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喫茶 輪

コーヒーカップの耳

『兎の眼』

2019-01-10 16:30:50 | 本・雑誌
「図書」(岩波書店)1月号を読んでいた。
すると懐かしい『兎の眼』(灰谷健次郎著)のことを柳広司さんが書いておられる。


懐かしいというのは、この本のことを鮮やかに覚えているから。
長男が幼稚園に入り、わたしがPTAの会長をしていた時の保護者の一人に勧められて読んだ本なのだった。
その時はまだ、灰谷さんが足立巻一先生を父親のように慕っておられたなどとは知る由もなかった。
わたしは、足立先生のことすらも知らない頃であった。
なのに、この本にいたく感動し、記憶に残るものになったのだった。

柳さんの文章は、5ページにわたって書かれている。その終わりの方にこんなことが。
《泣ける小説。という売り文句を最近書店の売り場でよく見かける。(略)井上陽水の歌詞ではないが、大の大人が人前で涙を流す、泣く、のはよほどのことだという認識が、少なくとも私の世代まではあった。「思わず泣いた」「号泣した」「何回泣いた」などと、引き出しの奥深くしまった日記帳にならともかく、不特定多数の者の目にふれる媒体に書くことは、正直言って恥ずかしい行為だった。(略)本作に「泣ける小説」という宣伝文句を使うのはやめてほしい。「読んで泣けた」という読者感想も聞きたくない。(略)”泣く“という行為は人の思考を停止させる。本書を読んで、もし泣きそうになっても、歯を食いしばって、考えてほしい。「泣ける小説」だからこそ「泣かない読書」を試みてほしい。ミステリアスなタイトルも含め、考えることを多く要求する作品だと思う。》
本当に最近「泣ける」とか「号泣」という言葉が安易に使われ過ぎているように思う。
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続 コーヒーカップの耳 67 「福男・消防士」

2019-01-10 09:44:12 | 続・コーヒーカップの耳
続 コーヒーカップの耳

67「福男」

もうやめた と思っていたのに 就職した消防署の先輩から 命令ゆうわけやないけど 「出ろ出ろ」言われて出たんです。もう自信はなかったですけど まあ救助訓練とかでパワーがついていたんでしょうね なんとか二番福になったんです。だけど これが微妙な成績で やめるにやめられなくて 次の年も出たんです。だけどまた二番。もう勝つまでやめられんて思いました。そして次の年に福男に復活しました。三回目の福男です。学生の時は軽い気持ちやったんですけど この時はやっと責任果たしたと思いました。ぼく 元々神様を信じることなかったですけど 心の中の願いごととか みな叶えられるんですよ。今は素直にご利益もらってると思ってます。今年から 救急救命士の資格取得を目指して勉強するつもりなんですけど これもきっと叶えてくれはると思ってます。

追記
この話の主人公、Z君が、今日TVに出演していたと聞いた。
わたしは見なかったのだが、今年(今日、10日)の一番福も消防士だったからなのかな? 
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続 コーヒーカップの耳 66

2019-01-10 09:21:31 | 続・コーヒーカップの耳
続 コーヒーカップの耳

66「飛行機」

ギアナ高地へ行ってきました。動物も住めないほどの秘境です。標高1000メートル辺りにテーブルマウンテンという切り立った岩山が果てしなく続いているんです。そこにある世界一高い滝 エンジェルフォールには感動しました。六甲山と同じぐらいの高さなんです。セスナ機で奥地まで行って そこから川をカヌーで二時間半も行かないと見られないんです。娘時代に読んだ『ロストワールド』(コナン・ドイル)という小説の舞台になった所なんです。いつか行きたいと思っていて やっと果たせました。
砂漠も好きでね 世界の砂漠巡りもしてるんですよ。これまでに行ったのは タクラマカン、サハラ、ヨルダン、シリア、レバノン。なんで?てですか?わたし なんにもないのが好きなんです。湿っぽいのが嫌いなんです。次はね エジプトにあるという 世界最古の砂漠に行ってみたいと思ってます。え?飛行機事故の心配?実はそれ わたしの望みなんです。わたし 飛行機事故で死にたいんです。しかも 海に落ちて見つからないのが願いなんです。マスター 乗ったことないんですか!マスターが乗ったら落ちるんですか!それなら是非 わたしと一緒に行って下さい。一緒に飛行機に乗りましょ。念願の飛行機事故で死ねるんなら。
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