確定申告をしなくてよい。その真意は?・・・(徳山 勝)より
3月15日までは税金の確定申告期間である。
先日、町内会から「公的年金の額が年400万円以下で、かつ、年金以外の所得金額が20万円以下の場合は、所得税の確定申告が不要となりました」との回覧板が回って来た。
但し書きとして「還付金のある方は、確定申告をしてください」とあった。
これをどう評価すべきなのだろうか。
毎年、確定申告の時期になると、税務署は大混雑する。
筆者は、20年以上連続して確定申告を続けているが、3~4年前から確定申告書の相談窓口の混雑の度合いが非常に強くなったことを実感している。
団塊の世代が年金受給期に入り、初めて確定申告をする人が増えたのだろう。
申告書の書き方を税務職員に手取り足取り教わっている60代の人が多くなった。
そういう実感は確かにある。
団塊の世代が年金受給期に入り、年金受給者に対応する税務職員を確保するのが難しくなってきたのだろう。
厚生年金の平均給付月額18万円、即ち年金が216万円の場合、バラツキはあるがその所得税額は約18000円で、年金から源泉徴収する。
その過不足はせいぜい2~3千円だ。仮に、年金受給者1千万人が平均1千円の納税不足だとして、100億円の未収になる。
実際はそれよりは相当少ないだろう。
一方、年金受給者の多くは、面倒くさい割に還付金が少ないので、確定申告を行なわなくなる。
厚生年金の平均給付月額18万円。大卒後38年勤務したサラリーマンで奥さんが専業主婦の場合、月額23万円プラス程度と言われる。
これに企業年金が月額10数万円加算されたとして、400万円を超えるかどうかである。
従って、公的年金額400万円以下と言えば、7~9割の年金受給者が該当することになる。
徴税コストから言えば、合理的な措置だと言えるのかもしれない。
だが、サラリーマン時代は源泉徴収と収年末調整を、企業の給与担当者が行う。
年金受給者になったら確定申告をしなくてもよい。
こうなったら、一生確定申告をしない人が続出することになる。
本当にそれでいいのだろうか。
昔から、サラリーマンは給与から所得税や保険料などを天引き(=源泉徴収)され、確定申告をしないから、自分がどれだけ税金を納めているかを知らないと言われた。
おそらく納税額を知らないので、税金の使途についての目も厳しさに欠ける。
だから国家財政が赤字だと言われ、増税が必要だと吹き込まれると、消費税増税はやむを得ないと思ってしまうサラリーマンが多くなるのではないだろうか。
確定申告をすると何が良いか。
また、何が分るか。
先ずは収入と所得の違いが分る。
健康保険や厚生年金等の社会保険料が、高所得者になるほどその収入に占める割合が少なくなることも分る。
年収2000万円の人が、所得税の最高税率40%を適用されていないことも分る。
扶養控除額だけで、どうして家族を養うことが出来るのか。
そういう疑問も湧いてくる。
誰もが、自分の税金の行方に関心を持つことになる。
5千万サラリーマンが、税金に関しいろいろなことを知り、疑問を抱くようになる。
そうなると、ある日税金の使途追及が、納税拒否に変わるかもしれない。
徴税者はそのような納税者の反乱が一番怖い。
だから納税者の納税意識を希薄にさせたい。
それには源泉徴収が最も効果があるのだろう。
それが証左に消費税増税が言われるのに、最近「クロヨン」とか、「トウゴウサン」という言葉がとんと聞かれなくなった。
年金受給者が増え確定申告者が増えると、それだけ税金とその使途に関心を持つ人が増えてくる。
消費税は内税で隠せるが、確定申告の所得税額を隠すことはできない。
全国民が確定申告をするようになると、年金、社会保障等に関する意識が向上する。
そうなると、誤魔化しの「税と社会保障の一体改革」などは蹴飛ばされ、「税金を払う方が苦しく、税金を食べる方が楽をする政治」に厳しい目を向けることになる。
納税者意識、即ち国民の納税意識が高まらない限り、財務官僚をはじめ霞ヶ関官僚とそのOBたちが、襖の向うで「すき焼」を食べる構造は変わらない。
そして税金は、声の大きい金持ちのために使われることになる。
そう考えると、全国民が確定申告するのが、正しいあり方だと考える。
読者の方はどう考えられるのだろうか。
<徳山 勝>
3月15日までは税金の確定申告期間である。
