とめどもないことをつらつらと

日々の雑感などを書いて行こうと思います。
草稿に近く、人に読まれる事を前提としていません。
引用OKす。

自由の意味メモ

2024-01-16 22:28:29 | 雑感
これは本当に本当のメモなので、私の意見はありません。
ちなみに私は下記の論は消化しあぐねています。


日本とアメリカとヨーロッパ、じつは「自由」の“意味”がここまで違っていた…!(橋爪 大三郎)
2021.05.30
https://gendai.media/articles/-/83417?imp=0

「自由」の本当の意味

自由はいいなあ。自由に生きたい。誰もが自由にあこがれる。

では、自由とはなんだろう。

自分の思うとおりに、何でもできること。制限や束縛がないこと。——確かに。でもこれは、自由の一面にすぎない。

自由を、まるごと理解する。すると、まったく違った世界がみえてくる。

「自由」という日本語は、新しい。明治になって、よく使うようになった。

自由という言葉だけなら、古くからあった。仏教や儒学のテキストに書いてあった。いい意味とは限らなかった。でも欧米では、自由はとてもいいことらしい。翻訳された本を読んで、みんなそう思った。

自由民権運動があった。明治10年代に、議会の開設、憲法制定を求める声が、日本中に広まった。政府もしぶしぶ、それに応じた。

「自由!民権!」薩長の藩閥政治に対して、全国の人びとが声をあげた。自由は、政府は勝手をしないでくれ。民権は、自分たちの言うことも聞いてくれ、である。

自由民権運動が成功したのは、「自由」という言葉が手に入ったからだ。自由はよいものである。自由を叫ぶのは、正しいことなのだ。

逆に言えば、「自由」という言葉がないと、自由を主張できない。自分が自由かどうか考えることもできない。言葉は世界を変え、自分の考えをつくっていくのである。

英語圏で「自由」は2種類ある

ところで英語だと、自由に二種類ある。liberty とfreedom だ。どちらも自由と訳す。英語でものを考える人びとは、二種類の自由があると思っているのだ。どう違うのか。

まず、liberty 。これは、「奴隷でないこと」だ。

昔は奴隷制があった。アメリカには奴隷がいた。奴隷は主人の財産である。主人の言うことを聞かなければならない。自由がない。法的人格もない。人間扱いされないということだ。

奴隷が奴隷でなくなる。解放された。これをliberty という。束縛がないことである。人間らしく生きていける。

生きていくために、働く。財産を所有する。市場でモノを売り買いする。契約を結ぶ。…。これも、自由 libertyである。

モノを市場で売り買いする。政府は介入しないでくれる? この考え方を、自由主義 liberalism という。近代社会の基礎だ。

市場経済には副作用がある。勝ち組と負け組ができる。格差や貧困が広がる。どうにかしよう。税金を使って、福祉をがんばる。政府の出番だ。社会民主主義や、社会主義の考え方だ。

英語でリベラル liberalというと、福祉や格差の是正に熱心な左派、の意味になった。元の意味からズレている。

リベラルに反対し、市場のいいところを見直そう、と考えると、新自由主義である。

「freedom」は「自分たちで政治をする自由」

つぎに、freedom 。これは、「自分たちで政治をやります」である。国王はいらない。国王が何でも決めると、 kingdom(王国)である。国王に退場ねがって、自分たちで何でも決めよう。民主主義みたいになる。

freeとは、何かが「できる」こと。無料という意味もある。人間は、能力を向上させれば、どんどん free になれるのだ。

では、自由(freedom)を実現するには、どうしたらいい? ふたつある。
  1)王様と戦争し、やっつけて、どこかに追っ払う。
  2)憲法を制定し、自由(freedom)の国をつくる。


アメリカ合衆国はこれをやった。独立戦争を起こし、世界最初の成文憲法を作った。

自由を確保するには、法律が必要だ。自由と法律はメダルの裏表。これが、西欧の常識である。

王国(kingdom)だと、立法権は国王にある。税金をとる法律をどんどん決めて、アメリカ植民地に意地悪をした。もうがまんできない、独立しよう。そこで、アメリカ合衆国の憲法にはこんなことが書いてある。
 ・主権(これまで国王の権限だった)は、アメリカ人民にある。
 ・議会が、法律をつくる。
 ・大統領が、政治や軍事をやる。
 ・裁判所が、裁判をする。
 ・議員や大統領や…は、人民が選挙で選ぶ。
 ・アメリカ合衆国は、人民の自由を守る。

自由を守るのは、国家の義務なのだ。

この憲法があって、はじめて、人びとが自由でいられる。実際には、法律をつくって、人びとの権利を保証する。

ものわかりのよい国王が、自由(freedom)を守ります、という憲法をつくるようにもなった。これでも、自由は守られる。

ピンとこない日本人

自由が法律と結びついていると、ピンと来ないのが日本人である。

日本人は、自由をどう考えるか。
  1)人間は、生まれながらに、自由である。
  2)誰かが自由にふるまうと、周囲が迷惑する。
  3)迷惑をかけない限り、自由である。

この考え方の特徴は、自由が法律と関係ないこと。そして、迷惑かどうかを決めるのは周囲のひとであること。周囲の顔色をうかがわなければならない。

こういうものを、「自由」とはいわない。

日本社会には、ほんとうの意味で、自由がないのだ。

「世界とズレる」日本のルール

西欧では、自分と他者を、法律が隔てている。法律の範囲を、権利という。自由に行動できるかどうか、事前に予測できる。社会を合理的に組織できる。資本主義も、民主主義も、これでできている。

国際社会がこうしたルールで動いているのに、日本の人びとは、別なルールで動いている。日本には日本の歴史や文化があるから、仕方がないのか。そうだとしても、日本のやり方だけがまるで違っていることは、しっかり理解しよう。

日本人が考える「自由」と、西欧の人びとが考える自由(たとえば、英語のliberty やfreedom )は、こんなに違っている。

これを理解すると、山のような問題が派生してくる。それは宿題にしておこう。

YouTubeチャンネル「未来に残したい授業」 で、「自由とは何か」のトーク版を視聴できます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« NHK「自衛隊ヘリで支局に燃料... | トップ | こち亀を読むと疲れる »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

雑感」カテゴリの最新記事