まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

箱根チャリ。

2015-08-02 15:34:59 | 日記


朝6時前、車に自転車くくりつけ
東名からオダアツへ。
目立った混雑もなくすいすいと一時間。

湯本の町営パーキングで
自転車の前輪をはめ、空気を入れてると
散歩中のおじいさんが寄ってきた。

なんでもこの先で先月
タンクローリーが道路からはみだし
崖下の木々を盛大に焦がしながら
旅館の敷地まで落っこちたとか。

積んでいた油と消火剤が混じり
川に流れ込んだので
今年の鮎は全滅した。

そこらの木や土が、まだ茶色くなって
残ってるから見てきてごらん、と。

ただでさえ不安満載な山行きが
ますます怪しげに思えてくる。

旧街道10キロ、標高700メートル。
ゆるっと走り出す。
あっという間にギアが下がっていく。
結構頑張ったと思ったのに
サイコンは2キロの表示。
うーん。とりあえず5キロ目指そうかな。

ほどなく、くだんの旅館に出る。
えぐれたガレ斜面、焦げた木々。
上を見る。道路はかなり高い位置。
あそこから、油抱えて落ちただなんて。

少し気が滅入り、よろよろ走り出す。
これ以上ギア下がらず。足が重たい。
3キロ地点で見えたのは、ド派手な鳥居。
さらにその前には、目を覆いたくなるよな
ヘアピンカーブ。
呆然としている私の目の前を
クライマーがしゅんっと上がっていった。

歩いて上る。少し傾斜が緩んだら漕ぐ。
また休む。ポカリ飲む。歩く。漕ぐ。
立て看板があれば、寄っていってのぞく。
そんなこんなで5キロ地点。
小さな滝に虹がかかっている。

朝早く上がっていったクライマーが
降りてきながら、挙動不審なチャリ(私)を二度見して行く。

そして6キロ地点、恐ろしい看板。
ここから1.2キロ、七曲り、だって。
またもや呆然とする。

メール着信。先にゴールして
茶屋まで戻ったというだんなさま。

今どこ?

看板のとこ。茶屋は無理っぽいから
てきとーに戻って、と返信すると
またもや着信。

七曲り越えて、猿すべり過ぎれば
茶屋だから、がんばってみて。

ふーむ。。。

こっち向きカーブは、木陰の涼しさ。
あっち向きカーブは、灼熱のおひさま。
道路で日光浴中のへび。
迷惑そうに移動していくとかげ。
よっぱらいのように漂うちょうちょ。

歩いたり漕いだり飲んだりで
さらに40分。
8キロ地点の茶屋に辿り着く。
奇跡か?

茅葺きの風情ある家屋のなかは
薄暗く涼しく快適。
若い女性店員はとても丁寧なことばづかいで、気配りこまやか。
青梅のシロップがかかったかきごおり、
これ以上おいしいものがあるだろうか。

帰りはらくらく下り坂、かと思いきや
ブレーキレバーがハンドルから遠く
握力が持たない。
なにかのはずみで、暴走しだしたら
しんじゃうかも知れない。
必死でレバーを握り、歯をくいしばる。
(歯をくいしばるのなんか、30年振りなんじゃないか?)

町営パーキングに帰ってきたら
ちいさな女の子と、その弟が
手のひらいっぱいに何かを集めて
遊んでいた。
みてみてー、と、持ってきたのは
セミの脱け殻。
すごーい、いくつあるの?と聞いたら
私の手のひらを使って(!)
カウントしてくれた。
全部で6個。本体は今ごろ短すぎる夏を
必死に生きているのだろう。

弟くんが今度は私に
なにをさがしてるのー?と聞いた。

今からおいしいもの探しにいくよ、と
答えて走り出したあとしばらく
私はほんとは何探してるんだろうな?と
ぼんやり考えていた。

箱根は私を歓迎もしなかったけれど
拒否もしなかった。

ま、いいんじゃないの?
楽しみ方はそれぞれで。
でも、せっかく遠路やってくるんなら、もう少し走れるようになってきたら?

そんなふうに云われた気がする。