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「夏の爆弾」

2025-07-03 09:18:14 | 出久根達郎さん

出久根達郎さんの『恋の石ころ』を読んでいて、遠い昔のことを思い出した。

「夏の爆弾」の項である。

 このあとまだ次のページに続いて「夏の爆弾」の意味が解るのだが、この随筆の冒頭。

《子どもの頃、夏の夜、田んぼ道を歩いていると、草むらで光るのもがある。ホタルだ、と思い、捕まえようと手を伸ばしたら、あれは蛇の目だよ、と大人に教えられた。》

わたしも幼児のときにこれを体験したことがあると思い出したのだ。

母の実家は和田山の糸井という所だった。

そこから西宮に帰って来る時のこと。

わたしは多分5、6歳だったと思う。

朝、まだ暗いうちに和田山駅まで母親と歩かされた。

祖父と祖母が送ってくれた。

多分数キロあったと思うが、もっと近かったかもしれない。自家用車なんか無い時代である。

まだ暗い中、田んぼ道、山裾の道を歩いた。

その途次のこと、わたしは道の傍らの草むらで光るものを見つけた。

「あ、ホタル!」と言って捕まえようとした。

すると祖父が「それは蛇の目だ!」と叱った。

出久根さんも同じ体験をしておられたのだ。

 

出久根さん推薦の本。 『触媒のうた』楽しい文学史秘話が満載。

 

 

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出久根達郎さんの年賀状

2025-07-02 10:05:53 | 出久根達郎さん

出久根さんの随筆集『恋の石ころ』(藤吾堂出版・2025年6月30日刊)の中に「年賀状」というのがある。

「年賀状が大好きである」と始まる随筆。

2014年の年賀状のこと。それならわたしどこかにあるはず、と探し出した。

「くまモン」だ。印象的な年賀状だったのでよく覚えている。

そうか、そうして作られた年賀状だったのか。

随筆最後に「年賀状の欠点は、感想が聞けないこと。賀状の話題は正月限りなのである。」とある。

たしかにそうですよね。わたしも毎年、わたしなりに工夫をして作るのだが、その感想を聞くことはあまりない。

たまに、後にお会いした時に「楽しい年賀状でした」と言ってもらえることがあるが、その時はうれしい。

で、その年に出したわたしの年賀状はこれ。

出久根さんも読んで下さったと思うが、感想はお聞きしていない。

 

出久根さん推薦の本。 『触媒のうた』楽しい文学史秘話が満載。

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「藤吾堂」随筆シリーズ、9巻目

2025-06-30 19:04:27 | 出久根達郎さん

出久根達郎さんから随筆集が届いた。

「藤吾堂出版随筆シリーズ」第9巻。

うれしいなあ。

これは1994年から2018年まで各紙誌に掲載されたものとのこと。

出久根さんの随筆は絶品ですからね。

奥付を見ると、発行日が、2025年6月30日となっている。

正に今日だ。

眼もよく見えるようになったし、楽しみ楽しみ!

 

imamuraさんの本。 『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。
 
          『触媒のうた』楽しい文学史秘話が満載。

 

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三島由紀夫、三浦朱門の記憶力

2025-06-16 22:34:45 | 出久根達郎さん
『KOBECCO』6月号に「三島由紀夫の記憶力」と題して書いた。
出久根達郎さんの著書から引用して。
 
そこで出久根さんに『KOBECCO』をお送りしておいた。
 
そのお返事が届いた。
 
病気直後は夫人の代筆だったが、辛いリハビリを耐えられたのだろう。ここまで書けるようになられたのだ。大分もとに戻っておられる。
 
《おたよりと「月刊神戸っ子」をありがとうございました
 
なんとか 元気です
 
三島由紀夫の記憶力は真実らしく、編集者からずいぶんお聞きしました。
 
芥川賞選考会が終ると、その場で、選評を口述したそうです。
 
よどみなく 辞書も使わず…
 
小生がびっくりしたのは 三浦朱門さんが 最晩年に ゲーテの長詩を暗唱したことです。
 
大学時代に覚えたといいました。
 
その時 90才に近かったです。
 
70年前の文章を忘れずにいたなんて、と唖然としました。(後略)》
 
スゴイ話です。
 
 
 
