母から電話がかかる。
『アイプチ?っていうの?あれ、買ってきてくれる?』
へ!?
母上、今ごろ美容に目覚めちゃった??
けれど、母は昔からぱっちり二重である。
『がん・・・とかなんとからしくて、よく見えないのよね。』
ガ、ガン!!!
癌なのか?
母が癌なのか?
それにしても、何故に『アイプチ』?
頭が、コンピュータの数万倍の速さで働く。
あ、もしかして『眼瞼下垂』?
『そうそう、それそれ。だから視野が狭くって、上の方がよく見えないんよ。二重にするノリみたいなので留めたらいいって聞いたから。』
・・・誰に聞いたんだろう?
・・・90越えで、緑内障と乱視のある母に、そんな細かい技を使える訳が無い。
けれど、『ムリ』とか『ダメ』いう言葉をぐっと堪えて、アイプチを買いに走る。
翌日、空いた時間に『老女の目ぱっちり作戦』に取り掛かる。
じっとしててね?
パチパチしたらダメよ?
と言いながら、母の瞼にアイプチをたっぷりと塗る。
ずぶん下がってきているから、大幅に皮膚を留めなくちゃいけないのだ。
糊を塗ったから、このまましばらくじっとしてて。
と言った途端に、母が何度もパチパチと瞬きをする。
・・・ノリは、まつ毛から下まぶたまで、広範囲に広がってしまう。
慌てて濡らしたティッシュで拭きながら、思わず叫ぶ。
だからじっとしてて、って言ったでしょ?
ノリで上下のまぶたがくっついちゃうよ!
何度か繰り返した結果、とうとう母は諦めた。
(ここが肝心です、私が諦めたのではない、諦めさせたのでもない、母が『自発的に』諦めたのである。)
眼瞼下垂の手術って、簡単らしいよ?
目の上の皮膚をちょっとだけ切り取るんよ。
『そ、そんなことできませんっ!!メスを入れるなんてっ!!』
もしもし?
いい歳をして何を仰っちゃってるんだか。ww
けれどまあ、この歳になって切るのも色々心配だ。
眼科の先生に相談しましょう。
どんな結論になるだろう。
ところで、生徒さんにチョコレートをいただいた。
めっちゃくちゃ嬉しかったんですけど。ww