カラオケ・デンモク

　お客さんがカラオケを歌うからデンモク(タッチパネル式のカラオケリモコン)を貸してと言ったので渡した。
　お客「ここのデンモク薄いね～。最新式やね」
　私　「薄いのが最新式か？」
　お客「そうやで、最近はケータイも液晶テレビもノートパソコンも薄なってるで。薄いのがトレンドや」
　私　「俺も最新式やな」と自分の薄い頭のてっぺんを指差して言った。
　お客「そう言うやろなあと、薄々感じてたわ」
　若いお客さんはニヤッと笑みを浮かべながらダジャレで返した。

　一句：機器類は　薄い軽いが　最先端
　頭は薄いのが年期モノ。機器類と反対や。

得した気分？

　今日のお客さん、肩が１週間ぐらいずっと痛むので病院に行ってきた話をしだした。
　お客「肩がずっと痛いから今日、病院に行って来てん」
　私　「へえ、それで医者にどない言われたん？」
　お客「五十肩て言われたわ」
　私　「六十歳やのに五十肩やて、若(ワコ)う言うてもろて得した気分やね」
　お客「何でやねん！」
　
　一句：病人には　ワザととぼけて　紛らわす

プラス思考・マイナス思考

　男性客・Kさんが年配の女性客・Hさんに説教されていた。暫らく様子を見てたら言葉がキツイので割って入った。
　私　　「Hさん、Kさんは飲みに来てるんやから説教はダメ、ダメ」
　Hさん「いえ、Kさんの事を思って…」
　私　　「Kさんは自分から相談してないやろ。それにHさんは言葉がキツイから嫌がられるで」
　Hさん「私のキツイのは性格やからなあ。でも、それで嫌われるんやったら気をつけるわ」
　私　　「そうやで、好意と思てした事でもアダになる時もあるから…。Kさん、説教されてたなあ」
　Kさん「僕のこと、思て言うてくれてるからええねん」(折角の助け舟も肩透かし…)
　私　　「Kさんは何でもええ風(フウ)に考えるな。プラス思考やな」
　Kさん「相手の悪いトコばっかり見るとしんどなる。相手のええトコばっかり見ると自分も楽になり、幸せになれる」
　私　　「さすが年の功！ええこと言うなぁ。でも焼きもちはアカンで。それはマイナス思考やで」
　Kさん「好きな女性が他の男と話をしてたら、あの二人できてるのんと違うかとか色々悪い風に考えてしまうねん」
　私　　「でも、あの女(ヒト)はKさんの恋人でもないんやから、焼きもちを焼く権利は無いで」
　Kさん「俺って、好きな女性の事になるとマイナス思考になるんやなあ」　

　一句：飲む席で　説教たれるは　野暮(ヤボ)な人

トイレ

　若いお客さんが会話中に「ちょっとトイレに行くわ」と中座した。私は「シッコう猶予や。はよ、行っトイレ」とジョークを飛ばした。そして彼はトイレからスグに帰ってきた。
　おしぼりを渡す時にママが一言。
　ママ 「トイレ早いなあ」
　年配A「若いコは早い」
　私　　「早漏てか？」
　年配A「違う、元気がええからや。俺らはチョロチョロやから遅い」
　私　 「そう、年いくと切れが悪い。振っても振っても切れにくい」
　年配B「俺は振っても出えへんわ」
　私　 「フトコロと一緒やなあ。お金が無いから、無い袖は振っても出えへん」
　年配A「袖が無いねんから、無い袖は振られへんやろ」
　私　 「あ、ソーデんなぁ」

　一句：臭い仲　トイレ談義で　ハナ咲かせ

会話

　一方的に喋りまくるお客・Bさんがいた。聞かされる方はたまらない。会話が成り立たない。
　お客A「Bさん、面白ないわ。会話はドッジボールせんなアカンで」
　私　　「ドッジボールと違うやろ。ええと、あの、野球の…」
　お客A「ああ、デッド・ボールや」
　私　　「違うがな、デッド・ボールやったら、よけい悪いやん」
　お客B「それってキャッチボールやろ」
　私　　「なんや分かってるやん、Bさん。それで受け答えが出来、会話が弾むんやで」
　お客B「そうやなあ。それでは、プレイボール！」

　一句：やりとりの　話弾んで　夜が更ける

単位がトン

　でっぷりとした30代のお客さんが来た。久しぶりに見た彼は以前より一層肥えていた。
　私　「太ったなあ、立派になって」
　お客「そうやねん、合う服を見つけんのんが大変やわ」
　私　「見たところ、100キロは超してんのんと違うか？」
　お客「0.12トンや」
　私　「体重の単位はトンかいな」
　お客「キロ単位で言うデブは修行が足らん。トンだけにトコトンいかな」
　私　「いき過ぎたらトン死するで」
※頓死(トンシ)＝突然死ぬこと。急死。

　一句：体重を　トンで言う彼　太太しい
　※太太(フテブテ)しい＝開き直っていてずぶとい。

腸閉塞？

　1週間ぶりに常連客が来た。顔色が悪い。
　私　「大丈夫か？顔色が悪いで」
　お客「腸閉塞やってん。先週の木曜から昨日までほとんどメシ食ってないねん」
　私　「医者に行ったんか？」
　お客「いや行ってない。4年おきぐらいになるから行かんでもわかるね」
　私　「なんや、あんたの病気はうるう年かオリンピックかいな」
　お客「そうや、腸の中で悪玉菌が4年目の運動会してるわ」
　私　「一体、原因はなんや？」
　お客「先週の水曜日にスパゲティを作り過ぎて捨てるのんがもったいなから全部食べてん。それからや」
　私　「なんや体裁よく腸閉塞て病名つけてるけど、ただ単に食べ過ぎやん。スパでスッパイ(失敗)したな。」
　「・・・・・」誰も笑わず、別のお客さんが一言。
　「苦しかったな」

　一句：腹痛は　自慢の手料理　食べ過ぎて

天地真理

　今日はお客さんと年月が経てば人の容姿が変わる話題。そこで昔の面影がなくなった天地真理の話が出た。
　お客「天地真理は俺らのアイドルやった」
　私　「変わったな～。昔の面影が全然あれへん」
　お客「昔、出てきた時は白雪姫て言うてた」
　私　「今は見られへん。出てきたら白ける姫や」

　一句：出ないでヨ　イメージガタ落ち　マリ(真理)ア様