先日、町内会から「公的年金の額が年400万円以下で、かつ、年金以外の所得金額が20万円以下の場合は、所得税の確定申告が不要となりました」との回覧板が回って来た。
但し書きとして「還付金のある方は、確定申告をしてください」とあった。
これをどう評価すべきなのだろうか。
毎年、確定申告の時期になると、税務署は大混雑する。
筆者は、20年以上連続して確定申告を続けているが、3~4年前から確定申告書の相談窓口の混雑の度合いが非常に強くなったことを実感している。
団塊の世代が年金受給期に入り、初めて確定申告をする人が増えたのだろう。
申告書の書き方を税務職員に手取り足取り教わっている60代の人が多くなった。
そういう実感は確かにある。
団塊の世代が年金受給期に入り、年金受給者に対応する税務職員を確保するのが難しくなってきたのだろう。
厚生年金の平均給付月額18万円、即ち年金が216万円の場合、バラツキはあるがその所得税額は約18000円で、年金から源泉徴収する。
その過不足はせいぜい2~3千円だ。仮に、年金受給者1千万人が平均1千円の納税不足だとして、100億円の未収になる。
実際はそれよりは相当少ないだろう。
一方、年金受給者の多くは、面倒くさい割に還付金が少ないので、確定申告を行なわなくなる。
厚生年金の平均給付月額18万円。大卒後38年勤務したサラリーマンで奥さんが専業主婦の場合、月額23万円プラス程度と言われる。
これに企業年金が月額10数万円加算されたとして、400万円を超えるかどうかである。
従って、公的年金額400万円以下と言えば、7~9割の年金受給者が該当することになる。
徴税コストから言えば、合理的な措置だと言えるのかもしれない。
だが、サラリーマン時代は源泉徴収と収年末調整を、企業の給与担当者が行う。
年金受給者になったら確定申告をしなくてもよい。
こうなったら、一生確定申告をしない人が続出することになる。
本当にそれでいいのだろうか。
昔から、サラリーマンは給与から所得税や保険料などを天引き(=源泉徴収)され、確定申告をしないから、自分がどれだけ税金を納めているかを知らないと言われた。
おそらく納税額を知らないので、税金の使途についての目も厳しさに欠ける。
だから国家財政が赤字だと言われ、増税が必要だと吹き込まれると、消費税増税はやむを得ないと思ってしまうサラリーマンが多くなるのではないだろうか。
確定申告をすると何が良いか。
また、何が分るか。
先ずは収入と所得の違いが分る。
健康保険や厚生年金等の社会保険料が、高所得者になるほどその収入に占める割合が少なくなることも分る。
年収2000万円の人が、所得税の最高税率40%を適用されていないことも分る。
扶養控除額だけで、どうして家族を養うことが出来るのか。
そういう疑問も湧いてくる。
誰もが、自分の税金の行方に関心を持つことになる。
5千万サラリーマンが、税金に関しいろいろなことを知り、疑問を抱くようになる。
そうなると、ある日税金の使途追及が、納税拒否に変わるかもしれない。
徴税者はそのような納税者の反乱が一番怖い。
だから納税者の納税意識を希薄にさせたい。
それには源泉徴収が最も効果があるのだろう。
それが証左に消費税増税が言われるのに、最近「クロヨン」とか、「トウゴウサン」という言葉がとんと聞かれなくなった。
年金受給者が増え確定申告者が増えると、それだけ税金とその使途に関心を持つ人が増えてくる。
消費税は内税で隠せるが、確定申告の所得税額を隠すことはできない。
全国民が確定申告をするようになると、年金、社会保障等に関する意識が向上する。
そうなると、誤魔化しの「税と社会保障の一体改革」などは蹴飛ばされ、「税金を払う方が苦しく、税金を食べる方が楽をする政治」に厳しい目を向けることになる。
納税者意識、即ち国民の納税意識が高まらない限り、財務官僚をはじめ霞ヶ関官僚とそのOBたちが、襖の向うで「すき焼」を食べる構造は変わらない。
そして税金は、声の大きい金持ちのために使われることになる。
そう考えると、全国民が確定申告するのが、正しいあり方だと考える。
読者の方はどう考えられるのだろうか。
<徳山 勝>
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