「あなたが長く外国で生活したとしてそこの国籍に鞍替えして日本から離脱するか」という講義の途中での質問を学生にぶつけてみた。そうしたら、ごく一部の学生はこれからの時代はどこの国に住むかどうかは問題ではないという国際派のような回答をした学生がいたが、ほとんどが日本に住み続けたいと答えていた。
今の日本を見ていると、若者に必ずしも夢や希望を抱かせるような社会ではない。政治家は哲学を持っていないし、官僚はのさばって悪事の隠蔽をするし、国民のために仕事をしているとはとても思えない。企業は業績を上げるために労働格差を増大させているし、次々とマイクの前で頭ばかり下げている経営者や政治関係者たち。それに環境悪化ときている。こんな国捨ててしまえ、と思うのかといえばそうではないのだ。
それでも日本はどこか、未来にまだ何かある、と思う若者のけなげな夢を抱いている。そして日本が好きだと言う。この精神を大切にして、もうこのあたりでだらしのない指導者たち、自分のためではなく、こんな純真な気持ちを持つ若者のために死に物狂いで「誇りのある日本作り」に精進して働いてもらえないものか、としみじみ思った。
やさしいタイガー