まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

美味しいことは楽しい。イタリア家庭料理教室 タボラータ体験♪

2016-09-22 17:13:01 | 日記

ミサリングファクトリーのフランス菓子コース
第一土曜クラスはなぜか「怖い」っていう風評が立っている。
そう言ったらカオリちゃんが
「だって本当に怖いですよ!」だって。
理由は「歴の長い二人がザクザク進むから」
ってことなんだけど、本当にね、威圧とかしてるつもりないんだけどな。
やっぱりあれだな、フリルとかリボンとかの服を着なきゃ。

そんな第一土曜クラスの4人が揃って
押しかけたタボラータさん。
ご挨拶もそこそこに、「怖い!」を連発する
恵美さん。こんなところにまで悪い評判が?
「だってミサ先生怖いんだもん。」
「怖い!って言うと、『どこが怖いのよ!』ってまた怖いんだもん。」
でもよくよく聞けば
「自分には絶対出来ないことが出来る人だから」
という理由なので、尊敬してるという意味なのだった。
(断っておくが松本先生は決して怖い人ではありません。本当だってば。)

エプロンつけて手を洗う。ここまでならいわゆる料理教室っぽいけど
そのあとが違う。
椅子を持ってきてアイランドキッチンの前に並んで座り
恵美さんの話を聞く。
体験レッスンなので、「もしかしたらこのあと一生会えないかもしれない」
と思う人たちに、「とにかく伝えたいことは全部伝えなきゃ!」という
恵美さんの話しっぷりに圧倒される。
自分のこと。タボラータのこと。食材のこと。調理法のこと。
イタリアの人たちにとっていかに「食べること」が
大切なものか、という話。
「世の中で一番美味しいのは自分のお母さんの手料理」と
イタリアの人は皆そういうのだとか。

素材の旨みをいかに引き出すか。それがベースとなる料理の考え方。
ただ残念なことに、日本で生産されている野菜や肉は
イタリアのものと比べるとはるかに旨みが少ない。
雨がたくさん降る国なので、土壌が常に洗い流されており
薄い味のものになってしまうのだそうだ。
このあたりの嘆きは、亨ちゃんと同じだな。
(亨ちゃん=松本先生のお菓子の師匠、孤高のパティシエ。)

イタリアで知った美味しさを少しでもたくさんの人と共有したい、
そういう恵美さんは可能な限りの食材をイタリア産で用意している。
パルマの生ハム、モティアの天日干しの海塩、パルミジャーノレッジャーノ。
単品だけで、ものすごいご馳走になってしまう。

人参もジャガイモも、ゆっくり時間をかけて火を入れる。
そうすることでおいしくなってゆく。
茹であがったジャガイモはマッシュして
練らないように捏ねないように卵や小麦粉、チーズを混ぜる。
細い棒状に伸ばし、端から短く切って、
ギザギザのついた板の上で親指を使ってひゅるん、と丸める。
「ニョッキ」は「親指」に語源があるんだって。




この作業はみんなでやってみる。
力のいれ方が難しい。内側のくぼみと、外側のギザギザにソースが絡むように。
「ゆっくりやってみせたいけどゆっくりはできないのよね!」と恵美さん。
あっという間にニョッキが転がってゆく。

大鍋にお湯を沸かし、きつめに塩を入れたら
出来たニョッキを茹でる。大小様々な形のニョッキ、小さいものから順に
ぽこっと浮いてくる。全部浮いたら湯を切って作っておいたソースと和える。
とにかく出来立てを食べるのが大事なので、その間にテーブルも準備しておく。



厚手の不織布を敷いて、その上からクロスをかける。皿とカトラリーを置く。
イタリアの人は毎食必ずこの作業をするのだそう。
上にとっちらかってるものをとりあえず脇に寄せて出来た隙間で
ご飯を食べてる私、ちょっと反省。


皿によそったら、自分で好きなだけチーズをかける。
たくさんかけたほうが美味しいらしい。
糸鰹節のようなふわふわした山が出来る。

熱々を食べると、くにゅっと潰れてふわりほろりと崩れる。
なんだろうこの美味しさ。ジャガイモの旨みがたまらない。
セージの香りを移したバターに、丁寧に裏ごししたトマトのソースが
鮮烈な風味でジャガイモを引き立てる。
半分食べてまたチーズを山に盛る。永遠に食べていられる。


ハーブソルトを振ってきちんと背中の脂を焼き切った鶏もも肉、
ゆっくり蒸し煮した人参。
ルッコラと生ハムとパルミジャーノのサラダは
グリーンレモンとオリーブ、胡椒を自分でかけて和える。

生ハムは保存食、ハムは生物(なまもの)、というのにも驚いた。
いつか生徒さんが増えたらイタリアからハム輸入して
みんなで切り分けたい、と恵美さん。その時には是非呼んでほしい。


これが本当の美味しさの生ハム、そしてパルミジャーノ。
毎日これを食べられたらそりゃ言うことはないけど
そんなことはできない庶民としては
「本当の美味しいもの」と「なんちゃってなもの」の
識別をした上で、なんちゃってはなんちゃってとして
食べればいいんだよね、と。
イタリアの人も毎日こんなものを食べてるわけではなくて
ニョッキは休日に親戚やお客が集まる時に作るものなのだとか。


自家製ミルクジェラートはさっぱりしていて香りがよく
舌触りなめらかに、すぅっと溶けていくので
「待って待ってまだ消えないで!」と思わず引き留めたくなる美味しさ。
カプチーノのフォームドミルクは甘さの消えない60度設定、
初めてフォームドミルクを美味しいと思った。
豆はエスプレッソ用のペリーニの焙煎。
酸味苦味がきついのは苦手、という
恵美さんの好きなブレンドなのだそう。

タボラータ、は、「大きなテーブル」という意味。
巨大な、というよりは、長い机を横にずらっと並べて
クロスかけてみんな並んで座って食べる会食のときのテーブル。
外国の映画で、結婚パーティのシーンでよく見かけるやつね。
家具としてのテーブルを指す名称でもあり
会食そのものを指す言葉でもある。
「いいタボラータだったね」なんて言いながら
お客さんが帰路に着いたり。

楽しいことが一番、と言う恵美さん。
日は違っても同じレッスンに参加する人たちみんなが
大きなテーブルを囲んで美味しいものを食べ、笑顔で過ごす
そんな素敵なお教室。

恵美さん、
ご一緒した皆さん、
ありがとうございました。
また行きます。絶対。