現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

ロバート・A・ハインライン「夏への扉」

2020-08-05 09:54:07 | 参考文献
 1956年に発表されたハインラインの代表作です。
 タイムマシンと冷凍睡眠を用いたタイム・パラドックス物のSFで、個々のアイデアは当時でも新しくないのですが、それらを緻密に組み合わせて、第一級のエンターテインメントに仕上げています。
 ロマンティックなハッピーエンドも支持されて、日本のSFファンの投票では、たびたびナンバー1になる人気作品です。
 当時の近未来だった1970年と、遠い未来だった2000年(夢の21世紀ですね)の様子を、当時の最新の知見を元にいきいきと描き出しています。
 当時は核戦争が起こるのは確実視されていたようで、ほとんどの他のSF作品と同様に、その後の世界を描いています。
 しかし、それにもかかわらず、21世紀には明るい未来が待っていると信じていた、古き佳きアメリカ人の考えを知ることができます。
 1970年はおろか、2000年もとっくに過去のものになった現在読み返してみると、書かれている風物はかなりちぐはぐなのですが、一番大きいのは、他の記事にも書きましたが、パソコン、インターネット、スマホの不在でしょう。
 そして、それらを実現させた半導体がいかに偉大な発明だったかが、改めて認識できます。


コメント
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