6年前の春、
近くに越してきたお家に、
今まで見たことのない
花に出会うと、
その花のことを知りたくて、
矢も楯もたまらず、
厚かましくも
玄関のチャイムを鳴らし、
花の名前を尋ねることにした。
出て来られた奥さんは
何処の何者かも判らなぬ親父に
迷惑そうな顔もせず、嬉しそうに、
一目惚れした花の名前が、
「ナニワイバラ」であることを
教えて頂いたばかりか、
「挿し木ですぐに、増えますので
家で育ててみて下さい」と
枝を4、5本頂いた。
その奥さんとは、
「ナニワイバラ」がご縁で
お付き合いが始まり、
スージィーと3人は同い年の
お互いにお裾分けを繰り返す、
今ではすっかり、大の友達になった
藤田さん。
挿し木から育てたその翌年、
鉢植えのナニワイバラに花が咲き、
そして、更に成長したナニワイバラを
かつての葡萄棚の下に移植し、
2年前、葡萄棚のトップ迄届く
ナニワイバラのツルを伸ばす
棚を作ると、
昨年、顕著な成長力の
ナニワイバラのツルは
棚のトップまで伸びるほど成長した。
春が来て、花のつぼみが膨らみ始め、
それから10日間と言うもの、
その成長に目と心を奪われ、
一昨日、棚のナニワイバラが
期待に応えて
今年初めて花を付け始めた。
先のとがっ白いのが、つぼみ。
「一目会ったその日から、
恋の花咲くこともある」
何処かで聞いたセリフだが、
一目で惚れて、挿し木から育てた
ナニワイバラがやっと、
恋の花を
咲かせようとしている。
親父とナニワイバラの、
誠の恋の成就を
待ち侘びて、6年。
今、咲き始めた花を眺めては、
心に膨らむ高揚感で、胸は
はち切れんばかりです。
「ナニワイバラ・難波茨」
原産地は中国の南部と台湾。
日本には江戸時代、
難波商人によって持ち込まれ、
それが和名の由来になっている。
それで曲は、不朽の名曲
「蘇州夜曲」
作詞:西条八十
作曲:服部良一
唄:雪村いづみ
演奏:キャラメル・ママ
(細野晴臣、松任谷正隆、鈴木茂、林立夫)
オリジナル・リリース1974年