現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

舞城王太郎「バーベル・ザ・バーバリアン」短編集五芒星所収 群像2012年3月号 

2017-09-15 11:10:53 | 参考文献
 非・連作短編集の第四作です。
 バーベルと呼ばれる男の物語です。
 なぜバーベルと呼ばれるかというと、人にバーベルの様に持ち上げられるからです。
 バーベルを最初に持ち上げたのは、友人の鍋うどんでした。
 鍋うどんは、癌にかかって死んでしまいます。
 鍋うどんの妹の夫が別人に入れ替わってしまい、警察官になったバーベルに相談にきます。
 夫は秘密組織にねらわれて外国人と入れ替わり、家の地下に秘密のアジトを作られてしまいます。
 バーベルは、その外国人と格闘して倒します。
 しかし、その時のトラウマで、バーベルはアメリカのワイオミングへ行きます。
 バーベルは密猟者を殺しながら、鍋うどんのことを思い出しています。
 次々と場面が転換していって取り留めもないのですが、シュールな味わいのある短編でした。
 児童文学でも、かつては岩瀬成子の「あたしをさがして」のような筋のない作品もありましたが、現在の出版状況ではこのような作品は世に出ないでしょう。
 こうして実験的な作品を書こうとすると、一般文学の世界へ越境するしかないのかもしれません。

群像 2012年 03月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
講談社

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