「文学界」2001年11月号に掲載されて、翌年芥川賞を受賞しました。
男勝りの母親と二人暮らしをしている男の子の成長物語です。
いじめ、母親の失恋、祖母の死、祖父の病気などを通して、母親に主張できなかった少年が、次第に母親から自立します。
成長物語という点では、一種の児童文学とも考えられます。
「サイドカーに犬」の記事に書いたように、所々で、大人である作者の視点が主人公の男の子に混在しているのが気になりますが、回想物語でなく、男の子のリアルタイムな物語なので、ある程度セーブされています。
主人公も、その母親も、作者が愛情を持って魅力的に書けているのが、この作品の一番良いところでしょう。