イタリアまるかじり

料理を通じてイタリア文化探検する。

ポー川のひかり(岩波ホール)エルマンノ・オルミ監督

2009-10-01 13:03:51 | その他
北海道から東京に戻り約1ヶ月経過、その間ブログをさぼっていましたが、本日10月1日より再開。イタリア映画との事で女房に誘われて鑑賞、映画の内容は事前に知らずに「ポー川のひかり」の題名にひかれたのが本音。もとの題名は「百本の釘」この題名だと多分行かなかったと思う。ポー川はアルプスを源流としアドリア海に注ぐ大河。ポー川のデルタ地帯は米どころであり、又最高級のハム「クラテッロ」の産地、写真はルッカの肉屋で左下の丸い型がクラテッロ。天井につるし10~14ヶ月熟成し、床には地元の赤ワインをまくと言う贅沢な一品、豚ばら肉の尻の肉と塩だけを使用している。小生は一度だけ食した事あり、少し固めだが口の中に芳醇な香りがひろがってきたのをおもいだしました。

映画のあらすじ;夏休みに入った欧州最古のボローニャ大学の図書館で大量の古文書が太い釘で床に貫かれる事件が起きる。容疑者は若く将来を嘱望されている哲学教授。ドイツの車BMWであてもなくドライブしポー川のほとりで、車のキイ、クレジットカード、身分証明書、ジャケットなどほとんどの物をポー川に投げ捨てる。やがて朽ちかけた小屋に住み着き始めた。村人は彼に関心を持ち、「キリストさん」となずけ廃屋の修理の手伝いをしてくれる。マグダレナのマリアを思わせる若い女性とのダンス、そして恋。老人達はキリストさんも女好きとからかう。素朴なポー川流域の静かな人々の暮らし。一方警察は自殺の線で調査を始める。
ポー川中流に港建設の計画が持ち上がり、不法居住していた老人達に罰金が課せられた。「キリストさん」は一枚だけ持っていたクレジットカードを差し出した。身元がわれる事を承知の上で、そして逮捕される。毎日図書館で古文書をさわり不自由な目で眺め回すのを日課としている神父が刑務所を訪れ、「キリストさん」をなじる。彼は「本よりも友人と飲むコーヒーのほうがいい」と答える。
「キリストさん」は釈放されて戻ってくるとの情報が入る。村の少年が「キリストさんを見たよ。新しい背広を着て土手を歩いて行ったよ」。人々は「キリストさん」を待ったが夏が過ぎ、秋、冬となっても戻っては来なかった。
オルミ監督(78歳)自身最後の映画撮影と思われている。監督はキリストの肉声を大事にし、本で裏打ちされた教会の権威に対する問いかけ。
小生にとって一神教のキリスト教には正直なところ今も馴染めることはないが、この作品は時間が経過するとともに内面がじわじわと暖かくなってくる気がする。










最新の画像もっと見る

コメントを投稿