おうちBAR開店

本格的なパーティー料理から手抜きお手軽料理まで、私のキッチンから発信します。毎日の出来事を含めて楽しくご紹介。

みなとや旅館

2012年08月13日 | 旅(国内)
駒ヶ根の丸富さんを訪れた後、





おやつにソースカツ丼を食べまして(笑)
旅初日の宿泊先へ向かいました。




みなとや旅館さん




中山道と甲州街道が交わる
趣漂う街道筋にあります。



江戸時代に温泉番付東の小結になった
下諏訪の出湯も楽しめる宿なんです。


この宿を何故選んだかというと…
マグロや甘えびを恭しく提供したり
固形燃料調理の料理を当然の様に出すこと無く
地のものを地の流儀で楽しませてくれそうだったから。
その期待に大いに答えてくださいました。



クーラーはあっても必要の無い小さな部屋へ通され
心を込めて淹れてくださったお茶を楽しんだ後は
旅の疲れを温泉で癒します。





この先が温泉。




洗い場も何も無い檜風呂が一つ。




表通りとお風呂の間にあるのは
格子の引き戸とハラリと揺れる暖簾のみ。
強固なつい立てや目隠しはありません。




玉砂利が敷き詰められています。
温度はやや高めで私好み。








こんな景色を眺めながらゆったり入浴。

これを不自由だとか不用心だと思う方には
おすすめしません。
私はこの開放感と静寂を贅沢だと思いました。
ちなみにお部屋にはお手洗いも内湯も無いです。



汗を心地よく流したところで晩ご飯。
この日はグループ客が突然キャンセルになってしまい
お客は我々一組のみ。
女将さんがつきっきりでお給仕してくれました。
本当につきっきり。
伺えば何でも教えて下さいました^^
これをうっとうしいと思う方にはおすすめしません。




生馬刺



冷凍物ではないです。

熊本のものより非常にアッサリ。
そして臭みは一切ありません。
でも旨味は凄く感じるんです。
思わず一皿追加してしまいました(笑)




時香忘のおろしあえ

なめこよりも軸が太く香り高い時香忘。
そこそこの標高があるところまで採りにいくそうです。
チュルンとしながらも歯ごたえがあり
魅惑的な香りも楽しめます。

ここから「美味しかった」が連続しますので
素材の特製だけを述べることにしますね。




フナの煮干し(?)

女将さん曰く「手間を食べているようなもの」だそう。
骨から頭まで食べられて滋味深いこと。





何かの酢味噌和え

地の呼び方でおっしゃってくれて
何度伺っても覚えられませんでした。
酢味噌は甘すぎずちょうど良いです。
山野草も青く清涼感のある香りが印象的でした。





ざざ虫、へぼ、いなご

どれもいい酒の肴。
ざざ虫、以前食べたときは背中に鳥肌が立ったけれど
今回は香ばしくてなかなかよかったです。




川海老の佃煮

こちらも甘すぎずいい塩梅。




こごみ

下諏訪あたりでは7月頃に芽吹くそう。
これがこの夜唯一、里の山野草。
それ以外は山へ入って採ったものばかり。
青さと食感が素晴らしいハーモニーです。




これも覚えられませんでした^^;
独活と蕗の味わいを併せ持つ山野草ですが
独活蕗ではないそうです。確か2文字でした。
シャクシャクした食感がここちよく
やはり甘めさは控え目です。




ワカサギの南蛮漬け

今年はワカサギが全然成長しなかったらしいです。
たしかに小さく、田作りにする煮干しサイズです。
でもワタのほろ苦い味わいはしっかりと感じます。




よしなのこぶ

これは何回も聞き直してかろうじて記憶できました。
こちらも香り高い山野草です。
ポチッと瘤のある形状が特徴ですね。



桜肉と葱鍋

冬は白ネギでやるそうですが
夏は白ネギが辛いし旬でないので玉ねぎで。
タレは信州味噌です。




じっくり火が通るまで混ぜずに待ちます。
ご飯に載っけて食べたら美味しいこと!





シジミ汁

諏訪湖の天然シジミ。
余計な味は加えられてないです。
胃にグッと染み入ります。



この他にもアザミの胡麻油炒めや
山蕗の炊いたものなどがありましたが
写真撮り忘れました。



85歳になられるけれど矍鑠とされた
女将さんが食卓の横に鎮座し
素材の説明をしてくれたり
みなとや旅館を愛して止まなかった
文人らの話をしてくれたり。
岡本太郎さんも我が家のように訪れていたそうですね。
でも、それが自慢気でないから
伺っていても嫌みに感じないし心地いい。
私を飲めると判断されてか
常に盃をお酒で満たしてくださいました。


山のものだけの素晴らしいご馳走。
砂糖は贅沢品だから、
おもてなし料理にはたっぷり使う…
という山里にありがちなレシピではなく
「砂糖が多いと野暮ったいでしょ?」
とサラリと述べる女将さんの料理。
心から堪能させていただきました。
桜肉も本当に美味しかった!
ご馳走様でございました。


朝食については次でアップしますね。



みなとや旅館
長野県諏訪郡下諏訪町立町3532
TEL/0266-27-8144
※お部屋は5部屋のみ