「みいちゃんの挽歌」のご紹介を続けます。
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行方不明となった瑞穂さんは、13日後に、なんと施設の焼却ボイラーの煙突の中から黒焦げになって発見されたのです。
焦げた片足がボイラーの下に垂れ下がってきたのを、13日もたってから職員が発見したというのです。
しかも瑞穂さんのタンスの中の服や持ち物など計10キログラム以上のものも一緒に発見されました。
瑞穂さんは、入れないように仕切りがしてある、高熱を発しているボイラーの煙突に、ひとりで10キログラムの自分の持ち物を持ってよじ登り、その中に落ち込んだ、というのが警察の捜査の結論でした。
そんな理不尽なことがあるわけがありません。
ネットで調べたかぎりでは、裁判のその後の経過は分かりませんでした。
筆者であるお母さまの筆致は、とても節度があり、またお父さまも、常に冷静に現実に対応しておられることがよくわかりました。
なんらかのことが明らかになったのかもしれませんが、それよりも、地域の同じ障がい者の保護者の皆さんがやっとの思いで作った施設の存続を優先して行動されたのではないかと、わたしは思いました。
「目次」は次のように書かれていました。
*****
(引用ここから)
第1章 「行方不明」の知らせ
第2章 無残な遺体で園内に
第3章 真相を知りたい
第4章 陳述=亡くなるまでの1年間
第5章 残された多くの疑問点
(引用ここまで)
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聡明なご両親が、どんな気持ちでこの痛ましい事件に立ち向かわれたのかと思うと、胸が張り裂けそうです。
最後の「後書き」の部分をご紹介します。
*****
(引用ここから)
「後書き」
本書によって、娘・瑞穂の生前および亡き後の傷つけられた人権と、人間としての誇りをよみがえらせることが、私に課せられた使命のように感じられました。
またそのことを記すことは、全国の一部の心無い知的障がい者施設の、入所者やこれから入所使用する人たちの、人権を守ることにもつながるのではないかと思われました。
私の娘が自閉症者ではなく、健常者だったらどうだったのだろうか?
わたしは、ずっとそのことを自問自答し続けました。
障がい者であったがために、このように簡単に片づけられてしまったのだろうか?
知的障がい者施設の入所者の生命が、こんなにも軽んじられてしまっていいのだろうか?
そうした自らの問いかけに答えるのが、亡き娘・瑞穂に対して私に課せられた義務と責任であると思いました。
そしてわたしが出した結論は、こうでした。
「すべてを障がいのせいにされて、口をつぐんでいる訳にはいかない」
メモ書き記録を頼りに綴り始めたものの、私にとってこれを書くことは、魂の救済であると同時につらい体験を再現させる作業でもありました。
しかしそんな時には、亡き娘が一生懸命に製作した、壁にかけられたビーズの手芸作品が私を鼓舞してくれていました。
また、私が原稿を書いていることを知った、知的障がい者が身内におられるという女性の、次の言葉も私を勇気づけてくれました。
「知的障がい者施設に子供を預けている親は、施設内で心無い指導員が入所者いじめをしているのを見聞きしても、施設を出されてしまうと他に行き場所がないから、言いたくても言えないんです。
だから、あなたが、そういう人たちの代表だと思ってぜひ書いてください」。
そのような励ましによってなんとか書き終えたものの、浅学の私には到底、自分だけの力では書けなかったことと思います。
この原稿を書いていた間中、後ろから背中を突き動かしている何かを感じていました。
本当に不思議な力を与えられていたようでした。
それは瑞穂の魂であったように思います。
瑞穂の魂が私に書かせたに違いありません。
瑞穂は、これから先もまだまだ生き続けられたはずです。
せめてペンネームの中で、生き返らせてあげようと思いました。
なお、本書で娘・瑞穂が入園していた施設の名称などをはっきり書きませんでしたが、それは、地元の知的障がい者の親の方々が、大変な苦労をして作った施設であることが判っているだけに、あえてしませんでした。
それに、瑞穂が亡くなって7年あまり経っていますので、S園もいい方向に向かっているかもしれませんので。。
瑞穂のようなことが、知的障がい者施設で二度と再びあってはならない。
瑞穂の凄惨な死を無駄にしてはならない。
それを願うばかりです。
4年あまり続いた裁判の一審判決が「棄却」という形で終わったことは本文で述べましたが、裁判はまだ続きます。
今後の審理の中で少しでも真実が明らかにされることを期待するのみです。
謹んでこの本を、亡き瑞穂の霊に捧げます。
1999年夏 瑞木志穂
(引用ここまで)
*****
謹んで、瑞穂さんの霊と、ご家族の皆様に、哀悼の気持ちをお捧げいたします。
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