10年も兄と妹の間で疎遠になっているある家庭。「どうしてる?今日物を送りましたから、着いたら連絡下さい」。何の返事もない。また妹は気にかけているのだろうか。電話をする。それでも留守電になっている。兄は独り誰にも看取られずにすでに不帰の人となっていたそうです。
最近『無縁社会』という現象が広がり、引き取り手のないまま命を絶つ人が毎年3万2千人以上もいるようで、自治体に処理され、無縁仏として送られるというニュースをしりました。悲しいというよりなぜこのような社会になったのか、犯人は誰かと突き止めたい怒りの衝動に駆られます。
あれほど会社で昼夜を分かたず働いて、辞めてしまったらただの人間、人との関係も残しておらず、いったい自分にとって会社とは何だったのか、と仕事も見つからない日々に焦りがつのるばかり、ただ悶々と独りで会話のない生活を続けるしかない。人間ってそんなに安っぽい者なのでしょうか。
明らかに日本の社会は歪んでいます。経済人も教育者もそしてなによりも宗教家たちは何をしているのでしょうか。生きる勇気を失いかけている人は、もう自分から進んで知人や友人に声をかける気力も失っているのです。それよりも「助けて」と張り叫ぶ相手さえいないこの寂しい世の中。ぼくはこうした方々を受け止める組織を作り、一緒に考える伴走者として立ち上がってみたいという思います。
やさしいタイガー