ワレモコウ
土曜日の夜、久々に≪世にも奇妙な物語≫を観た。この番組、始まったころは毎週放送されていたと思う。私は 超常現象や怪奇もの、人間の不思議な能力とかが
好きなので、よく観ていました。観ていた割には題名とか、主演役者が誰とかの記憶はないけど、あんな感じのこんなストーリー・・・みたいな記憶が中心で、
子供たちもそろって観ていた。記憶にあるのは ロシアンルーレットを夜な夜な怪しげな館で体験するサラリーマンの話や 住んでいる住宅街なのに自分の家が
見つからず延々と歩く・・・そんな話。最近 CS放送で過去の好評だった回を放送しているが、なんかいつも私が気にいるような内容のものがない。
地上波での再放送でも 毎回放送される話は面白くないし、最近は年に二回ほど特別番組で二時間とか新しい内容のものを放送しているけど、あまり観ることは
なかった。今回もその前週と二回に分けて 番組500本を迎えるにあたって企画されたもので先週観て、次の週は ホラー映画の監督だった二人が撮ったものだから
面白いかも・・と期待していた。その第一話が≪箱≫という竹内結子主演のドラマだった。竹内結子はホラー映画≪リング≫でも観てはいけないビデオ
(ヤラシイビデオではなく観たら死ぬという呪いのビデオ)を観てしまい死んでしまう女子高生役を演じていた。今回は どこかの大学の研究室で研究者で
開始早々後頭部を何かに強打され気がつくと ロッカーのような金属の箱の中に閉じ込められていた。彼女はスマホと小さな懐中電灯を持っていたので
体を動かすことができるのがやっとの空間で警察に電話をかける。その前に 本能で内側から箱を叩き、蹴って叫ぶが外には誰もいないのか声もしない。
こんなパターンの映画やドラマはよくある。先日も海外映画で車のトランクに閉じ込められた特殊任務の男の話や、アメリカの人気ドラマ『CSI』で
透明の強化プラスチック箱に閉じ込められた捜査員が迫りくる死の恐怖に観ているこっちが息苦しくなって 最後に毒アリが穴から入れられこっちも
痒くなりそうになって、みつかったものの簡単に掘りだすと爆薬が仕掛けられ木っ端みじんなるので 重しを付けて重しを落としてその反動で箱を
地中から飛びださせるということになっていた。そこまでの大掛かりはしないだろうと観ていたら、いきなり彼女が「痛いッ」と白衣の袖をめくると
ひぇ~長いM寸ムカデが這ってるやん、私は思わず「そりゃ痛いわ」竹内結子は必死になって寝返りを打つのがやっとのような空間で 白衣を脱ぎ棄て
体に虫がついてないか払っている。スマホから警察に連絡がついたものの 場所の特定ができないといわれまわりに何か音がしないか?と聞かれ
一生懸命に五感を集中させる。自分の体が足のほうに引かれていくような感覚に、パイプオルガンの音、と彼女は必死に感じることを訴えるけど
なんとかGPSで捉えた場所の周辺の教会にはパイプオルガンはなく 警察も本当に事件なのか疑い始めていた。スマホの電池残量が気になり始めたとき
彼女は彼に電話をかける。彼の声は聞こえているけど 救助には来てもらえない。箱の一部から光が見え彼女は目を開ける、まばゆく光るそこは
病院の救命室、彼も彼女の母親も医師もそばにはいるけど、彼女は人工呼吸器装置をつけて話すことはできない。医師が「脳幹出血で意識が戻ることは
難しい」と告げる。そう、彼女は 研究室で急に倒れて運ばれてきたのだ。医師は「後頭部を何かで叩かれたような痛みがある、といわれます」と
彼女が受けた衝撃は他人に叩かれたものではなくて、脳幹、もしくは脳内で破裂がおきたのであろう、そのほかムカデに噛まれたと感じたのは
医療処置で腕に注射針を刺された痛みであり、光が見えたのは医師の瞳孔を調べた結果だったのだ・・・・というようなことなのだけど、
観終わって「あぁ、そうだったのか・・・」と私は不思議とそうだったのかもしれないなぁと思うことがあった。
亡くなった次姉は くも膜下出血だった。その後意識は戻らず肺水腫で亡くなったのだけど、彼女もいきなり頭を叩かれたような痛みを感じたのかな、
今まで漠然と≪脳内出血は 頭を金づちで叩かれたような鋭い痛みだ≫という話をそう思いこんでいたけど、たぶん そんな命の危機から舞い戻って
来た人からの話でそういうことなんだと。姉も意識はあってドラマのような箱の中で必死で助けてと叫んでいたのかな、と思うと胸がいっぱいに
なってきた。彼女はクモが大嫌いだったので クモに噛まれたって思ってないかな、医療処置の注射を。そうだとしたら 彼女は気絶したかもなぁ
竹内結子の演技は秀逸で あとのホラー監督のドラマ二本はイマイチに思えてしまった。たしかに 人間は狭いところに閉じ込められたらパニックを
起こす。外の状況がわからず 聞こえるのが音だけだとますます不安が増すし、姉だってガンガンと聞こえたら工事現場にいると思ったかも、実際は
CT検査だったりしたのが・・・。
おばあちゃんは亡娘の夢をみることがあるそうだ。このあいだも話していたのだけど、「あの子の夢を見て夢の中であの子と話をしていたら途中で
それがあの子の娘に代わっているんや」と寂しそうに言うから「そりゃぁ もう記憶が薄れていってるんや。それか 成仏してるってことと思わな」
ワタシの一言は優しさがないと思ったかもしれないなぁと私は亡姉の夢をあまりみない。というか 姉の葬儀を終えて大阪に戻ってから数日後
眠っている私の頭頂部を叩く人がいるので目を開けたら 布団の足元に亡姉が座ってニコニコしていた。夢やなと思っていたけど、たぶん最後の
挨拶ってか?言葉は交わさなかったけど、はっきり記憶に残っている夢のようなどうだかわからん事柄はこれが一番はっきりと覚えている。
生きていたら、どうだったか 思うことはいろいろあるけど、一篇のドラマで姉を思い出した夜でした。
フウセントウワタ