僕はこの季節になると、自然に口ずさんでしまう「早春賦」、ふと目に涙が滲んでくるのです。長い闘病生活から明けて、やっと社会に出る許しをいただいたのは30歳の早春のころでした。特に2番の詩に心打たれます。”氷解け去り葦の角ぐむ。さては時ぞと 思うあやにく 今日もきのうも 雪の空。今日もきのうも 雪の空。”
作詞の吉丸一昌はどこかから鳴く鶯の声に春を思い、氷が溶けて清らかな小川のせせらぎに春を見たのでしょうか。もちろん街中ではこんな風情はもはや見ることも聴くこともありませんが、少し遠くの山々の峰にはまだたっぷりと雪をいただいて4月中はまだ残雪なのでしょう。
吹く風はときどき首をすぼめるほどの冷たさを感じますが、確かに早春の香りです。移り行く季節の尊さを感謝しながら短い春を楽しみたいものですね。
やさしいタイガー