ブログ人 話の広場

日頃の生活のなかで見つけたことなどを写真もそえて

譲り合い

2010-04-17 08:22:23 | 日記・エッセイ・コラム

 電停で電車を待っていたら、ちょうど僕の前でドアが開きました。その前に中年の女性が先に電停に立っていたので、「おさきにどうぞ」と声をかけると、笑顔で逆に僕にどうぞと勧めてくれます。出発する電車を待たせて、「どうぞ」のやり取りを2度ほどして、女性が電車に先に乗り込みました。日本人らしい常識をわきまえている方だなあと思いました。僕ははっとして車内の人はさぞイラついたことに気が付きかえって申し訳ないことをしたと反省しました。

 一方では大変なお年寄りも乗ってきます。とてもお一人りでは大変な方が荷物と杖を持ってバスの高いステップを這うように上る姿は痛々しく感じます。その入り口を上りきったところで一息でも付くように左右の座席の空きを確認するかのようにキョロキョロ。運転手が苛立つような声で「早く席についてください!」といいますが、そのお年寄りの女性は悠然としてふらつく足元を気にもとめず見つけた席につきました。こんな風景は今ではいつも見る光景で珍しくはありません。どうも足腰の弱ったお年よりはバスを乗るにしても命がけとでもいいたいくらいに不便です。日本という国は必要もないことに力を入れて、大事なところが欠落しているアンバランスな国だと思えてなりません。

 年を重ねると、あまり周りのことに気遣う感覚が緩んでくるのでしょうか。わが道を行く、といった態度は呆れるよりたいした勇気だと思います。こうしたお年寄りが電車やバスに乗るにしても気楽に笑顔で手伝ってあげる世の中にしたいものだと、やがて僕もそうなって行くことをちょっぴり想像しながら、何事もなかったように終点まで行きました。人の振りを見て心を養っていかなければなりませんね。上品に老いましょう。

やさしいタイガー