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サンタクロースの服が赤いのは、コカ・コーラのボトルの色のイメージ広告に合わせて作られたという話をご存じでしたか?
怖い異界の老人であり、冬の神々の一人であった「聖ニコラウス」が、気前のいい子ども好きなおじいさんになったのも、このアメリカでのコカ・コーラの広告イメージによって、つい最近のことだということです。
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引き続き、クリスマスとは何か、サンタクロースとは誰かを考えるために、葛野浩昭氏著「サンタクロースの大旅行」という本のご紹介を続けさせていただきます。
リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。
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(引用ここから)
「オーディン」が死者の国との間を行き来する際、駿馬にまたがります。
駿馬は、この世とあの世をつなぐ乗り物なのですが、この馬は〝8本足″だとされています。
このことを知ると誰もが、「サンタクロース」が8頭立てのトナカイのソリに乗ってやって来ることを思い出すでしょう。
「オーディン」に駿馬がいるように、雷神「トール」には、2頭の雄ヤギがいます。
「トール」は、これら2頭の雄ヤギが引く車に乗る神であり、その車がたてる轟が雷なのです。
フィンランドで「サンタクロース」を「クリスマスの雄ヤギ」と呼び、「サンタクロース」が雄ヤギを連れていることは、「クリスマス」の陰に「ユール祭」があり、「サンタクロース」の陰に雷神「トール」がいることを物語っているのです。
「サンタクロース」の祖形である「オーディン」あるいは「トール」が空を駆け巡る鬼神だとすれば、
彼らが人間の家を訪れる時に、煙突を通って入ってくることは自然なことだ、と言えるでしょう。
空へと立ち昇る煙や水蒸気が通る〝煙出し"は、空と大地、あの世とこの世、神々の世界と人間の世界とをつなぐ通路でもあるのです。
また、この煙突や煙に縁が深いのが、クリスマスの季節になるとケーキ屋さんに並ぶ丸太型のケーキ「ブッシュドノエル」です。
これは「12夜」の間、太陽が再び力強く輝くことを助けるために焚かれた「ユールの丸太」を原型としています。
これが「オーディン」に捧げられたことは、もちろんです。
「クランプス」は大きな角のついた仮面をかぶり、全身に黒いヤギの毛皮をまとっていました。
「シャープ」は麦藁で全身を包んでいました。
「聖ニコラウス祭」ではありませんが、スイスでは、大晦日(ユリウス暦の大晦日=1月13日)の夜、「醜いクロイセ」「野生のクロイセ」「美しいクロイセ」と呼ばれる3種の〝仮面仮装来訪神″が姿を現します。
「醜いクロイセ」は、ブタやウシの歯と毛皮で作った仮面を被り、全身をモミの小枝やシダ、そして麦藁で包まれています。
さらに北欧で「クリスマスの木」に飾られてきた麦藁製の雄ヤギ人形もあり、「クリスマス」の原型である「ユール祭」では、やはり麦藁製の「ユール男人形」も飾られました。
麦藁で全身を包むのは、それらが「穀物神」であることを物語っています。
「クロイセ」は大きな鈴を鳴らしながら、村や畑を歩き回るのですが、それは悪霊を払うと同時に、農地の力を再強化するためだとされています。
ですからこれらの祭は、その年の収穫に感謝し、新しい年の豊作を祈るための祭りでもあり、
来訪する神々は、新しい年の豊作を予祝する者でもあるのです。
神々の仮面・仮装は、豊穣の力を表してもいるのです。
肩からかけた〝背負い袋″は、あの世を想起させて脅す道具でもあり、この世とあの世を繋ぐトンネルのようなものだと考えるべきでしょう。
もし「聖ニコラウス」や「サンタクロース」が〝背負い袋″の中からプレゼントを取り出すのだとしたら、それは、あの世からの祝福だということになります。
17世紀頃まで、ヨーロッパ中部・北部一帯は、ミズナラやブナなどのうっそうとした森に覆われていました。
日本の森は人里離れた所にそびえる「山地林」が大方ですが、ヨーロッパの森は「平地林」がほとんどです。
ですからヨーロッパでは、うっそうとした森が人々の日常生活のすぐそばにまで覆いかぶさり、村と言っても、それは広大な森の所々に飛び地的に切り開かれた空き地のようなものだったのです。
「聖ニコラウス祭」には、ブタが深く結びついていました。
これは村人たちが森の中に放し飼いにしていたブタを「聖ニコラウス祭」の季節に屠畜してきたからで、
ヨーロッパには、森の広さを〝ブタを何頭養える広さ″と表現する伝統さえあります。
このように森はブタを放し飼いにし、またハチミツを採り、薪や材木も調達してくる大切な恵みの場所であり、豊穣のシンボルでした。
しかしこの森は同時に、「赤ずきん」の狼が住む死の世界であり、「白雪姫」の小人たちがすむ妖精の世界でもありました。
そこは闇が支配する世界で、恐ろしい神々も住んでいたのです。
(引用ここまで)
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北欧神話については、次回から見てみたいと思います。
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