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豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

2025年の富士山における入山料に関する私見

2025年01月29日 | 入山料・入山規制
久しぶりの更新です

先に謝っておきますが、地方自治法とか特に詳しい知識があるわけではないので、間違っているぞゴルァ!と思った有識者はツィッターの方にでもツッコミを入れて下さい。土下座しながら意見を拝聴する覚悟はできてます。



◎静岡県側も入山規制&入山料強制徴収をやる可能性が高くなってきた

2024年の夏、富士山の山梨県側で入山規制および入山料の強制徴収が行われたことは皆さん御存知だと思います。

その後、富士山のシーズンが終わってからですけど静岡県側でも入山規制をやるぞ!という話が、盛んに報道されるようになりました。入山料はいくらにするとか、時間は何時から何時までとか、やたらめったら具体的な内容が報道され始めたので、「本当にできるのか?」と疑問を感じたものです。

富士山で入山規制や入山料の強制徴収を行う場合、問題になるのは法的根拠です。県が条例作ってやろうとしても、法律の問題をクリアしないと絵に描いた餅にしかなりません。そこで山梨県側では公道となっている登山道の一部を廃止し、県の施設とすることで入山規制と入山料の強制徴収をやるという方法を編み出しました。

しかし、この方法は富士山の山梨県側で8合目以下が県有地であるためにできることであり、国有林になっている静岡県側の場合は不可能です。よって2023年の秋、山梨県側で規制するぞ!という話がニュースになるたびに、静岡県側では不可能だという解説が同時に載っていたものです。

これまでにも入山料の強制徴収を「法定外目的税でやる」という話がニュースになったことがあり、そこそこ具体的な内容が書かれていましたけど、実現しないままで終了ということが普通にありました。今回も同じ事になるんじゃね?と感じたものです。

が、ようやっと法的根拠っぽい話が書かれている記事を見つけました。(もっともこれまでにも報道されていたのかもしれませんが)

静岡側の富士山入山料は4千円へ 県が規制の骨子案、収入4億円想定
朝日新聞  2024年12月14日 11時00分

引用
県は今夏導入した富士登山の登山計画などの事前登録システムをベースに、スマートフォンなどで保全や安全登山に関するルール・マナーをeラーニングで学んだ後、入山料の支払いまで事前に完了できるシステムの構築を進めている。
引用おわり

この部分を読んで、ようやく理解できました。しれっと書いてますけど、これは恐らく国立公園の利用調整地区制度を利用した規制ですね。

富士登山に「認定制」を導入するという話が出てきました
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富士山の入山料を強制的に徴収できない理由を行政の資料から考える
豊後ピートのブログ

以前ブログを書いた時には自分もイマイチわかっていなかったのですが、ポイントは、

★5合目から上に立ち入る登山者に対して法定外目的税を課して入山料とする
★道路無料公開の原則があるため、法定外目的税を払わない登山者に対して県道である登山道の通行を妨げることができない。よって国立公園の利用調整地区制度によって入山を規制できるようにする


といったところです。個人的になるほど!と思ったのは、税金を滞納していても、それを理由に道路の通行を拒否できないってことですね。

国立公園の利用調整地区制度というのは、以下のサイトを参照してみてください。

知床五湖 制度のご案内
https://www.goko.go.jp/rule.html

引用
国立公園の利用上核心的な自然景観を有し、原生的な風景が保たれている地区において、将来にわたる持続的な利用を実現するため、利用人数の調整等を行うことによって、自然景観や生物の多様性の維持を推進することを目的とした制度です。 環境大臣が定める期間に利用調整地区に立ち入る場合は、環境大臣(または環境大臣が指定した機関)に申請し、その認定を受けることが必要となります。
引用おわり

知床五湖の場合、地上遊歩道を利用する際には時期によってレクチャーを受講するか、あるいは指定されたガイドのツアーに参加する必要があります。

この方法は以前にも検討されていましたが、その時はコストがかかるなどの理由で断念していました。しかし、山梨県側でうまいこと入山規制と入山料の強制徴収がやれるようになってしまったものですから、静岡県は何が何でもやらざるを得ないことになったのでしょう。

