BS放送で、2016年ベネチェア国際映画祭金獅子賞受賞の映画を観た。白黒映画であった。内容的にじっくり考えさせるもので心に迫るものであったが、カラーに慣れた今映像に限っていえば心に響いてくるものは少ない。
例えば、作中、主人公の立つ石橋を橋の下流から上流に向けて映した光景がある。
郊外の風景で、川の両側にうっそうと樹々が茂り中央に主人公の立つ石橋を置いてその向こうに洒落た建物のある風景が映されている。樹々がうっそうとしていることから夏であろう。奥の建物は白だろうか赤だろうか。橋の上にいる主人公は背景の白黒に溶けている。
全体的にめりはりが薄い。
これがカラーだったら、緑の色が画面に溢れ、石橋の白、奥の建物の色などよいコントラストを作るような気がする。
遠近感も作りだしよい絵となったのではないか。
主人公の人生の苦難を描写するための白黒映画と思うが、カラーであれば更に深い鑑賞ができたのではと思った。