imamuraさんの本。 『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。
 
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 『編集者魂』読了

2025-04-15 21:53:47 | 出久根達郎さん
 
出久根達郎さんお奨めの本『編集者魂』(高橋一清著)を読み終えた。
 
読みごたえのある本だった。
 
物書きについての深く考えさせられる本。
 
感動する場面がいくつもあった。
 
「あとがき」の冒頭。
 
《「人の体は食べもので作られ、人の考えは会った人によって作られる」という。編集者として文藝春秋で働いた38年間にどれほどの人に会っただろう。》
 
その会った人というのが一流の物書きばかりだ。
 
その出会いから別れまでが感動的に書かれている本。面白くないはずがない。
 
読んで良かったと心から思える本だった。
 
 
imamuraさんの本。 『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。
 
          『触媒のうた』楽しい文学史秘話が満載。
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『編集者魂』にこんなことが

2025-04-15 09:47:14 | 出久根達郎さん
 
江藤淳の項。
 
《文章に携わる人は「何かのために」ではなくて、「誰かのために」書くのではないかと思う。
 
また、そういう文章が強い。》
 
出久根さんお奨めのこの本には心に響く言葉が多くある。
 
 
 
imamuraさんの本。 『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。
 
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漱石先生の手紙

2025-04-10 14:03:43 | 出久根達郎さん
 
『漱石先生の手紙』(出久根達郎著・講談社・2004年刊)。
 
前に一度読んでいる本ですが、パラパラと見てみたらすっかり忘れています。情けないことです。
 
病院に行くのに持って行って待ち時間に読んでいました。
 
鏡子夫人への手紙の項にこんなことが書かれていて興味深かったです。
 
《さて、鏡子夫人は悪妻であるという世上の評判があります。漱石が作家として偉大であるために、このような伝説が生まれたものと思われます。鏡子夫人は、ごく当たり前の女性であります。よくぞ神経質で癇癪持ちの漱石に尽くしたと感心します。夫婦仲も決して悪くない。漱石は子福者で、夭折した娘を入れますと、七人の子持ちです。むしろ仲の良かった証拠でありましょう。
夫人は思ったことを、そのまま口に出す人であったかも知れません。漱石が夫人に謡を聞かせます。終って.ありがとうと言え、と要求しましたら、夫人が、あなたこそ聞いてもらってありがとうとおっしゃい、と言い返したことが、漱石の日記に出てまいります。
とげとげしいエピソードでなく、夫婦のじゃれあいですが、鏡子夫人、決して負けておりません。》
 
こんなの読むと、なんだ仲良しじゃないか、と思ってしまいます。
 
ところで、漱石には、わたしの妻と同名のご息女があったんですね。
 
森鴎外と違って漱石は自分の子にいたって平凡な名前をつけております。
 
 
 
imamuraさんの本。 『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。
 
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『昔日の客』の周辺

2025-04-06 12:52:16 | 出久根達郎さん
 
出久根達郎さんからお贈りいただいた本『「当り本」目録』ですが、こんなページがあります。
 
「語らないで述べている(関口良雄『昔日の客』」の項。
 
《作家の野呂邦暢が無名時代に、古本屋で本を値切ったら、店主に小言を食った。帰郷する日、前からほしかった本を買うべく、その店に行く。旅費を除くと、本代が足りない。わけを話すと、その額でよい、と負けてくれた。十数年後、野呂は芥川賞を受賞する。自著にこう記して、店主に贈った。「昔日の客より感謝をもって」》
 
この後も面白い文章が続きます。
 
この出久根さんの『「当り本」目録』は、出久根さんが奨める本についてのエッセイ集でもあります。
 
本好きにはたまらない本。
 
この本、一般書店では入手できないと思います。もちろんネットでも買えません。
出久根ファンは、直接「藤吾堂出版」(0265-22-1646)に電話して注文して下さい。
 
出久根さんお奨めの本。『触媒のうた』
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『「当り本」目録』

2025-04-01 18:13:57 | 出久根達郎さん

出久根達郎さんから新しい本が届きました。うれしいなあ!

