「艦これは授業参観、デレマスは株主総会」という名言(迷言?)をツイッターで見た。アイドルマスターシンデレラガールズは見ていないので分からないが、前者についてはさもありなんといった印象だ。
過去に、精神的に大人の出ていないストーリーアニメを指して「学芸会」と呼んだことがある。『舞-乙HiME』がきっかけだったが、以降も同じように感じた作品はあった。
艦これの場合は、そうした含みではなく、もっと直截的に「学芸会」っぽい。ただし、非難の意図を持ったものではない。
艦これはブラウザゲームであり、そのヒットを受けてコミック、ライトノベル、アニメとメディアミックスが展開していった。その際、コミック化・ライトノベル化では複数の作家によって同時多発的に作品が発表されている。
公式の同人誌のような感覚で生み出されている。これは原作となるゲームにストーリー的な色を付けない効果がある。
昔、ガンパレでは、公式掲示板でガンパレの設定を使った推理ゲームが行われた。そこではゲーム内で明かされていない数多くの設定が示された。これに一部のファンが激しく反発した。公式が設定やストーリーを提示すれば、どうしてもそのイメージは多くのファンに意識されてしまう。
艦これではコミックやラノベが同人誌的な雰囲気で作られているせいでそれを回避している。メインストーリー、メイン設定があった方が楽かもしれないし、売り上げ的にもどちらが良いかは分からない。一部マニアは全部買ってくれるだろうが、どれを買っていいか迷う人も多いだろう。
実はアニメでもこれをやって欲しかった。週に三本くらい同時進行で、横須賀鎮守府、呉鎮守府、佐世保鎮守府それぞれを舞台に、みたいに(笑)。さすがに無理だろうけど、KADOKAWAの本気を見たかった。
コミックやライトノベルと比べてアニメの影響力は大きい。明らかにファン向けの作品だし、提督たちが艦娘たちの芝居をハラハラ見守るという構図にはなっているが、どこまでそう意図して作られているのか。
最近はアニメ化されて、その放送の終わりをもって原作の人気も下火になるケースが目に付く。特にライトノベル原作では。
艦これも授業参観と笑っているうちはいいが、アニメ終了をきっかけに人気にかげりが出てくる可能性も少なからずありそうだ。
艦これの場合、「学芸会」で構わない。むしろそれ以外のものを作ろうとするとおかしくなってまう懸念がある。「ストーリー」は呪縛。ゲームはストーリー性を排除していたがゆえにヒットした。コミックもライトノベルもストーリー性はあっても、原作からは一定の距離がある。
コンテンツをいかに育てるか。KADOKAWAだからノウハウがあるというのは甘い観測で、新しい流れ、新しい状況があってのヒットだから、新しい対応が必要だ。アイマスやパズドラなども、様々な展開を行っている。それが成功し続けないと他のコンテンツに取って代わられるだろう。
ソーシャルゲームやブラウザゲームといったライトなネットゲームはまだ歴史が浅い。今はゲームそのものよりも、どうすればヒットできるか、ヒットを維持できるかといった努力の方が見ていて面白いかもしれない。そして、それが既存のメディア、コミックやライトノベル、アニメにどんな影響を与えるのか。艦これアニメにはもっと何か面白い試みをやって欲しいのだが……。