朝日の記事から引用します。
引用
想定する登山者10万人から得られる入山料4億円のうち3億円を徴収にかかる人件費などの費用に、残り1億円を保全や安全対策に充てる方針。
引用おわり

徴収にかかる費用が3億円だと書かれています。これまでの協力金の任意徴収では徴収にかかる費用が3500万円前後でしたので、強制徴収にした途端、8~9倍のコストがかかっていることになります。
以前は費用がかかりすぎることから断念したということですが、これほど費用が膨れあがるのであれば無理ないわ~と思いますね。


◎山梨県側も入山料を4000円にする模様

さて、静岡県が入山料を4000円にすることを受けて、山梨県も2000円としていた入山料を4000円にするようです。
山梨県の場合、登山道の一部で県道扱いすることを止め、その部分を「公の施設」あるいは「営造物」とすることで、入山料を強制的に徴収できるようにしました。
昨年(2024年)は入山料を2000円とし、これに加えて以前からの協力金1000円を任意で求めるということになりましたが、当然ながら任意の協力金まで払う人の割合が減ってしまったようです。
この場合、入山料の2000円は施設を利用するための料金であり、恐らくは地方自治法第225条に基づいた「使用料」でしょう。よって、これで集めたお金だと入山規制に関連した費用にしか使えず、ゴミ処理や登山道整備、その他環境保全などの財源にはできないのだと思います。それで協力金の1000円を従来どおり求めたのでしょうね。
その方針を改めて山梨県も入山料を4000円とするのですから、おそらく静岡県と同様に国立公園の利用調整地区制度と法定外目的税を導入するのだと思います。それによって徴収したお金をゴミ処理や登山道整備などの財源にできるはずですから…


◎入山料をもっと上げろ!と声高に語る人が、再び大量に生まれちゃう予感

山梨県が2023年秋に入山規制と入山料の義務化を発表した時、2000円では安すぎる!という意見がネット上にあふれました。1万円が妥当だとか、外国人は4万円だとか、根拠がよくわからない意見を多数見かけたものです。

そもそも富士登山で入山料の支払を義務にしろ!という話は、登山道整備やゴミ処理などの費用を受益者である登山者も負担しろ!というところから始まりました。それなら、まず考えるべきことは、それらにどれほどの費用がかかるのか、そしてどこまで登山者に負担してもらうのか、ってことです。そこを検討しないのに、入山料は1万円が妥当だ!なんて主張するのは、いささか乱暴でしょう。

上記で触れた朝日新聞の記事では入山規制のために3億円、そして環境保全や安全対策に1億円遣うと出ていました。合計で4億円です。それを静岡県側の年間登山者数である10万人で割って、弾き出したのが4000円という金額です。必要経費がそれでいいのかという議論はすべきだと思いますが、入山料の算出方法としては妥当ではないでしょうか。

もし入山料を1万円としたら、静岡県側の登山者数は年間10万人ぐらいですから、約10億円の収入になります。入山規制のための費用が3億円なので、その他の用途に使える費用は7億円です。
入山料4000円の場合、登山道整備やらゴミ処理等に使う予定の金額は1億円です。それが7億円になるのであれば、予算が7倍になるわけです。いったいどこにどれだけのお金を突っ込むのかという議論が必要になるでしょう。登山道の整備や環境保全へ、無制限に金を突っ込むわけにはいきません。

入山料を支払う人は、それが富士山のため遣われると思うからこそ、納得して支払うのではないですか?もっとも、何も考えずに払う人も多いでしょうけど…

2月の県議会で静岡県側の富士山の登山道で入山規制や入山料の義務化が条例として成立したら、再び入山料が安すぎる!!と激しく主張する人々が出てくるのでしょうけど、入山料は相場で考えるものではありません。富士山を保全するために必要な経費から算出するべきものです。その必要経費の中身を議論すべきなのではないでしょうか?

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