時々あることだが、この日はバスの身障者等のための優先席は空いてなく後部の座席に行く。
萎えた足では少しの傾斜とか段があるのはバス内の歩行は苦労するのだが、運転手さんは気を使ってくれて座席に着くまで発車しない。低い声で「ありがとうございます」とか「すみません」とか言って座席に着くが恐らく運転手さんには聞こえていないだろう。
いくつか過ぎた停留所で一人の老婆が乗車してきた。奥には来ないで近くの棒に掴まりながら立っている。その時、前から座っていた老婆が立ち上がり今乗車してきた老婆に席を譲った。その人は私より2~3若いかもしれない。長時間起立できない自分にはできないことで感心しながら見ていた。
譲られた老婆はそれより少し年配に見える。譲られたことに対して、それは当然というように無言で着席した。「よろしいですか」とか「すみません」とか「ありがとう」の言葉を言えないのかなと思った。