と言っても、槍岳山荘から槍の穂先に登り、ほんのちょっと北鎌尾根へ降りただけである。貧乏沢から北鎌にあがり縦走してきた単独登山者が、あと30mも登れば頂上、という地点で転落したのである。
彼は夕方暗くなった頃最後の岩場にたどりつき、チムニーと呼ばれる場所をよじ登る際にザックを岩に引っ掛けて落ちた。運がいいことに途中のテラスで止まり転落死を免れたが、そのまま小屋を目の前にしてビバークとなった。
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槍岳山荘には、衛星電話を利用したライブカメラがあり、インターネットでいつでも海抜3000mの世界を下界から見ることができた。
毎年春になるとNTTの関係者が入山してきて、カメラを設置する。場所は食堂へ降りる階段の上。ここに小さい窓があり、ここから槍の穂先を見ることが可能なのだ。現在山荘は改築しているので、場所は移っていると思う。
2~3日かけてスタッフが設置するのだが、このメンバーの中に有名 . . . 本文を読む
一般の人々は、大変な誤解をしている。
山の雑誌で「山小屋に連絡をとって情報を収集しよう!」なんてことを書いているが、それを真に受ける登山者が非常に多い。山小屋で長年働いていようが、わからないものはわからないのだ。
「8月10日にそちらのほうへ行こうと思っているんですけどお、天気はどうなりますか~? 天気が悪いなら次の日にしようと思っているんですけどお~」と、一ヶ月先の天気をピンポイントで聞い . . . 本文を読む
誰が制定したのか知らないが、山小屋の衆にとって7月20日の「海の日」は大変な日である。制定に関わったヤツを見つけたら、殴りかかりたいぐらいだ。
この日、山小屋は恐ろしいほどの混雑になる。梅雨あけで晴天が続く時期であり、祝日が制定されたことにより山に登山者が集中するようになった。「海の日じゃなくて山の日だ」とは、山小屋関係者がため息まじりに漏らす言葉だ。喜んでいるのは、お金が儲かる経営者だけである . . . 本文を読む
2018年注記:以下の記事はだいぶ古い話になりました。転落滑落事故については最近まとめたものがありますので、こちらも是非参照してみてください
転落事故を防ぐためには/豊後ピートのブログ
大キレットや不帰キレット、槍の穂先など、北アルプスに難所はたくさんあるけれど、こういう場所でのレスキューは、それほど多くはない。普通の登山者なら、このような難所はコワイから慎重になって通過する。鎖場やハシゴか . . . 本文を読む