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ピラミッドの中でイニシエーションを受ける・・エドガー・ケイシーの「キリストの秘密」(2)

2018-01-19 | 古代キリスト教



引き続き、リチャード・ヘンリー・ドラモンド著「エドガー・ケイシーの、キリストの秘密」という本のご紹介をさせていただきます。

ケイシーがリーディングしたイエスの生活が描かれています。リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。

            *****

          (引用ここから)

リーディングによると、イエスは12才になるまで両親と共に暮らしたといわれるが、エジプトから帰ってからはカぺナウムに滞在したようだ。

しかし12才以降は、カルメル山で母親・夫と一緒に暮らしていたジュディの家で学んだと言われる。

この時の勉強は12才から15~16才の間に、時折行われた。


ケイシーのリーディングは、この傑出したジュディという女性についてかなりの情報を与えている。

彼女がエッセネ派の一グループで指導者の地位についていたということからも、エッセネ派内で女性がどのような役割を果たしていたかが推察される。

彼女の指導したエッセネ派のグループは、霊聴や夢、前兆といった霊界通信的な宗教体験を尊重したという点で、他のエッセネ派グループとは異なっていた。

リーディングは、エッセネ派の両親と聖霊によるジュディの訓練は、単に書物によるものだけでなく、エッセネ派が古来より最大の目的としてきたものと一致していたという。

「不可視の領域、未知の領域からの訪問を受けた者、すなわち人間の諸活動の中に現れる神の霊として崇拝されるものの訪問を受けた者たちの伝承された体験記録を研究すること」も含まれていた。

ここにおいて我々は、ユダヤ教に一貫して流れる深い霊性を見る。


エッセネ派の人々は、はっきりと言葉として話されたものを大切にするだけでなく、夢や幻、霊聴などの、通常の体験を超えた超自然的なものの訪問を人が受けていた時代の記録をも保管していたのだ。

またエッセネ派の慣例にしたがって、ジュディ自身、エジプトの行法、インドの行法、ペルシャおよびペルシャ周辺諸国の戒律・行法を勉強させられた。

成人してからも、彼女はこれらの研究を続けた。

というのもエッセネ派共同体での彼女の重要な役割が、共同体のために記録をつけ、それらを保管することであったからだ。


その仕事を遂行する中で、彼女はメディア人、ペルシャ人、インド人の権威者らと接触するようになる。

そして彼女自身がこれらの国の行法の優劣を見定めた結果、彼女は新しい理解に達したのである。

ケイシーのリーディングは、彼女こそ12才から16才の間のイエスに影響を与えた人物であると述べている。


彼女はヘブライ語聖書と、エッセネ派聖典の両方にあった、あらゆる預言を教えることを主眼としたが、とりわけ救世主の生涯に関する預言に焦点をあてていた。

そしてイエスの学習と修行を完成させるために、諸外国にイエスを送り出したのも、主にはジュディの働きである。

ジュディ自身、何度も天使の出現を経験したといわれるが、そのような高度な霊的体験を持つ一方で、彼女の日常生活は、物質的な事柄に対しては全く世俗的なものであった。

イエスはきちんとした教育を受けられなかったと、長い間信じられてきたが、これとは全く逆に、13才から16才の間、イエスはまずインドで、次にペルシャとエジプトで教育を受けたのである。


ペルシャでは、イエスはその国の伝統的主義に従って、肉体・精神・霊の「諸力の統一」に焦点をおいて修行を積んだということである。

イエスは、これらを教師によって試されたのだ。

これらの試験によって、志願者は神秘家たちに受け入れられるか否か、試されたのである。

これは、他国のさまざまなグループや学派でも同様であった。

このことから、イエスの教育体験はかなり広範なものであったことがうかがわれる。


それは「イニシエーション」とよばれる人格の変容過程において頂点に達したのである。

事実、この言葉は、イエスの教育課程のクライマックスに関係する用語として、ケイシーのリーディングで用いられている。


イエスは、エジプトに行く前にパレスチナに戻った。

イエスが帰郷した最大の理由は、父ヨセフの死である。

リーディングは、イエスはヨセフが死んだために、ペルシャから呼び戻され、そして「教師としての準備を完成するために、エジプトに向かった」と述べている。

この時点で、イエスの教育と、イエスのいとこである、後の洗礼者ヨハネの教育が係わるようになった。


エジプトでの訓練期間中、イエスは洗礼者ヨハネと共にいた。

ヨハネがエジプトに行き、イエスはヨハネとそこで一緒になった。

二人はエジプトの神殿、つまりピラミッドの中で、秘儀伝授者(イニシエート)となった。

ところで、リーディングによると、「聖なる婦人」の一人であったエッセネ派のソーファという女性は、彼女がヨハネを養育した一年間、幼いイエスに、ヨハネの生活ぶりや、訓練、人柄について教えることに、時間の大半を費やしたということである。

