雑感。
いま生きる「資本論」 佐藤優 P74 より
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ちなみに、ミスプリントというのはけっこう重要なんですよ。官僚が、新聞社に「ここだけだからね」と言って、特定秘密情報を流します。それはもちろん報道してほしいからです。あるいは情報の流れをつかんだり、この記者は約束を守るやつかどうかのチェックをしたいかいらです。何人かの記者に情報を流した紙を同時に渡すのですが、朝日、読売、産経、日経、毎日と、それぞれに話津紙の誤植の場所を変えておくんです。つまり、少しずつ意図的にミスプリをしておく。もしくは項目の順番をわざと入れ替えておく。そうすることで、情報が流れた時に、どこのルートから漏れたのかがわかる。新聞記者ではなくて、記者との関係があやしい政治家に渡す場合もあります。そうすると新聞に出た時に、外務官僚の側は、「あの政治家はこの新聞社と関係が深いんだな」などということを読み取っていくのです。
ところが、百戦錬磨の政治家、野中広務(ひろむ)さんとか鈴木宗男さんとかになると、新聞記者に紙を渡さないんですね。情報は流すのだけど、その場でザーッと読み上げてしまう。しかも、わざと順番を変えたりもする。こうやると、情報の趣旨がきちんと伝わるだけで、情報源はバレないですむ。ただ、これはいささか昔話で、今の官邸にしても、自民党の政治家にしても、相当体力が弱っていますから、官僚の精査の罠にすぐ引っかかってしまう。それはもう手に取るように、誰がどの新聞のどの記者と仲いいかなんてわかっていますよ。
ミスプリントにはこんな話しもあります。エリ・コーエンという伝説的なモサド(イスラエル諜報特務庁)のスパイがいます。父親の方の(ハーフィズ)アサド政権期のシリアに長く潜入していました。食い込み方がものすごくて、政権中枢まで入っていって、あわや国防大臣に任命されそうになった(会場笑)。モサドのスパイが国防大臣になるのはさすがにヤバいから、どうにか固辞して、国防省の顧問に就いた。
ところが、ソビエトのKGBからの情報で、イスラエルのスパイであることがバレてしまいます。KGBが通信を押さえ、それで秘密通信をしていることがバレて、エリ・コーエンは逮捕された。ところがモサドは、エリ・コーエンが逮捕されたことを瞬時に知った。なぜか? シリアの秘密警察はエリ・コーエンに、捕まったことがイスラエルにバレないように、監視下でどんどん偽情報を送らせたんです。暗号化して電報を打つのですが、イスラエルはその電報を受け取った時、彼が逮捕されたとすぐわかった。誤植が一ヶ所もなかったからです。いざという時のために、必ず毎回ミスプリントを末尾に入れていたんですね。もし完全に完璧な電文が来た時は、敵の手に落ちたという合図だと決めていた。シリアはまさかそんな合図があるとは思わない。言われた通りのことを暗号をかけた電報にしているとしか思っていなかった。エリ・コーエンは逮捕された後もシリアを欺いたわけです。
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いくつか。
1.『「あの政治家はこの新聞社と関係が深いんだな」などということを読み取っていくのです。』というのは、実際安倍政権発足時に行われたように思われる。
2.『官僚が、新聞社に「ここだけだからね」と言って、特定秘密情報を流します。』ということは、特定機密保護法が成立している現在は、こうしたルートはない。
3.『いざという時のために、必ず毎回ミスプリントを末尾に入れていたんですね。』申し訳ありませんが、ミスプリは文章の末尾に限定されないと思います。「モサド、その真実」(落合 信彦)、「スパイのためのハンドブック」(ウォルフガング・ロッツ)のどちらかにこの記述がありましたね。そこには末尾とは記載されていませんでした。
両方とも80年代特有のうさんくささがあるのですが、どこかに本物の文章が隠れている。佐藤さんの指摘と上記の書籍での記述とには微妙な齟齬があります。これが今回の「ミスプリ」なのかもしれません。
4.このエリ・コーエンはスパイだと露見した後にシリアに処刑されている。イスラエルは「せめても死後は祖国に眠らせてくれ」と死体の返還要求をしているが、シリアは応じていない。体内の中に何か発見できていないメッセージが潜んでいる可能性があるからだという話がある。「逮捕された後もシリアを欺いた」コーエンに、シリアは死後も欺かれるわけにはいかなかった、という一進一退の攻防がある。
5.『モサドのスパイが国防大臣になるのはさすがにヤバいから、どうにか固辞して、国防省の顧問に就いた。』とあるが、いや笑えない。
世界にあるどこかの国の話しとして流布される話に次のようなものがある。真偽は不明だが載せる。
とある議員がとある時代に国家公安委員長になった。その時に反国家注意人物リストなるものがあるのでそれを見ていたら、そこに自分の名前があって絶句した・・・と。尚、「民主党幹部は閲覧後、まず人数の多さに驚き、そして自分たちの名前が並んでいるのにどう対処したらいいのか途方に暮れたと聞いている。」とのことで、いやいや、どうすべきなのかね・・・とも思うのですがいかがでしょうか。