『「当り本」目録』(出久根達郎著・藤吾堂出版・1500円)。

発行日は2025年3月31日。つまり昨日というわけ。

この本、一般書店では入手できないと思います。もちろんネットでも買えません。

出久根ファンは、直接「藤吾堂出版」(0265-22-1646)に電話して注文して下さい。

 

出久根さんお奨めの本。『触媒のうた』

 

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『『紀国の徳人』と『布衣の農相』』読了

2024-12-04 19:10:05 | 出久根達郎さん

出久根達郎さんの『『紀国の徳人』と『布衣の農相』』(藤吾堂出版・2024年11月30日刊)を読了しました。

この本、本屋さんからは入手できないと思いますので、

「藤吾堂出版」の電話番号を記しておきます。0265-22-1646

 

紀国の徳人は「稲むらの火」のモデルになった濱口梧陵の評伝。

感動を持って読んだ。

そして布衣の農相は明治期の前田正名の評伝。

前田については私は恥ずかしながら知らなかった。

出久根さんのこの本で教えて頂いた。

明治期の政治家や実業家は若い年齢で活躍しているのに改めて驚く。

やっぱり昔の人は偉いなあ!と。

それにしても出久根さんの博学ぶりには恐れ入ります。

読みごたえのある本でした。

 

『触媒のうた』出久根さん推奨の本。

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『紀国の徳人』

2024-11-28 09:34:39 | 出久根達郎さん

出久根達郎さんの新著『『紀国の徳人』と『布衣の農相』』(出久根達郎著・藤吾堂出版・2024年11月30日刊)1500円を読んでいる。

この中の『紀国の徳人』の部分を読んでいるのだが、難しい。しかしすごく勉強になる。

初めの方に1999年に美智子皇后がおっしゃった言葉が紹介される。

《子供のころ教科書に、確か『稲むらの火』と題し津波の際の避難の様子を描いた物語があり、(後略)》

この稲むらの火の主人公が濱口梧陵なのだが(物語では五兵衛)、わたしはこの話、単純に考えていた。

単に稲むらに火を点けて津波を村人に教え救った話だと。

ところが実際はもっともっと話は複雑だったのだ。

実在の人物、濱口梧陵のことを出久根さんはいろんな書物を渉猟して書いておられるのだが、これが大いに勉強になる。

濱口梧陵は幕末から維新にかけての人。私財を次々と投げうって世のため人のために尽くし続ける。この続けるところが常人ではない。

これまでこの人のことを本格的に書いた伝記はないとのこと。

なので、出久根さんはあらゆる文献を細かく当たっておられる。

これは万巻の書を読んでこられ、しかも内容を細かく覚えておられる出久根さんにしか書けないものでしょう。

梧陵自身が書いたものも極端に少ないのだと。だから、彼に所縁のある人(勝海舟や福沢諭吉など著名人も多い)の文献から探し出して来て繫いでおられる。これはこれまで誰もやっていない凄いこと。終りの方にこうある。

《最初に述べたが、梧陵には未だ本格的な伝記が編まれていない。唯一あるのは『楚人冠全集』の第七巻「濱口梧陵伝」のみである。これとて不備多く、不明な部分が目につく研究書である。たとえば梧陵の家族構成や動向にはほとんど触れていないし、(夫人の名すら明記していない)、》

これは出久根さんが本格的な濱口梧陵伝を書くしかないですね。今読んでいるこの本だけでも結構詳しいが本格的なものを待ってます。出久根さん、どうかお元気で。

 

『触媒のうた』出久根さん推奨の本。

 

 

