おもしろいカレー屋に行かない?
と、妹ちゃん1を誘って
白楽待ち合わせ。
駅からの坂道を降りながら
これから行く店の話を
ざっくりと伝える。
若い頃商社マンだったマスターが
仕事先で食べたパキスタンのカレーに
はまる。
北海道の自宅にパキスタンから
教えてくれる人を呼び寄せ
オープンしたカレー屋が大当たり。
でも寒いのが苦手なマスターは
店を息子に任せてじぶんは南下。
最終目的地宮古島の、横浜は中継地。
外装、看板が怪しすぎるけど
カレーは万人受けする美味しさ。
愛人に手伝わせてるが
これの働かなさすぎるのが見所。
今月、移転したばかり
とはいえ道いっぽん渡っただけね。
ふんふん、と聞きながら歩く
妹ちゃん1、店に到着して
うあぁ…と絶句。
ドアに手をかけるわたし、
あれ?開かない?
まさかの引き戸だった。
中に入る。
愛人ヒロミはきづかず。
しばし立つ。
ヒロミぼーっとしてる。
しょうがない、ここ、座っちゃえ。
椅子を動かす音でヒロミやっと気づき
水持ってくる速度が二倍!
そっか、店が広くなったからか。
水を置いてすぐに去るヒロミに
おどろく妹ちゃん1。
あ、ここ、食べるもの一種類だから、注文とらないよというと大笑い。
サラダとかないの?お茶は?
みーんなセットだよ。
あ、ビールもあるけど
前にともだちが頼もうとしたら
店員が、いまいそがしいって断った。
呆れる妹ちゃん1。
そしてまわりを見渡し
ここ、もうちょっと整理したら
あといっこテーブル置けるねー、
という。
前の店にあったものを
広い場所に移動して
配置しなおしたので
雑然とあやしい感じが
薄くなってる。
いまのが愛人だよ、というと
え?!あれ、女なの?!
てっきりここのマスターって
ああいう女装のひとかと
思っちゃった!
なんでさっきちかちゃん
それを言ってくれないの?と
思ってたよー
もしそうなら、真っ先に言うってば。
サラダがやってくる。
相変わらず不揃いの
ソーサー。
きゅうりの超厚切り。
カレーも相変わらずの
適当盛り。
なんでごはんがこんなに
潰れてるのー?と妹ちゃん1。
でも食べたら美味しいって。
ほっとした。
うん、当たり前だけど
前から変わらない味。
食べ終わり、ヒロミが
皿を下げにくる。
ふたりともキュウリきらいなの?と
ヒロミ。確かにふたつのソーサーに
キュウリがごろんと残ってる。
あたしキュウリだいすきなのにー、と
笑うヒロミ。
ヒロミにキュウリは違和感しかない。
チャイを飲みながら、妹ちゃん1が
メキシコシティの友達のうちで
乳搾りをやった話を聞く。
その家ではパパが毎朝6時に
フランダースの犬に出てくるような
でかいブリキのミルクいれに
なみなみと搾ってくるのが日課で
やってみる?といわれて
恐る恐るひっぱったんだけど
ぜんぜん出てこないわ、
牛は痛くて怒りだすわで
大変だったんだって。
搾ったミルクは殺菌のため
大鍋でぐらぐら煮る。
上に張った膜は集めておいて
あとでお砂糖焦がしたのを混ぜて
やわらかなキャラメルみたいな
おやつを作るんだそう。
あつあつのミルクに
インスタントコーヒーを入れる。
ものすごくおいしい。
でも慣れてないとおなかがゆるむから
一杯にしときなさいねと
ママがいう。
そしてママ本人は乳糖アレルギーで
ラクトフリーのミルクを
買ってきてるんだって。
せっかくそんな環境にいるのにね。
そんな話を聞きながら
妹ちゃんとはいえ一緒に暮らしてたのは18年で
そのあとの30年は彼女が日本にすら
いなかったりもして
わたしが知らない面白いことや
しんどかったことがまだまだたくさん
あるんだろうなぁと
思ってた。
またサリサリデートしようね。