ここで言う「聖なる婦人」とは、エッセネ派内の様々な行事で会葬者として働いた者を指す。

これらの婦人の大半は結婚しなかったが、別に独身を誓ったわけではなかった。

イエスとヨハネが独身を貫いたのは、独身が高い霊性に必要であったためではなく、彼らの特殊な任務を遂行する上で、独身の方が活動しやすかったということが最大の理由であった。


このリーディングから、ヨハネはエッセネ派内においても、メシアの活動に対して、特別な役割を授かっていると見なされていたことがうかがわれるし、またイエスは幼少期より、このことを聞かされていたと考えられる。

この経路によってしばしば示されたように、エジプトにおいて多くの国々の教えが統合された。

というのも、エジプトは地球の放射活動の中心地であったからだ。

また、リーディングが、イエスがギリシャで、ギリシャ哲学者の下で勉強したという話や、あるいはユダ
ヤ人がイエスを追放した時にギリシャ人がイエスのもとにやって来て、イエスにギリシャに来てくれるように頼んだという話を否定していることも、興味深いことである。


リーディングは、エジプトでのイエスの秘儀体得(イニシエーション)は、ピラミッドの中にある墓、というか小室を、文字通り通過することが含まれていたと主張する。

この小室は、魂の墓を象徴し、翻ってこれは、「理想に対して自らを磔にし、それによって神によって成就すべきとされたものを遂行する能力を高めた」ことを示している。

つまり自己をむなしくし、父なる神とその御意志に対し、余すところなく自己を捧げること。

ケイシーによると、これこそイエスの父なる神に対する関係の本質であると同時に、イエスの全生涯と使
命の基礎であるという。

そのことが深い意味で、このイニシエーションに如実に現れているのだ。


しかしなら、このイニシエーションは、イエスのそれ以前の訓練から遊離したものではないし、またその後のイエスの修行と奉仕から分離したものでもない。

リーディングの示すところによると、ヨルダン川でイエスがヨハネの洗礼を受けたのは、「イニシエーションの通過」を成就させるものであったという。

ケイシーのリーディングと、イエスの教育・訓練や霊的修行は、父なる神に仕えるために自己を完成するためだけでなく、イエス自身が人間として必要なことを成就する上で、必要であったようだ。

つまりアダムとして下降した者が、イエスを通して上昇したことを現す最終的仕上げであったのだ。


今日のキリスト教会では、聖職にある者の間でも、また一般信徒の間でも、この「イニシエーション」という言葉に対して持つイメージにかなりの隔たりがある。

このような隔たりが生じた元々の原因はなにかというと、それは伝統的に「イニシエーション」というものを重視し、また「イニシエーション」に対し、壮大な儀式をつくりだしたフリーメーソン、薔薇十字会といったさまざまの非キリスト教を、キリスト教聖職者たちが否定してきたためであった。

敵対した一つの理由は、神学的なものであり、神人協力説、つまり救いという神の御業に、人間が協力するという説を意味する言葉を否定するためだった。

しかしもっと一般的には、これらの非キリスト教系の宗教の世俗化傾向を批判したのであり、

またイニシエーションの儀式を取り扱うことの意義を皮相的に理解したためか、あるいはその意義を疑ったために、そのような非難をしたものと思われる。

しかし堅信礼や成人の洗礼などのキリスト教の儀式の中にも、それとまったく同じ批判をまぬがれないものはかなりある、と言わざるを得ない。


いずれにしてもケイシーのリーディングは、生けるキリストの生涯と御業の中で、その「イニシエーション」がきわめて重大な出来事であったことを主張している。

この「イニシエーション」を得た時、イエスは16才であった。


         (引用ここまで)

          *****

ここでは、エッセネ派というユダヤ教の一派が、とても独立した思想団体として活動していたとされています。

また、イエスが青年時代に諸外国で古代宗教の奥義を学んでいたという話も、よく聞きます。

どちらも大変興味深い話で、もっと真相を知りたいと思わされます。

全体として、わたしはこのケイシーのリーディングに語られていることには信頼を寄せています。

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