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赤胴鈴之助の主題歌

2024-10-01 16:58:41 | 出久根達郎さん

出久根達郎さんの『本の身の上ばなし』を読んでいて、「あ、そうだったのか!」と思うことが書かれていた。

「愛すべき漫画の思い出」の項。

《女優・吉永小百合は、声でデビューした。昭和32(1957)年当時の子どもたちは、定刻六時になるとラジオに耳を傾けた。「ちょこざいな小僧め、名をなのれ」「赤胴鈴之助だ」。そして剣をとっては日本一に、という主題曲が流れてくる。》

驚いた。この中の「日本一」のところ。

わたしは子どもの頃からずっと、ここは「日本一」だと思っていた。

頭をガツンと殴られた思い。なんという思い違い。そういわれればそうだ。

でも子どものときに脳に刷り込まれていて、全く間違いには気づかずにきた。

こんなことがほかにもたくさんあるのだろうな。

 

『コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。
 
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出久根さんと切手

2024-09-29 21:10:00 | 出久根達郎さん
 
『本の身の上ばなし』(出久根達郎著)を読んでいたら、こんなことが書かれている。
 
 
「古い記念切手をせっせと消費している。」
 
そうなんです。出久根さんから頂く手紙の切手は古い記念切手がいっぱい貼ってあります。
 
 
 
『コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。
 
 
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『本の身の上ばなし』

2024-09-18 09:42:09 | 出久根達郎さん

出久根達郎さんの新著『本の身の上ばなし』(ちくま文庫・2024年9月10日発行)です。

うれしいなあ!出久根さんの新著が出たんだ。

と言ってもこれは「日本経済新聞」に2019年10月から2020年10月まで土曜日に掲載されたものとのこと。

先ず取りあえず最初の一篇を読んでみる。

これがもう、面白い。

俳優高倉健は名文家だったという。

次のページ。 上手い紹介の仕方ですねえ。さすが出久根さん。「先が読みたくなりますが、それは高倉の著書『あなたに褒められたくて』で楽しんで下さい。」だって。こんな風に書かれたら、この本を読まないわけにはいきません。

そして次のページ。 この話を読み始めてすぐにわたしは、「読んだことがある」と気づいた。それはこのページの終わりの方にある田辺聖子さんの『姥ざかり花の旅笠』。何年か前に私は読んでいる。

この最終行。「うっかり言い忘れる所だった。高倉健は宅子の直系の子孫である。」これを最終行に持ってくる技。出久根さんの独壇場ですね。

ああ、あとを読み進めるのが大いに楽しみ。

 

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パリパラ金メダル第一号と大石順教尼

2024-08-30 09:27:47 | 出久根達郎さん

テレビのニュースでパリパラ金メダル一号の日本人選手のことを見ていて「凄いなー」と思った。

競泳の鈴木孝幸選手。

右手両足に大きな障碍がある。それであのスピードで泳ぐ。

それで連想する話があった。

最近読んだ出久根達郎さんの『人に麗句あり』の中の「大石順教」の項。

是非読んでください。きっと感動します。見事に簡潔で美しい文章です。わたしは知らず知らずのうちにその文体を真似ていることがあります。もちろん敵うはずがありませんが。

特にここ。

「何でも自分でされるというが、お手洗いはどうされるのか、と問われ、あなたが両手を切ってきたら教えてあげる、と笑って答えた。」

「笑って」というのが凄いです。

 

ところで、出久根さんだが、この本を送って下さったときの謹呈票に書き添えて下さっている言葉にわたしは涙する思いでした。

 

 これは病後の字です。お元気な時の出久根さんは素晴らしい字を書く人です。

余人には読めないでしょうが、わたしにはわかるのです。

大変な中で書いて下さっていて、ありがたいことです。

最近いただいたお手紙ではもう少し分かりやすい字で書いて下さっていて、順調に快復されているようです。

お体大切にして頂きたいです。来

 

『コーヒーカップの耳』 おもしろうてやがて哀しき喫茶店。

 

 

 

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