シリーズ<ビバ!ペプロム>が順調な滑り出しをみせたところで、いきなりですが、新シリーズを立ち上げます。
名付けて<ウェスタナーズ☆クロニクル>(仮)。
西部劇はこれまでそれなりに意識的に見てきたつもりのジャンルだが、見逃しているものがいくらもある。さらに、おなじみの作品もあるていど系統立てておさらいしてみたいとおもっている。<ビバ!ペプロム>ともども、お引き立てのほどを!
記念すべき一回目は、“じゃじゃ馬荒野を行く”ものの佳作から。
『バファロウ平原』(Cattle Queen of Montana、アラン・ドワン監督、1954年)
北西部度☆☆☆☆☆
野生児度☆☆☆
どら声度☆☆☆☆
暴走度☆☆
さやあて度☆
バーバラ・スタンウィック主演のトレイル(キャトル・ドライブ)もの。父親と二人でテキサスから牛を運んでいるスタンウィック。目的地はモンタナ。その途上で先住民に襲われる。深夜の銃声に驚いた牛が暴走。スタンウィックの父親が死ぬ。襲撃者の背後には悪徳商人(ジーン・エヴァンズ)がいた。かれはウィスキーを餌に先住民を操り、スタンウィック一家の財産を狙っていた。スタンウィックは悪徳商人の使用人(ロナルド・リーガン)およびインテリ先住民コロラドスの協力で悪徳商人を始末し、財産を奪い返す。リーガンは実は軍の密偵で身分を偽って悪徳商人のもとに潜入していたのだった。二人の色男に挟まれて歩み去って行くスタンウィックのショットで幕。
アラン・ドワンが1950年代にベネディクト・ボジャーズ製作で撮った一連の傑作群の一本。絶対的な『逮捕命令』(Silver Lode)『対決の一瞬』(Tenessee's Partner)の深みこそないが、簡潔にしてひきしまった好作といえる。巻頭、青々としたモンタナの山々を背景に颯爽と馬を駆るスタンウィック。ドワンの「ルソー主義」が刻印されたショット。キャメラは光の画家ジョン・オルトン。コントラスト豊かなモノクロの巨匠にして、『巴里のアメリカ人』のバレーシーンを手がけたカラリストでもあることは周知のとおり。この美しい自然を背景に人間たちのエゴがぶつかりあう。
どぎついブルーに輝く泉で水浴する赤毛のディアーナを別々の場所から見つめる二人のアクタイオーン。コロラドスとリーガンだ。この楽園がやがて失われ、最後にはとり戻されるというのは、アラン・ドワンに典型的なストーリーテリング。三角関係は最後まで維持されるが(あきらかにリーガンに分がある)、物語の前景を占めることはない。
いつも不敵な面構えで画面の奥からヒーローを睨みつけているという印象の強いジャック・イーラムがリーガンの同僚役で台詞まわしも軽やかに動き回っているのがほほえましい。意外とスリムね。
撮影エピソードをひとつ。ロケ地となったモンタナの国立公園ではスタンダード石油が採掘をしていた。エキストラの先住民たちはみな土地を売った金で潤っており、なかにはキャディラックで撮影現場に乗りつける者もいたとか。(cf. ピーター・ボグダノヴィッチ著 Alan Dwan, The Last Pionieer)
名付けて<ウェスタナーズ☆クロニクル>(仮)。
西部劇はこれまでそれなりに意識的に見てきたつもりのジャンルだが、見逃しているものがいくらもある。さらに、おなじみの作品もあるていど系統立てておさらいしてみたいとおもっている。<ビバ!ペプロム>ともども、お引き立てのほどを!
記念すべき一回目は、“じゃじゃ馬荒野を行く”ものの佳作から。
『バファロウ平原』(Cattle Queen of Montana、アラン・ドワン監督、1954年)
北西部度☆☆☆☆☆
野生児度☆☆☆
どら声度☆☆☆☆
暴走度☆☆
さやあて度☆
バーバラ・スタンウィック主演のトレイル(キャトル・ドライブ)もの。父親と二人でテキサスから牛を運んでいるスタンウィック。目的地はモンタナ。その途上で先住民に襲われる。深夜の銃声に驚いた牛が暴走。スタンウィックの父親が死ぬ。襲撃者の背後には悪徳商人(ジーン・エヴァンズ)がいた。かれはウィスキーを餌に先住民を操り、スタンウィック一家の財産を狙っていた。スタンウィックは悪徳商人の使用人(ロナルド・リーガン)およびインテリ先住民コロラドスの協力で悪徳商人を始末し、財産を奪い返す。リーガンは実は軍の密偵で身分を偽って悪徳商人のもとに潜入していたのだった。二人の色男に挟まれて歩み去って行くスタンウィックのショットで幕。
アラン・ドワンが1950年代にベネディクト・ボジャーズ製作で撮った一連の傑作群の一本。絶対的な『逮捕命令』(Silver Lode)『対決の一瞬』(Tenessee's Partner)の深みこそないが、簡潔にしてひきしまった好作といえる。巻頭、青々としたモンタナの山々を背景に颯爽と馬を駆るスタンウィック。ドワンの「ルソー主義」が刻印されたショット。キャメラは光の画家ジョン・オルトン。コントラスト豊かなモノクロの巨匠にして、『巴里のアメリカ人』のバレーシーンを手がけたカラリストでもあることは周知のとおり。この美しい自然を背景に人間たちのエゴがぶつかりあう。
どぎついブルーに輝く泉で水浴する赤毛のディアーナを別々の場所から見つめる二人のアクタイオーン。コロラドスとリーガンだ。この楽園がやがて失われ、最後にはとり戻されるというのは、アラン・ドワンに典型的なストーリーテリング。三角関係は最後まで維持されるが(あきらかにリーガンに分がある)、物語の前景を占めることはない。
いつも不敵な面構えで画面の奥からヒーローを睨みつけているという印象の強いジャック・イーラムがリーガンの同僚役で台詞まわしも軽やかに動き回っているのがほほえましい。意外とスリムね。
撮影エピソードをひとつ。ロケ地となったモンタナの国立公園ではスタンダード石油が採掘をしていた。エキストラの先住民たちはみな土地を売った金で潤っており、なかにはキャディラックで撮影現場に乗りつける者もいたとか。(cf. ピーター・ボグダノヴィッチ著 Alan Dwan, The Last Pionieer)