いま生きる「資本論」 佐藤優 P74 より
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ちなみに、ミスプリントというのはけっこう重要なんですよ。官僚が、新聞社に「ここだけだからね」と言って、特定秘密情報を流します。それはもちろん報道してほしいからです。あるいは情報の流れをつかんだり、この記者は約束を守るやつかどうかのチェックをしたいかいらです。何人かの記者に情報を流した紙を同時に渡すのですが、朝日、読売、産経、日経、毎日と、それぞれに話津紙の誤植の場所を変えておくんです。つまり、少しずつ意図的にミスプリをしておく。もしくは項目の順番をわざと入れ替えておく。そうすることで、情報が流れた時に、どこのルートから漏れたのかがわかる。新聞記者ではなくて、記者との関係があやしい政治家に渡す場合もあります。そうすると新聞に出た時に、外務官僚の側は、「あの政治家はこの新聞社と関係が深いんだな」などということを読み取っていくのです。
ところが、百戦錬磨の政治家、野中広務(ひろむ)さんとか鈴木宗男さんとかになると、新聞記者に紙を渡さないんですね。情報は流すのだけど、その場でザーッと読み上げてしまう。しかも、わざと順番を変えたりもする。こうやると、情報の趣旨がきちんと伝わるだけで、情報源はバレないですむ。ただ、これはいささか昔話で、今の官邸にしても、自民党の政治家にしても、相当体力が弱っていますから、官僚の精査の罠にすぐ引っかかってしまう。それはもう手に取るように、誰がどの新聞のどの記者と仲いいかなんてわかっていますよ。
ミスプリントにはこんな話しもあります。エリ・コーエンという伝説的なモサド(イスラエル諜報特務庁)のスパイがいます。父親の方の(ハーフィズ)アサド政権期のシリアに長く潜入していました。食い込み方がものすごくて、政権中枢まで入っていって、あわや国防大臣に任命されそうになった(会場笑)。モサドのスパイが国防大臣になるのはさすがにヤバいから、どうにか固辞して、国防省の顧問に就いた。
ところが、ソビエトのKGBからの情報で、イスラエルのスパイであることがバレてしまいます。KGBが通信を押さえ、それで秘密通信をしていることがバレて、エリ・コーエンは逮捕された。ところがモサドは、エリ・コーエンが逮捕されたことを瞬時に知った。なぜか? シリアの秘密警察はエリ・コーエンに、捕まったことがイスラエルにバレないように、監視下でどんどん偽情報を送らせたんです。暗号化して電報を打つのですが、イスラエルはその電報を受け取った時、彼が逮捕されたとすぐわかった。誤植が一ヶ所もなかったからです。いざという時のために、必ず毎回ミスプリントを末尾に入れていたんですね。もし完全に完璧な電文が来た時は、敵の手に落ちたという合図だと決めていた。シリアはまさかそんな合図があるとは思わない。言われた通りのことを暗号をかけた電報にしているとしか思っていなかった。エリ・コーエンは逮捕された後もシリアを欺いたわけです。
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いくつか。
1.『「あの政治家はこの新聞社と関係が深いんだな」などということを読み取っていくのです。』というのは、実際安倍政権発足時に行われたように思われる。
2.『官僚が、新聞社に「ここだけだからね」と言って、特定秘密情報を流します。』ということは、特定機密保護法が成立している現在は、こうしたルートはない。
3.『いざという時のために、必ず毎回ミスプリントを末尾に入れていたんですね。』申し訳ありませんが、ミスプリは文章の末尾に限定されないと思います。「モサド、その真実」(落合 信彦)、「スパイのためのハンドブック」(ウォルフガング・ロッツ)のどちらかにこの記述がありましたね。そこには末尾とは記載されていませんでした。
両方とも80年代特有のうさんくささがあるのですが、どこかに本物の文章が隠れている。佐藤さんの指摘と上記の書籍での記述とには微妙な齟齬があります。これが今回の「ミスプリ」なのかもしれません。
4.このエリ・コーエンはスパイだと露見した後にシリアに処刑されている。イスラエルは「せめても死後は祖国に眠らせてくれ」と死体の返還要求をしているが、シリアは応じていない。体内の中に何か発見できていないメッセージが潜んでいる可能性があるからだという話がある。「逮捕された後もシリアを欺いた」コーエンに、シリアは死後も欺かれるわけにはいかなかった、という一進一退の攻防がある。
5.『モサドのスパイが国防大臣になるのはさすがにヤバいから、どうにか固辞して、国防省の顧問に就いた。』とあるが、いや笑えない。
世界にあるどこかの国の話しとして流布される話に次のようなものがある。真偽は不明だが載せる。
とある議員がとある時代に国家公安委員長になった。その時に反国家注意人物リストなるものがあるのでそれを見ていたら、そこに自分の名前があって絶句した・・・と。尚、「民主党幹部は閲覧後、まず人数の多さに驚き、そして自分たちの名前が並んでいるのにどう対処したらいいのか途方に暮れたと聞いている。」とのことで、いやいや、どうすべきなのかね・・・とも思うのですがいかがでしょうか。