現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

エーリヒ・ケストナー「小さな年代記」子どもと子どもの本のために所収

2016-12-27 17:08:11 | 参考文献
 1948年秋に出た、ケストナーが第二次大戦後に初めて(たぶん)出した本「日々の小間物」(1945年10月18日に第一号が出た「新新聞」、1946年1月1日に第一冊が出た児童雑誌「ペンギン」、キャバレー「見世物小屋」(歌や軽演劇を出し物にしていたと思われます)に、ケストナーが寄稿した多数のシャンソン、風刺的な歌、批評、攻撃、メルヒェン、情景、日記メモ、リート、評論、論説、答弁、アンケートなどから抜粋した詩文集)の序文の代わりに載せられた1945年5月のドイツ敗戦をはさんで3月から10月までの毎月の簡単な覚書です。
 ケストナーは、1933年から1945年の12年間、ナチスによって執筆を禁止されていました。
 彼の児童文学の代表作のすべては、1928年に書き始められてから執筆禁止までのわずか5年間の間に発表されました。
 ケストナーが執筆禁止の12年間にどう変容して、なぜ再び児童文学の傑作を書けなくなったのかについては、きちんと調べて考えをまとめてみたいと思っています。

子どもと子どもの本のために (同時代ライブラリー (305))
クリエーター情報なし
岩波書店
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黒川博行「落英」

2016-12-27 11:26:26 | 参考文献
 薬物対策課の刑事のコンビが、シャブ(覚せい剤)取り引きの捜査中に思いがけない発見をしたために、悪徳警官へ転落していく様子を描いています。
 黒川の警察物は、普通の警官が出てくるものと悪徳警官が出てくるものの二通りがありますが、この作品では普通の警官が偶然をきっかけに悪徳警官に変わっていく様子が描かれていて興味深かったです。
 児童文学でも、不良少年少女が描かれることはありますが、どちらかというと彼らを正当化する(例えば、親のせい、教師のせい、社会のせいなど)作品の方が多かったと思います。
 普通の子どもたちが、何らかの理由で転落していく様子をリアルに描いた作品は、ほとんど皆無でしょう。
 現代のように、いろいろなトラップ(援助交際、JK風俗、危険ドラッグ、覚せい剤など)がある中で、それらの危険性を知らしめる作品があってもいいと思いますが、今の児童書の出版状況では本にするのは難しいかもしれません。

落英
クリエーター情報なし
幻冬舎
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