洗面台

　「蛍光灯が点けへんで」
　今日の昼、妻が洗面台の蛍光灯が点かないと言ったので調べた。
　洗面台上部の化粧棚にあるコンセントが焦げて溶けている。ドライヤーのコードを挿しているコンセントの隣に蛍光灯のスイッチがある。
　この部分が原因だと思い、化粧棚部分を壁から取り外して裏面を見た。しかし、裏面はベニヤ板をホッチキスでしっかり留めていた。
　ネジではないので外せない。仕方なく、錐(キリ)とノコギリを使ってコンセントの裏面部分のベニヤ板を切り取った。
　思っていた通りにスイッチとコンセントが繋がって配線している。コンセント側のコードを外して、スイッチ側のコードを電源からきているコードに直結した。
　試しに電源を壁のコンセントに挿してスイッチを入れた。
　点いた！
　思惑がうまくいった時は嬉しいものである。
　「あんた、電気屋さんになったらええねん」と、妻が感心しながら言った。
　「これくらいで電気屋さんになれるんやったら誰でもなれる。世間はそんなに甘いもんと違うで」と言いつつも、内心では悪い気はしなかった。

　一句：これくらい　おまかせあれと　腕まくり