千字のおもい


徒然のことを千字を超えずに載せていきます。

冬蜂を見た 

2020年11月03日 | 徒然の記

冬蜂は冬の季語だが、庭石の淵を蜂がよろよろと歩いているのを見た。どこからきてどこに行くのか翅は萎れて飛べそうにも見えない。その様子は憐れで最後まで見ることはしないで、物置小屋の後片付けを始めた。
仕事を済ませた後に戻ってみると姿はなかった。

冬の蜂についてはこんな俳句がある。

   「冬蜂の死にどころくなく歩きけり」  村上鬼城

目の前に歩いている蜂を見て、死に場所を求めて歩いているという思いはなかった。行くべき巣も分らず必死に歩いているなという思いであった。

句にするなら「冬蜂の生きどころなく歩きけり」という思いが近い。

このような蜂を見る時、詠み手がどのような心境にいるかで表現は違ってくるのだろう。
だが、
「冬蜂の死にどころなく歩きけり」
は人生の闇を見つめているようで好きな句ではあった。

コメント
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