格が数千万円もする40フィートクラスのレース艇であっても、
この風速では、10ノットのスピードを出すのは難しい。
この高性能に加わる魅力が、『手軽さ』、だと思う。
メンバー2人か3人が、その日のスケジュールが3時間だけでも都合が付けば、
午後の風のコンディションをチェックしてからでも気軽に乗りに行ける。

【写真撮影・矢部洋一 写真提供・舵社 copyright: Yo Yabe/KAZI】
そして、艇の艤装がディンギー並みかそれ以上にシンプルで、
ハーバーに着いてから出艇するまでの時間が短い。

【写真撮影・矢部洋一 写真提供・舵社 copyright: Yo Yabe/KAZI】
だから、タイムラグなく海に出られて、ついさっきまでのややこしい陸の世界とは別世界の、
ストレスのない爽快なセーリングの世界にいきなり飛び込める。

(続く)