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現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

絵本に見られるパターン

2016-09-11 14:22:22 | 考察
 絵本によく見られるパターンとして、小さな主人公が一人でどこかへ出かける作品群があります。
 各見開きページにおいては、子どもたちが大好きな繰り返しの手法を使って、いろいろな状況が描かれます。
 それらの状況において、主人公がいかに困難を乗り越えていくかが読者は面白いのです。
 これは、筒井頼子の絵本の「はじめてのおつかい」(その記事を参照してください)、さらにさかのぼればグリム童話の「赤ずきんちゃん」以来のお馴染みのパターンです。
 このパターンにおいては、読者にいかに次のページをめくらせるかが、作者の腕の見せ所です。

はじめてのおつかい(こどものとも傑作集)
クリエーター情報なし
福音館書店
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谷本誠剛「序章 児童文学とは何なのか」英米児童文学ガイド所収

2016-09-11 09:57:31 | 参考文献
日本イギリス児童文学学会というよく考えると奇妙な名前の学会がまとめた、英米児童文学の作品論と研究論文をまとめた本の、「啓蒙」と「想像力」という副題を持った序章です。
日本人がなぜ英米児童文学を研究するのかについて、以下の様な章立てで簡単に述べています。
1.児童文学とは何なのか
2.児童文学における子どもと大人
3.児童文学はメディアなのか作品なのか
4.なぜ英米児童文学なのか
5.作品論の書き方
6.さまざまなテーマとジャンル論への広がり
1から3までは、児童文学を論じる上ではいつも問題になる点であり、書いてあることには特に目新しい点はありません。
4が、英米児童文学の研究者ならではの視点なので興味を持って読んだのですが、「イギリス児童文学が児童文学の王国」であるということ以外に、特に明確な論理がないことに失望しました。
5では、唐突に初学者のための作品論の書き方が述べられ、6では卒業論文や修士論文などのテーマ選択の方法が述べられています。
 全体的に、読者対象が英米児童文学を専攻する学生や大学院生に限られているようで、非常に内向きな文章(つまりはこの本全体もそのような視点でまとめられている)に感じられました。
 推測するに、この学会の研究者たちは幼少期に英米児童文学に親しみ、その魅力を探ろうとする関心から研究の世界へ入ったのでしょう。
 きっかけはそれでいいとしても、少なくとも学会全体としては、もっと社会に開かれた視点(例えば、英米児童文学を研究することによって、その成果をどのように現代の日本社会や日本の子どもたちに還元できるかや世界の子どもたちの現実にどう関わっていくかなど)を持たないと、この学会も自閉的な活動に陥り、じり貧になっていく恐れがあるのではないでしょうか。

英米児童文学ガイド―作品と理論
クリエーター情報なし
研究社出版
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